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IT・科学

人気サイト「MERY」、復活に必要な「三つの宿題」 11月再開へ

「MERY」に掲載された、11月再開の告知
「MERY」に掲載された、11月再開の告知 出典: http://mery.jp/

目次

 IT大手・DeNAが運営していた女性向け人気サイト「MERY」が11月21日、約1年ぶりに再開されます。MERYは昨年末に画像などの盗用問題で炎上、全記事を非公開化しています。どのように運営体制を見直して、復活を目指すのでしょうか。MERYには大きく「三つの宿題」が残されています。

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その1:ずさんだった記事量産

 MERYはファッションやコスメに関する記事を大量に掲載していましたが、ブログから画像などを無断転載していると批判が続出。

 第三者委員会が今年3月に発表した調査結果によると、無断転載の可能性がある画像は最大51万8162件にものぼります。

 盗用増加の大きな原因となったのが、記事のずさんな制作体制でした。100人を超える大学生や、外部ライターを雇って執筆させた記事を、十分にチェックすることなく掲載していたのです。

 そのため、新たなMERYにはDeNAだけではなく、大手出版社の小学館が参加。雑誌づくりなどで培ったノウハウで、盗用の再発防止を図るとしています。ただ、記事執筆を担う「MERY公認ライター」は、現在アルバイトとして経験不問で募集されています。

 27日に小学館で開かれた発表会の配布資料には、「記事は法令に基づき、各種確認を経て公開判断を行います。公認ライターは社内で教育・研修を実施。すべての記事は校閲、編集部の二重チェック後に公開いたします」と、チェックを徹底することが書かれています。

 壇上に立った担当者も「よりパワーアップした、新しいメディアを目指します」と力を込めました。しかし質疑応答は無かったため、具体的にどのような盗用対策がされるのかなど、以前のMERYとの違いが分からない点もあります。後日、担当者が取材に応じるとしています。

新たなMERYで予定されている、スマホアプリのイメージ
新たなMERYで予定されている、スマホアプリのイメージ 出典:MERYのプレスリリースより

その2:高すぎた成長目標

 問題の背景には、主力のゲーム事業が先細る中、次の稼ぎ頭を見つけようと焦っていたDeNAの姿勢がありました。

 調査報告書によると、守安功社長が自ら主導して、2019年までにキュレーションサイト事業を時価総額2500億円相当へと成長させる目標を設定。主力のMERYにも、3カ月あたり10億円の営業利益を稼ぎ出す高い目標が課せられました。

 MERYでの記事公開数は実際に急増し、最終的には月間約6000本にものぼりました。

 発表会では、新たなMERYのミッションを「『好き』に出会える、『好き』を届けられる世界をつくる」とし、ファッションや恋愛、ヘアスタイルなど多岐にわたる記事を毎日配信していくと説明がありました。

 ただ、配信される記事の量や、成長目標などへの言及はありませんでした。明らかな違いとしては、以前はあった一般利用者からの記事投稿は受け付けず、記事の品質を確保する点です。

その3:「MERY」ブランドなぜ残る

 最後にそもそも「MERY」のブランド名は、なぜ存続することになったのでしょうか。

 不正がからんで成長したブランド名を、今後も活用していく姿勢は批判を呼ぶ恐れもあります。そこであえて運営に加わった小学館は「火中の栗」を拾おうとしているようにも見えます。

 しかし一時は女性向けサイトの覇者となった知名度は抜群で、優れたサイトができれば急速に人気を得る可能性もあります。

 不祥事によるマイナスイメージを上回る「全く新たなサイト」としての魅力や信頼を生み出せるのか。残された「宿題」への取り組みが問われています。

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