閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2017年09月01日

「イスラム国」驚きの「シノギ」 買うと損する金貨、略奪、密売も

  • 5320

イスラム国(IS)がつくった金貨。上部に「イスラム国」、中央に「21カラット 1ディナール 4.25グラム」、下部に「カリフの統治は預言者の道」などと書かれている。モスル市内の貴金属店で見せてもらった=2017年5月31日、仙波理撮影

イスラム国(IS)がつくった金貨。上部に「イスラム国」、中央に「21カラット 1ディナール 4.25グラム」、下部に「カリフの統治は預言者の道」などと書かれている。モスル市内の貴金属店で見せてもらった=2017年5月31日、仙波理撮影

 またたく間に勢力を広げ、中東のイラクとシリアの広い地域で制圧した過激派組織「イスラム国」(IS)は、「国家」を自称していました。自ら貨幣もつくっていたといいます。その財源を支えたのは略奪、密売、上納金など、ヤクザ顔負けの「シノギ」でした。知られざるISの錬金術を解説します。(朝日新聞国際報道部)

「省庁」や「知事」を設置、独自の通貨も

ISに爆破されたモスルのヌーリ・モスク脇を通って避難する住民=2017年7月2日、杉本康弘撮影

ISに爆破されたモスルのヌーリ・モスク脇を通って避難する住民=2017年7月2日、杉本康弘撮影

 ISは2014年6月、イラク北部の都市モスルを制圧すると、自分たちは「国家」になったと宣言。モスルはイラクで2番目に大きい都市で、約200万人が住んでいました。

 それまでに支配していた都市も含め、ISはシリアとイラクにまたがる広大な地域を「領土」としました。

ISがモスルを制圧した2014年6月の時点で、支配下にあると主張していた地域

ISがモスルを制圧した2014年6月の時点で、支配下にあると主張していた地域

出典: 朝日新聞

 形だけの宣言にとどまらず、ISは国家としての体裁を整え始めます。

 法務、宗教、戦争、鉱物資源など14の「省庁」をつくって専門家や「官僚」を置き、支配地域には「知事」を任命しました。

 さらに、独自の金・銀・銅貨も発行。道路の補修といった住民サービスも提供し、ガソリンの販売価格は半値に下げたといいます。

1枚買うと2000円を損する金貨

ISが発行したとされる貨幣=インターネット上の動画から

ISが発行したとされる貨幣=インターネット上の動画から

出典: 朝日新聞

 戦闘員には給料を支払い、ネット上を中心に宣伝活動にも力を入れていました。

 こうしたことをするためには、まとまったカネが必要です。

 収入源の一つとされるのが、略奪。ISはモスル占領時に銀行を襲い、5億ドル(約550億円)ともいわれる大量の現金を手にしました。

 身代金目的の誘拐も多発しました。

ISがつくった金貨。麦があしらわれ、「イスラム暦1436年」「1ディナール」など書かれている=2017年5月31日、仙波理撮影

ISがつくった金貨。麦があしらわれ、「イスラム暦1436年」「1ディナール」など書かれている=2017年5月31日、仙波理撮影

 インターネットで公開された動画では、アラビア語で「イスラム国」と刻印された金貨を手に喜ぶ住民の様子が映し出され、米ドルのことを「無価値の紙切れだ」と批判しました。

 しかし実際には、住民たちは「買うと損をする」と嫌がっていたといいます。

 というのも、金貨の価値は19万イラクディナール(日本円で約1万7千円)ほどしかないのに、21万イラクディナール(約1万9千円)で売りつけていたからです。

石油の密売、収入の4分の1を占める

フランスのテロリズム分析センターが推計した、ISの収入のうちわけ

フランスのテロリズム分析センターが推計した、ISの収入のうちわけ

出典: 朝日新聞

 金貨1枚あたり約2000円のピンハネ。石油業者らがしぶしぶ買っていたそうです。

 ISの通貨は、もともとあったイラクディナールに取ってかわることはありませんでした。ただ、ISが支配する油田でとれた石油の取引には、この独自通貨を使うことが強制されたといいます。

 ISは石油の生産や流通を地元住民に任せていました。その代わり、金貨を使って手数料を納めさせていたのです。

 フランスのテロリズム分析センターの推計では、2015年の1年間でISの収入は約24億ドル(約2600億円)。その25%が石油の密売によるものだったそうです。

寄付の名目で金銭巻き上げ

戦闘で破壊し尽くされたモスルの旧市街から避難する住民=2017年7月2日、杉本康弘撮影

戦闘で破壊し尽くされたモスルの旧市街から避難する住民=2017年7月2日、杉本康弘撮影

 ところが、最大の金づるは別にありました。支配地域の住民、約800万人から巻き上げた「税」や「罰金」です。収入全体の33%を占めたといいます。

 ISは「聖戦士へのカンパ」を名目に、住民に対して金銭の支払いを強制。イスラム教徒の義務とされている「喜捨」だと言い張って正当化しました。本来の「喜捨」は、貧しい人たちへの寄付が目的です。しかし、ISの支配下では戦闘員や関係者ばかりが肥え太りました。

 毎月の売上高の20~25%を支払え、さもなければ店は没収だ。そうISに迫られたと、モスルの商店主らは朝日新聞の取材に証言しています。「ショバ代」を迫るヤクザのようなやり口です。

ISの支配地域は徐々に狭くなっている

ISの支配地域は徐々に狭くなっている

出典: 朝日新聞

 イラク政府軍は2017年7月、モスルを奪還。人口密集地を失ったことで、ISの収入は8割減少するとイギリスの調査会社は分析します。

 ただ、イラク人研究者のヒシャム・ハシミ氏は、ISが現在もシリア東部の油田の6割を支配し、月5000万ドル(約55億円)以上を得ているとみています。

 戦闘を続ける余力は、なお残っていると言えそうです。

盛り髪、うさみみ…イスラム女子のヒジャブ(スカーフ)活用コスプレ
前へ
ryousukeさん
次へ
出典:本人提供
1/46
前へ
次へ


あわせて読みたい

「あんまり頑張らないで、でもへこたれない...
「あんまり頑張らないで、でもへこたれない...
武田双雲が語る「新社会人のココロエ」
武田双雲が語る「新社会人のココロエ」
PR
見事な三段オチ! ヒョウ「家系図」が話題 ベルとチャイムの子は…
見事な三段オチ! ヒョウ「家系図」が話題 ベルとチャイムの子は…
NEW
はじける笑顔で「自殺防止」ポスターへの違和感 制作者の狙い
はじける笑顔で「自殺防止」ポスターへの違和感 制作者の狙い
NEW
ボヘミアン・ラプソディ、離島にも広がる「応援上映」明暗もくっきり
ボヘミアン・ラプソディ、離島にも広がる「応援上映」明暗もくっきり
「オジサンの家系図」って何なの? かごしま水族館のTシャツが話題
「オジサンの家系図」って何なの? かごしま水族館のTシャツが話題
女性の障害者が語る「性の悩み」夜の生活「イマジネーションの世界」
女性の障害者が語る「性の悩み」夜の生活「イマジネーションの世界」
テクノロジーをあやつるサムライの動画がシュールすぎると話題に
テクノロジーをあやつるサムライの動画がシュールすぎると話題に
PR
わんこそば? いえ「にゃんこそば」です! 売り上げの一部を寄付へ
わんこそば? いえ「にゃんこそば」です! 売り上げの一部を寄付へ
NEW
温かいポカリ? あっ!確かにあった「ホットポー」 大塚製薬に聞く
温かいポカリ? あっ!確かにあった「ホットポー」 大塚製薬に聞く
絶対ぶつからないボール? 8方向から16個が行き来、藝大卒展が話題
絶対ぶつからないボール? 8方向から16個が行き来、藝大卒展が話題
笑顔を誓った。それなのに…バレンタイン「非モテの俺」に起きたこと
笑顔を誓った。それなのに…バレンタイン「非モテの俺」に起きたこと

人気

もっと見る