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まるでペン!「茶ッキー」 持ち運べる茶筒、溶接業から転換し主力に
粉末茶を入れて持ち運ぶ容器「茶ッキー」がツイッター上で話題になっています。
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粉末茶を入れて持ち運ぶ容器「茶ッキー」がツイッター上で話題になっています。
【ネットの話題、ファクトチェック】
粉末茶を入れて持ち運ぶ容器「茶ッキー」がツイッター上で話題になっています。油性マーカーのような形の意外性や、そのネーミングに注目が集まっていますが、この商品を作っている静岡県島田市の会社は、もともと溶接業としてスタート。実は、2年前に話題になった三島食品のペン型「ゆかり」の容器も手がけています。開発の経緯を取材しました。
今月28日、「職場でコレ使ったらまた上司に『疲れてるなら帰っていいぞ…』と言われそうなペン買った」という文言とともにツイッター投稿された4枚の画像。
そこには、油性マーカーのようなペン型の容器が写っていて、「茶ッキー 極うま」と書かれています。キャップを外すと中には粉末状のお茶が入っていて、実際にお茶を入れる様子や商品パッケージに書かれた使用方法なども写されています。
この投稿に対して、「欲しい」「ふりかけのは見たことがある」「進化型の茶筒だな」といったコメントが寄せられ、リツイートは3万、いいねは4万を超えています。
茶ッキーを製造・販売しているのは、静岡県島田市にある有限会社「浅原工業」です。
1980年4月、溶接業を主として創業した会社で、場所柄もあってお茶に関する機械の改良などを手がけていました。
社長の浅原克好さん(61)がお茶生産者と話す中で、よく聞かされていた需要低迷という課題。2008年の年末、新聞紙面に「エコ」と「携帯」が流行語と書かれているのを眺めていて、中身を入れ替えて持ち運べるペン型の容器を思いついたそうです。
「低迷している茶業界の発展に、微力ですが貢献できているのではないかと思って開発しました」
衛生面や詰め替え方法などを検討して、2009年春に「好きだっ茶」として発売。その後も改良を続け、商標登録を得た上で2014年春に「茶ッキー」として販売を始めました。
ちなみに、現在は両方ともラインナップされており、名前とパッケージが違うだけだそうです。
転機が訪れたのは2014年。赤しそのふりかけ「ゆかり」で知られる三島食品の「ゆかり ペンスタイル」のヒットでした。
サイズは長さ14センチ、直径1.5センチで、容量は6グラム。ペン先の直径3ミリの穴から、ゆかりが出てくる仕組みで、使い終わった後は、袋タイプのゆかりを詰め替えることができるようになっています。
入荷次第売り切れるほどの人気になったゆかりペンスタイル。実はこの容器を作っているのが浅原工業で、茶ッキーの仕組みをそのまま使っているのです。
ゆかりペンスタイルが話題になったことで、茶ッキーにも注目が集まり、現在は月3000本ほどが売れているといいます。
お茶に限らずウーロン茶や紅茶、唐辛子などの香辛料までラインナップし、自社販売以外にも三島食品の例のように他者向けに容器販売も手がけるようになり、本業だった溶接業よりも売り上げが多くなり、主力事業になっているそうです。
溶接業からペン型容器への事業転換について、浅原さんはこう振り返ります。
「すごくいいことだと、プラスに捉えています。職人として自分の技を評価してもらうのも嬉しいですが、自分のアイデアが形になって喜ばれるのを見るのも、とっても楽しいですから」
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