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IT・科学

「ハンドスピナー」どんな効果が? 脳の専門家に聞いてみた…

ハンドスピナー、回したことありますか?
ハンドスピナー、回したことありますか?

目次

 「ハンドスピナー」って、最近よく聞きませんか。中心部分を指ではさんで羽をはじくと、手の中でくるくるくるくる回り続けるおもちゃです。アメリカ発で、どうやら世界的にブームになっているよう。でもぶっちゃけ「ただ回るだけ」です。「何が楽しいの?」と思う人もいるんじゃないでしょうか。日本の第一人者から、脳の専門家。そしてライバルになるかもしれないペン回しの達人まで、疑問をぶつけてきました。

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ハマってる人に聞いてみた

 まずは、日本での流行にいち早く反応している人に聞きに行きました。

 

山本さん

そもそもは1993年、アメリカ合衆国のキャサリン・ヘディンガーさんという女性が発明したものが原型です。彼女は筋無力症という腕や脚の力が弱くなる難病で、筋力がなくても娘と遊べるおもちゃとして開発したそうです


 今春から海外製のハンドスピナーの仕入れ、販売をしている会社経営者の山本智也さん(33)=東京都=が解説してくれました。山本さんはこの夏、ハンドスピナーについて解説した本も出版するそうです。

ハンドスピナーの回し方

 このおもちゃ、開発された当初はまったくヒットしませんでした。それが昨年末ごろ、アメリカで「手持ちぶさたの解消にいい」と雑誌などで取り上げられると、突然ブームになったそうです。

 アメリカでは授業中にくるくる回す子どもたちが続出して「ハンドスピナー禁止」のお触れを出す学校もあるくらいの人気ぶりだとか。いまはヨーロッパやアジアにも広がっています。

 日本では、人気YouTuberがハンドスピナーで遊ぶ動画を配信するなどして、5月ごろからじわじわとハマる人が増えているようです。雑貨店や家電量販店のおもちゃコーナーなどで売られ始め、インターネットの通販サイトなどでも数多くの商品が並んでいます。

 でも、回している様子を見ても、「え、それだけ?」という感じじゃないですか? いったい、なにがおもしろいのでしょう。

 

山本さん

 何も考えずに回すと、なんか気持ちいいんですよね。説明するのが難しいんですが。簡単にだれでも遊べるし、仕事をしながらでも気づくと回してしまっています
ハンドスピナー、なにがおもしろい?

 実際に回してみると、ひっかかりなくスーっと回転し続けます。自動車などの機械の回転部分に使われて摩擦を減らす「ベアリング」という部品が使われているため、3分以上止まらずに回るものもあるそうです。

 私もひとつ、買ってみました。回してみると、回転する動きが指に伝わってきて、たしかに、なんか気持ちいい。

効果はあるの? 聞いてみた

 ひょっとして、ハンドスピナーには回したくなってしまう医学的な効果があったりするのでしょうか? それなら、ハマってしまう理由にもなるのかも。

 次は、専門家に聞きました。


 手の動きと脳の関係を研究している国立精神・神経医療研究センターの関和彦部長(神経生理学)によると、「『集中力が増す』『ストレス解消になる』という宣伝がされることもあるようですが、ハンドスピナーにどんな効果があるのかは、まだはっきりとはしていません」。

 ハンドスピナー自体が効果をもたらすかどうかはわからないとした上で、こんな風に話してくれました。

 

関さん

 サルは道具を使うことで脳が発達して、人に進化してきました。新しいおもちゃで手を使うということは、脳に刺激を与えることにはなります。脳の活動に何らかの影響を与えることになるかもしれませんね
サルは、道具を使ったことで脳が発達して、人に進化した。
サルは、道具を使ったことで脳が発達して、人に進化した。 出典:PIXTA

 ハンドスピナーで遊ぶことにどんな効果があるのか、なぜくるくる回るだけのおもちゃにとりこになる人がいるのか。解明が待たれます。

ペン回しのプロにも聞いてみた

 ところで、ハンドスピナーは「次世代ペン回し」と呼ばれてもいるそうです。たしかに、「なんとなくやってしまう」感じが、似ているような。

 もしかして、これからはペンではなくハンドスピナーを回すのが当たり前になるのでしょうか。そして、どっちがおもしろいのか……。

 「プロ」のペン回しパフォーマーに話を聞いてみました。

ペン回しのプロ、スゴすぎる演技

 2012年から大道芸やイベントなどのパフォーマンスとしてペン回しを披露しているKay(ケイ)さん(25)=神奈川県相模原市=は、ハンドスピナーのことは、どう見ているのでしょうか。

 

Kayさん

 話を聞いたときは「回るだけじゃん」と思いました。でも実際やってみると気持ちよさ、おもしろさはわかりました。ただ回すだけじゃなくて、回しながら投げたりとか、技の開発をしたくなりますね

 意外にも好感触です。ライバル出現と聞いて、6月には自分でもハンドスピナーを購入したそうです。

 Kayさんによると、技を競い合う本格的なペン回しはここ10年ほどで盛んになっていて、2007年には世界大会も初めて開かれました。10秒ほどの技を組み合わせて動画として編集し、その動画の完成度で勝負します。

 ペン回しに取り組んでいる人の8割くらいが中高生で、ほとんどの人がシャーペンやフェルトペンなどを分解してパーツをくっつけるなど、改造して手作りした専用のペンを使っているそうです。

Kayさんが自分で改造してつくったペン回し専用のペン。太さやグリップ、色など、こだわりがあるそうです。
Kayさんが自分で改造してつくったペン回し専用のペン。太さやグリップ、色など、こだわりがあるそうです。

 

Kayさん

 ペン回しは技が100種類くらいあります。ハンドスピナーはまだ回すだけです。ペン回しのほうがまだまだ100倍おもしろいと思いますね。ハンドスピナーのブームにあわせて、ペン回しも盛り上がってほしいです

 最後はやっぱり、ペン回しへの自信をのぞかせました。

ペン回しのプロ、ハンドスピナーを一刀両断

 最初はよくわからなかったハンドスピナーのおもしろさ、いろんな人の話を聞いて、自分でもくるくる回しているうちに、なんとなーく感じられたような気がします。

 私の机に置かれたハンドスピナーを見て、同僚や上司もこっそり(?)回していたようです。人が回しているのを見ると、ちょっとやってみたくなるおもちゃなのかもしれません。

 まだまだ始まったばかりのハンドスピナーのブームは、今後どこまで広がるのか。気になる方はぜひ一度、回してみてはいかがでしょう?

たくさん、回してみました

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