世界遺産の知床に塩鮭投棄 熊への餌付けと思いきや、意外な見方が…
「ソーセージの悲しい最後」

人に近づけまいとした対策も空しく、小学校そばに現れた彼女は駆除の対象になってしまいました。
エサを与えたとされる形跡、月に2~3回ほど
「お弁当やクラッカーなど、明らかにエサを与えた形跡を、月に2~3回見かけます」
8月は観光客や地元の住民など、森に人が集まりやすい時期だといいます。
エサやりの形跡を見つけ、注意喚起のために画像を投稿しようとした際に、以前配布されていたクマのポストカードの存在を思い出し、合わせて投稿しました。
【餌やりもゴミ捨てもNG】
— 森の中の支配人【自然ガイド・ぼんちゃん】 (@Mgr_in_Forest) 2017年8月2日
津別峠へ向かう道路脇で、残念な落し物を見つけてしまった今朝。
単なるゴミ捨ても悲しい出来事ですが、こちらはそれ以上に悲しい出来事。
どうやら車から森の動物に餌を与えた感じのゴミの痕。
ゴミの不法投棄はモチロン、野生動物への餌やりも絶対NG!
(>_<) pic.twitter.com/Qm3ZQwfnKs
【えさやり厳禁】
— 森の中の支配人【自然ガイド・ぼんちゃん】 (@Mgr_in_Forest) 2017年8月2日
先ほどのツイートにも掲載しましたが…改めて。
人とクマがうまくやっていく道はあるはずだ。
「ソーセージの悲しい最後」と題した文章。
ぜひ北海道の大自然を訪れる前に読んで頂きたい内容です。
m(_ _)m pic.twitter.com/M5Iu9fpmQm
ヒグマの大量出没の年に配布
ポストカードは2012年に配布を開始したものだそうで、現在は、英語版や中国語版も配布しているといいます。

知床財団によると、少しでもトラブルを減らすために、人間側に働きかける手法として、少し刺激が強い写真を用いて配布することにしたといいます。
エサやり、動物・人間どちらにも良いことはない
上野さんは、普段自然ガイドをする際に次のように説明しているといいます。
①動物の体によくない
人間の食べ物には自然の中にはない化学調味料や塩分、糖分などが多く含まれています。これを食べても消化ができず、動物がお腹を壊してしまうこともあるといいます。
②人や車を食べ物と結びつけてしまう
エサをもらえることを知った動物は、人や車を見たら食べ物を結びつけ、近付いてきてしまいます。これによって、交通事故に遭ったり、人を襲ったりすることもあるそうです。
③感染症にかかる危険性も
キタキツネなど野生動物の中には、エキノコックスなどの寄生虫が寄生している個体もいます。接触を機に、人間がこれらに感染する可能性もあります。
上野さんは「クマに限らず、毛の生え替わりの時期のキツネは、やせ細って見えるため、かわいそうと思ってエサを与えてしまう人もいる」と言います。
「エサを与えようとすることで動物、人間のどちらにも良いことはありません。悪意でない場合も多いので、情報が広く知られるように伝えていきたい」と話しています。

「問題個体」となるヒグマを「増やさないこと」
計画によると、ヒグマによる被害は、単にクマが多い場所で発生するだけではなく、一部の「問題個体」に起因することが多いとのことです。
「問題個体」とは、人の活動に実害をもたらすクマや、人につきまとったり、攻撃したりするクマのことをいいます。ヒグマの有害性と出現した場所に合わせて段階的に対応を定めており、「問題個体」とされるヒグマが定住者がいる地域に出現すると、基本的に駆除の対象となります。

悲しい結末を繰り返さないために
同じく「知床半島ヒグマ管理計画」では、観光客など知床半島を利用する人や、地域住民に求められる行動を定めています。
「ヒグマの存在を常に意識する」、「ヒグマを誘引するような食物・ゴミの管理を徹底する」、「廃農産物や畜産廃棄物等を放置しない」など、ヒグマを人に慣れさせないための行動や、環境づくりが示されています。
また悪質な行動については、条例によって氏名の公表や、罰金等の罰則の対象となることもあります。

「自分だけではなく、自分の子どもや孫の代まで、この知床の森の姿があり続けられるように知ってもらいたい」と話しています。
ゴミの投棄、またはよかれと思ってエサを与えたことが、結果的には不幸な結末を繰り返すことにつながります。人身事故や捕獲対象となるヒグマを不必要に増やさないために、「ソーセージの悲しい最後」はたくさんの人に知ってもらいたい、とても悲しいストーリーでした。