夏場のエアコン、つけっぱなしの方が電気代安くなるって本当? ツイッターに投稿した漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題になった漫画家・吉谷光平さんが描きました。


「すべての電化製品には待機電力がかかるため、プラグを抜いたほうが省エネになる」
この答えは……「×」。
一般に広く知られる省エネの方法のようにも感じますが、そもそも洗濯機やドライヤーは、ほとんど待機電力を消費しません。最近では、電子レンジなども待機電力があまりかからない製品が増えています。テレビの予約録画など、電源を入れていない時の機能を想定した家庭用電化製品(家電)もあります。
また、エアコンは待機時に内部の冷媒を循環させており、プラグを抜いた状態から急に使うと故障する恐れがあります。そのため、頻繁に使う夏場や冬は抜くべきではありません。
「とにかくプラグを抜けばいい」というものではなく、機器ごとの特徴を正しく把握することが大切です。

ほかに「エアコンの風量は弱く設定するほど省エネになる」というのも正しくありません。設定温度に達するまで時間がかかって余計に電力を消費するためで、「自動」に設定するのが最も省エネになりやすいそうです。
こうした問題は、節約や節電方法などで多くの著書がある消費生活アドバイザーの和田由貴さんが作りました。和田さんは「まるっきり無知ではありませんが、正しい情報はよく知らないという人が多かった」と分析します。
なぜ「誤解」が生まれるのでしょうか。家電の性能が進化し、これまでの「常識」が変わってきた面もありますが、インターネット上などであふれている情報にも注意が必要です。
和田さんは以前、「エアコンをつけたり消したりするより、24時間つけっぱなしにしていた方が電気代が安くなった」という投稿がSNS上で拡散されているのを見つけました。それを読んだ友人が試したところ、逆に電気代が大きく上がってしまったと言います。
和田さんは「その人の使い方、部屋の日当たりなどの環境、機器の種類など条件次第で変わるので、安易に飛びつくべきではありません」と呼びかけています。
資源エネルギー庁によると、冷蔵庫、照明、テレビ、エアコンで家庭の消費電力量の4割ほどを占めています。この4点を中心に、効果が大きく見込めるものから正しい省エネに取り組むことを和田さんはすすめています。
「まずは、こうした製品の買い替えを検討したり、取り扱い説明書で省エネに関する記載を確認するなど、正しい使用方法を意識したりすることから始めてみましょう」

家電の省エネ性能は年々進化しています。例えば、家庭で最も多く電力を消費するとされる冷蔵庫。環境省によると、容量が550~599リットルで10年前と現在のモデルの製品を比較した場合、一般的に消費電力量は半分ほどになっています。
環境省の担当者は「年間の電気代は1万円ほど安くなり、買い替え費用を踏まえてもお得になる場合もあります」と、その効果を説明します。
家電売り場に行くと、冷蔵庫やエアコン、テレビ、照明などの製品には省エネ性能の高さを示す「統一省エネルギーラベル」がついており、性能を選ぶ際の参考になります。
環境省が提供しているスマートフォン向けのアプリ「COOL CHOICE」には、このラベルにカメラをかざすことで10年前の製品との省エネ性能の差が表示される機能もついています。担当者は「家電の上手な選択は、家計の節約にも地球温暖化対策にもつながります。こうしたツールを使って買い替えも検討してみてほしい」と話しています。

【よしたに・こうへい】 漫画家。サラリーマン生活や漫画家アシスタントなどを経て、月刊スピリッツの「サカナマン」でデビュー。漫画アクションで「あきたこまちにひとめぼれ」を連載中、月刊ヤングマガジンの連載「ナナメにナナミちゃん」の単行本1巻が発売中。ツイッターで公開した2ページ5コマの漫画「男ってやつは」が〝30秒で泣ける〟と話題に。