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話題の商店街ポスター「名コピー」誕生秘話 常連も登場、2人は他界
大阪の商店街にある美容用品店のポスターが、ネット上で話題になっています。
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大阪の商店街にある美容用品店のポスターが、ネット上で話題になっています。
【ネットの話題、ファクトチェック】
「男のために化粧しているうちは、お子ちゃま」。大阪の商店街にある美容用品店のポスターが、ネット上で話題になっています。印象的なキャッチコピーとともに写っている女性たちは、店の常連客と店主。コピーライターが常連客に取材する中で聞き出したフレーズをもとにコピーを決めたそうです。ポスターの仕掛け人に話を聞きました。
今月23日、ツイッターに投稿された4枚のポスター。それぞれシニア世代の女性が1人ずつ写っていて、印象的なコピーが添えられています。
この投稿に対して、「こういう広告を求めてるの!」「どれもめっちゃ好き」「こういうおばあちゃまになりたい」といったコメントが寄せられ、リツイートは4万5千、いいねは10万を超えています。
ポスターの店は、文の里商店街(大阪市阿倍野区)にある「ビューティーショップ ドリアン」です。
このポスターが作られたのは2013年。大阪商工会議所と文の里商店街協同組合が、電通関西支社の協力を得て51店舗を対象に200枚超のポスターを製作したうちの一部です。
電通の若手60人ほどが参加し、コピーライターとデザイナーが2人一組のペアになってチームをつくって各店を担当しました。
商店街ポスターは定期的に何度も話題になり、テレビや新聞など30を超えるメディアに掲載されました。大阪商工会議所では「広告費換算で3億円超のPR効果があった」と分析しています。
「どんなポスターになるのかドキドキしましたが、出来上がりを見て『いいものできたな~』とビックリしました」。ドリアンの森田順子さんは、そう振り返ります。
担当したのはアートディレクターの男性とコピーライターの女性で、常連客に話を聞きながら、そこで聞いた言葉をもとにキャッチコピーを考案。ポスターに登場する女性は、常連客3人とドリアンの店主に決まりました。
「4人の言葉に重みがありますよね。上っ面じゃないというか。お二人はすでに亡くなっていますが、残るお二人は今もお元気です」と森田さん。
「店には今も4枚とも飾ってあって、『あれ、いいね』と声をかけてもらえると、嬉しくなります。なくてはならないものですし、ポスターに負けないよう店を頑張ろう、って気になります」
商店街ポスターを発案したのは、電通関西支社のコピーライター・日下慶太さん(40)です。
「ドリアンさんのポスターは何度かダメ出ししたのを覚えてます。でも、自由にものを作ったら、こんなに面白い物ができた。若手が伸びるための財産になったと思ってます」
何度も繰り返し話題になる理由について、日下さんはこう分析しています。
「タレントを起用した広告だと、掲載期間が限定されていることが多いのですが、今回は店主やお客さんたちだし、今でもポスターは現地に貼られてます。あと、200枚以上とポスターが多いことも関係しているかもしれません。お金はかかってないけど、自分たちが面白いと思うものを世に出した結果、『このままやったらええやん』と背中を押してもらえて、僕たちもうれしいです」
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