close

閉

これフカボリしてほしい

リクエストする

閉

2017年07月24日

「ブン蚊都市」佐賀で学んだ、刺されない生活 血液は別腹?羽音の謎


  • 40361

ヒトスジシマカ=長崎大学熱帯医学研究所の川田均准教授提供

ヒトスジシマカ=長崎大学熱帯医学研究所の川田均准教授提供

最新ニュースを受け取る

 存在感のない県として存在感のある佐賀ですが、蚊が多いことでも有名です。中心部にも水田や水路がある街並みは、蚊にとってまさに天国。「ブン蚊都市」とまで言われています。蚊が血を吸うのは食事ではなく産卵のため。針は6本。羽音のラブソング。「ブン蚊都市」佐賀で学んだ「身近な嫌われ者」との付き合い方を紹介します。(朝日新聞佐賀総局記者・杉浦奈実)

佐賀、逃げ場はなさそう

 「ブン蚊都市」と揶揄(やゆ)されることもある佐賀市。市では、市内の水路1500カ所を調査してボウフラ対策をしたり、希望する地域に「防蚊対策アドバイザー」を派遣するなど力の入った事業を続けています。

 蚊に詳しい長崎大熱帯医学研究所の砂原俊彦助教によると、「都市ごとに量を比べた論文は見たことがないが、経験的には多いと思う」とのこと。

 砂原助教によると、蚊は種類によって卵を産む水面の大きさが違うそうです。佐賀は市街地の近くに水田があり、お寺も多くて墓や竹やぶなど小さな水たまりができやすい場所も多い。「蚊にとっては天国」との言葉までいただきました。

 佐賀、逃げ場はなさそうです。

コガタアカイエカの発生源、水田

コガタアカイエカの発生源、水田

あんなにかゆいのに主食は別

 砂原助教によると、ハエ目カ科の虫で、2枚の羽と長いくちばし(口吻)が特徴。空中に蚊柱をつくっているユスリカや、大きな蚊のような外見でふわふわ飛ぶガガンボはこの科ではありません。

 蚊は、ほとんどの種類のメスがヒトを含む脊椎(せきつい)動物の血を吸います。カエルや、魚の血を吸う種もいるとか。

 ただ、血を吸うのは卵をつくるため。オスもメスも、日々の「ごはん」、エネルギー源としては花の蜜などを吸っています。ちょっとかわいい。

 血の入るところと蜜が入るところは体の中で分かれているそうです。まさに別腹です。

コガタアカイエカ=長崎大学熱帯医学研究所の川田均准教授提供

コガタアカイエカ=長崎大学熱帯医学研究所の川田均准教授提供

「針」は6本

 蚊の針。1本に見えますが、解剖すると実は6本あるそうです。

 まず、血管に刺さって血を通すストローが1本。

 刃物のように肌を切り開くものが2本。

 吸っている間、支えるためのものが2本。

 そして、唾液(だえき)を送り込む管が1本。

 唾液には、血を固まりにくくし、麻酔作用のある成分が含まれていて、かゆみを引き起こします。

ヒトスジシマカが発生しやすいコンクリートブロックの穴

ヒトスジシマカが発生しやすいコンクリートブロックの穴

羽音のラブソング

 学術雑誌サイエンスには、こんなレポートが載っていました。一部の蚊は、メスとオスの羽音がうまくハモることでつがいになります。デュエットに成功すれば恋人同士になれるって、ミュージカルみたいです。
「君が好きだ♪」
「私も好き♪」
「ハモった……これは運命!」って感じでしょうか。

 知っていても、いや、知ればなおさら、耳元で奏でられたらイラっときます。

 正確に言うと、羽音そのものというより1千ヘルツほどの高音階で「倍音」を合わせているようです。違う種同士でペアになるのを防ぐ仕組みのひとつと考えられるそうです。

バケツも放置されると蚊の発生源になる

バケツも放置されると蚊の発生源になる

でも刺されたくない…

 何となく親近感が湧いてきた気もする、蚊。とはいえ刺されたくはありません。対策は、種によって違うようです。

 まず、昼間に活動する白黒まだらのヒトスジシマカは住宅地に多い小さい水たまりで発生しますが、飛距離は長くありません。発生源となる植木鉢の水受けや廃タイヤなどにたまっている水をなくしましょう。

 長距離を飛ぶ茶色いコガタアカイエカなどは、主に夜間に活動します。家の網戸をしっかり閉め、蚊取り線香を使うことなどで対策できます。

ヒトスジシマカの発生源のひとつ、雨水マス

ヒトスジシマカの発生源のひとつ、雨水マス

「刺されやすい人」の特徴は?

 蚊は二酸化炭素や体温などに反応して寄ってきますが、それってヒトなら大差ないはず。

 「刺されやすい人」「刺されにくい人」は、どうも遺伝的な何かで決まっているとのこと。肌から揮発する物質「匂い」が関係しているということが最近分かってきており、物質のリストアップが進んでいます。
 詳しく分かれば効果的な蚊対策に使えるかもしれません。

 ちなみに8月20日は「世界モスキート・デー(蚊の日)」です。

 1897年、マラリアは蚊に刺されることで感染するとイギリスの医学者ロナルド・ロス氏が発見したことに由来するとか。

あっ!蚊が入っちゃうよ 網戸の正しい閉め方
前へ
イラスト(1)は窓全開パターン。これなら虫の侵入を防げる
次へ
出典:YKK AP提供
1/6
前へ
次へ


コメント

あわせて読みたい

同棲カップルの心理戦 「プリンの恨み」と思いきや…漫画作者に聞く
同棲カップルの心理戦 「プリンの恨み」と思いきや…漫画作者に聞く
猫と警備員、1カ月ぶりの攻防! 花見の時期...
猫と警備員、1カ月ぶりの攻防! 花見の時期...
「生きる意味なんて、ほぼない。でも……」生きづらさに向き合う答え
「生きる意味なんて、ほぼない。でも……」生きづらさに向き合う答え
ブラッシングしたいのに…自意識高めな猫との生活、愛らしい絵日記に
ブラッシングしたいのに…自意識高めな猫との生活、愛らしい絵日記に
「自分らしくない」を作り上げる就活はヘンだ アウトローな仕掛け人
「自分らしくない」を作り上げる就活はヘンだ アウトローな仕掛け人
国連安保理の南スーダンへの武器禁輸決議、賛成しない国の理由は?
国連安保理の南スーダンへの武器禁輸決議、賛成しない国の理由は?
Q&A
「母に好きな人が出来た」 1500円の靴下を買った相手は…理由に涙が
「母に好きな人が出来た」 1500円の靴下を買った相手は…理由に涙が
「市川ママ駅」に改名? 京成電鉄の市川真...
「市川ママ駅」に改名? 京成電鉄の市川真...
「就活 したくない」で出るサイト ”みんな同じ”が気持ち悪い人へ
「就活 したくない」で出るサイト ”みんな同じ”が気持ち悪い人へ
朝日新聞指定席 『恋のヴェネチア狂騒曲』 ムロツヨシ
朝日新聞指定席 『恋のヴェネチア狂騒曲』 ムロツヨシ
NEW PR
一人ひとりが「自分」でいられる神秘の島 隠岐に生きる
一人ひとりが「自分」でいられる神秘の島 隠岐に生きる
PR
「あなたを犠牲にしないで…」 交換ノートめぐる漫画の作者に聞いた
「あなたを犠牲にしないで…」 交換ノートめぐる漫画の作者に聞いた

人気

もっと見る