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カンフーといえば少林寺? いやいや…「発祥の地」が猛アピール中
カンフーといえば少林寺? 実は最近は、広東のほうが有名です。1990年代に大ヒットした映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』から、2008年の『葉問』まで。登場人物であるカンフーの達人が描かれているのが広東省仏山市南海区です。5月にはカンフーを活用した観光プロモーションのため、担当者が来日。「カンフー推し」を進めています。
5月下旬、南海区がカンフー文化をPRするために、東京都内でイベントが開かれました。関係者は「カンフーを通じて観光客を呼び込みたい」と意気込みを語りました。
ちなみに南海区の「区」は、日本の「中央区」などと同じ単位として使われていますが、面積は1000平方キロメートルを超え、一つの「区」で東京23区の合計よりも広いです。2014年のデータによると、戸籍人口は126万人ですが、住民はあわせて267万人います。
南海区は、映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』の舞台となった町です。地理的に香港と近く、最近では高速鉄道の開通し、2時間ほどで行けるようになりました。
これまで農業や紡績産業などが盛んだった南海区ですが、香港経由の観光コースが開拓されたこともあり「カンフー文化」を柱にした観光に力を入れています。
アピールを始めたのは最近ですが、もともと南海区は「カンフーの師匠」と呼ばれる人物を多く輩出しており、拳法にも多くの流派があります。
ジェット・リー(李連傑)が映画『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ』シリーズで演じた主人公の黄飛鴻は、「南拳」という拳法を使っています。
6作品あるシリーズの1作目は1991年に公開され、中国本土でも大人気となりました。日本では1994年に公開されました。
『葉問』シリーズは、ドニー・イェン(甄子丹)が出演しています。主人公の葉問が使っているのは「咏春拳」という広東の拳法で、ブルース・リーもその拳法を習得しています。
南海区には、他にも多くの拳法があり、道場は110軒以上もあるそうです。
カンフーといえば、中国の河南省を中心とする中原地帯の「少林寺拳法」が世界的に有名です。一方、広東は近代カンフー発祥の地とされています。
広東は、清王朝の鎖国時代に海外貿易の重要な窓口になり、中国文化の発信基地になった場所でもあります。南海区観光局のシャオ局長によると、南海区の起源は秦の始皇帝の時代にさかのぼり、古来から「南海郡」と呼ばれていたそうです。
近年は、大規模な映画スタジオ「西樵山国芸映画城」ができ、様々なセットが組まれています。アンディ・ラオ、ジャッキー・チェン、トニー・レオンら、香港の映画スターも、たびたびロケに来ています。
長い歴史と、貿易の窓口だった立地、そして香港とのアクセスのよさ。そんな南海区は「カンフー」を看板に大都市へと生まれ変わろうとしています。
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