コラム
花道に向かう通路は、お相撲さんたちのパラレルワールドだった…
大相撲夏場所は横綱白鵬が13度目の全勝優勝を果たしました。そんな中、カメラマンが目を留めたのが、取組前の力士たちの姿でした。十両以下の取組は、幕内力士ほど時間をかけずに次々に進んでいくので、花道に続く通路は取組を待つお相撲さんたちが列をなします。テレビではうかがい知ることができない彼らの姿にレンズを向けました。
撮影したのは朝日新聞映像報道部の恵原弘太郎カメラマンです。
花道そばの通路で取り組み前に集中を高める大砂嵐。夏場所は十両筆頭で迎えましたが、7連敗などもあり2勝13敗と苦しみました。お客さんが座る席の下に通っている通路は、力士たちの集中の場でもあります。壁に頭をつけて物思いにふける大砂嵐の集中を乱さないように、遠目からカメラを構えました。背中から緊張が伝わってくるようです。
同じように、幕下の魁渡も壁に向かって目を閉じて集中力を高めていました。
幕下の白鷹山は取組を想定しながら体を動かします。
取組前の集中の高め方は様々。取組前に対戦相手を想定しながら、体を動かす力士も多いのですが、その表情は真剣そのものです。
花道で出番を待つ力士の視線の先には、取組中の土俵が。
出番を待つ力士たちの肩越しに、土俵に向かってカメラを向けました。取組前の彼らは、どんな思いで土俵を見つめているのでしょうか。
取組を終えて支度部屋に引き上げる力士と、これからの戦いに備えて気合を入れる力士。様々な思いが通路を交錯しています。カメラがとらえている豊ノ島は、関脇も務めたベテランですが、現在は幕下19枚目。十両復帰に向け、必死の土俵が続きました。
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