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同性婚の首相 パートナー男性に、ホワイトハウスが「残念な対応」

2015年5月15日。結婚式を終え、市役所に姿を現したルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相(右)と、夫のゴーティエ・デストネさん
2015年5月15日。結婚式を終え、市役所に姿を現したルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相(右)と、夫のゴーティエ・デストネさん 出典: ロイター

目次

 アメリカのドナルド・トランプ大統領が初参加したNATO(ナトー、北大西洋条約機構)の首脳会議。そのかたわらで撮影された1枚の記念写真が話題を集めています。メラニア・トランプさんをはじめ、各国首脳の夫人が並ぶなかに1人の男性。同性婚をするルクセンブルク首相のパートナーでした。その記念写真にホワイトハウスがとった「残念な対応」が話題になりました。

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女性の中に、男性が1人の記念写真

こちらが話題を呼んだ記念写真。ベルギーの首都ブリュッセルで撮影された=2017年5月25日
こちらが話題を呼んだ記念写真。ベルギーの首都ブリュッセルで撮影された=2017年5月25日 出典: ロイター

 写っているのは前列左から、フランスのマクロン大統領の妻ブリジットさん、トルコのエルドアン大統領の妻エミネさん、そしてメラニアさんら。

 後列のいちばん左にいるのが、ルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相(男性)の夫、ゴーティエ・デストネさんです。

破顔するゴーディエ・デストネさん(左)と、手を上げるルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相=2015年5月15日
破顔するゴーディエ・デストネさん(左)と、手を上げるルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相=2015年5月15日 出典: ロイター

 ルクセンブルクはフランス・ベルギー・ドイツに囲まれた人口57万人の国で、ベッテル首相は44歳。

 欧米メディアによると、デストネさんはベルギー生まれの建築家で、2010年からパートナーの関係にあるそうです。

 ベッテルさんが首相になったのは2013年。それ以前からゲイであることを公表していたといいます。

 「私にはただ一つの人生しかない。自分の人生を隠したくない」「人びとは、私がゲイだから、あるいはストレートだから、投票したわけではない」。

 アメリカの新聞ロサンゼルス・タイムズは、ベッテル首相のそんな発言を紹介しています。

カトリックの総本山が招待

バチカンを訪れたベッテル首相とデストネさん。ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王に面会した=2017年3月24日
バチカンを訪れたベッテル首相とデストネさん。ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王に面会した=2017年3月24日 出典: ロイター

 ベッテル首相のもと、ルクセンブルクは同性婚を合法化。2人は2015年、正式に結婚しました。

 同性婚は、EU(欧州連合)の現役首脳では初めてのことです。

 2人はローマ・カトリック教会(キリスト教)のフランシスコ法王から招待を受け、2017年3月にバチカンを訪れました。

 キリスト教は歴史的に同性愛を「性の逸脱」ととらえ、最近は認める姿勢も広がってはいるものの、なお信者には根強い反発があります。

 そんななか、法王の姿勢は同性愛の容認に向けた「強いメッセージ」と受け取られました。

ゴーディエ・デストネさん(左)の手をとるルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相。プロポーズをしたのはデストネさんだったとか=2015年5月15日
ゴーディエ・デストネさん(左)の手をとるルクセンブルクのグザビエ・ベッテル首相。プロポーズをしたのはデストネさんだったとか=2015年5月15日 出典: ロイター

国内では「良い意味で無関心」 外国報道陣も好意的

 ロサンゼルス・タイムズに対し、ルクセンブルクの20歳の女子学生は「首相のフェイスブックにはしょっちゅう2人の写真がアップされるけど、記事にも見出しにもならない。みんな良い意味で無関心……いまの社会のあらわれなんでしょうね」と話しています。

 とは言え、国内では当たり前でも、一歩外へ出ればまた別の話。

 世界中の報道陣が集まったNATO首脳会議で、女性の中に男性が1人でまざっている姿は注目を集め、各メディアでとりあげられました。

 もっとも、「ファーストレディーならぬファーストジェントルマンだ」などと珍しがりつつ、同性愛への理解が深まりつつある世相を反映し、報道は好意的でした。

スロベニア、アイスランドの首脳夫人と談笑するゴーディエ・デストネさん(左)=2017年5月25日
スロベニア、アイスランドの首脳夫人と談笑するゴーディエ・デストネさん(左)=2017年5月25日 出典: ロイター


ホワイトハウスの公式フェイスブックに…

 ところが、思わぬ波紋が広がります。やったのはアメリカです。

 ホワイトハウスの公式フェイスブックが、冒頭で紹介した「首脳夫人」10人の集合写真を投稿。

 写っている全員の名前を1人ずつ列挙したのに、なぜかデストネさんの名前だけがありませんでした。

ホワイトハウスが投稿したのと同じ構図の写真。10人並んだ首脳の配偶者のうち、デストネさんの名前だけがなかった=2017年5月25日
ホワイトハウスが投稿したのと同じ構図の写真。10人並んだ首脳の配偶者のうち、デストネさんの名前だけがなかった=2017年5月25日 出典: ロイター

 コメントは1000件を超え、「同性愛への嫌悪だ」「わざとなのか」と非難が相次ぎます。

 後に修正され、デストネさんの名前も書き加えられました。

 単なるケアレスミスだったのかもしれませんが、水を差す結果となってしまいました。

ベッテル首相とデストネさん。末永くお幸せに!=2015年5月15日
ベッテル首相とデストネさん。末永くお幸せに!=2015年5月15日 出典: ロイター

 ちなみにヨーロッパには、アイスランドのシグルザルドッティル元首相(女性)、ベルギーのディルポ前首相(男性)、ドイツのベスターベレ元外相(男性、2016年に死去)、パリのドラノエ前市長(男性)など、同性愛を公言している政治家が少なくありません。

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