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ライトアップされない桜並木…カメラマンが惚れ込んだ「関西の花見」
桜の撮影スポットをカメラマン目線で探してみました。
ライトアップ「されない」桜並木。雨の日のお花見会場。普段とはちょっと違う桜の風景があります。カメラマンが惚れ込んだ「今年のサクラ」を紹介します。
毎年大勢の人でごった返す大阪城公園。2017年は、桜が満開を迎えた週末にちょうど雨が重なり、お花見の計画が台無しになりました。でも、そんな日だからこそ見られる光景もあります。
人もまばらな朝、公園内で桜の花びらについた雨粒をのぞき込むと、満開の桜や城の天守閣が逆さまに映り込んでいました。わずか数ミリの小さな世界。静かな公園内をゆっくりと散策しながら、春を感じることができました。
川の堤防に1.4キロにわたって桜のトンネルが続く京都府八幡市の背割堤も、よく知られた桜の名所です。バーベキューを楽しむ花見客や、ウェディングドレス姿で写真を撮る観光客など、日中は大勢の人でにぎわいます。今年3月には、高さ約30メートルの展望塔もオープンし、1日に3千人以上が利用したそうです。
ところが、この堤防には街灯がないため、太陽が傾き始めるころには段々と人が減り始めます。太陽が山の端に沈みかける午後6時ごろになると、運が良ければ桜並木を独り占めできることも。桜も夕日に輝き始めるので、とてもぜいたくな時間です。
「MIHO MUSEUM(ミホミュージアム)」は、滋賀県甲賀市の山中にある私設の美術館です。駐車場から美術館へと向かう途中にあるこのトンネルは、内壁が銀色のステンレスでできているため、外にある桜の光を反射して淡いピンク色に染まります。
設計はルーブル美術館のガラスのピラミッドなどを手がけたI・M・ペイ氏。自然光と建築家の智恵が生み出した美しい光景です。
街中では見られない満天の星も、少し郊外に足を伸ばすだけで、見ることができます。大阪市内から車で約2時間。和歌山県北部の紀美野町は、月明かりの少ない夜には天の川も見ることができる「星のまち」で、町立みさと天文台もあります。
町では10年ほど前から桜の植樹活動が続けられていて、耕作放棄地などに植えられた桜は、これまでに4千本以上になるそうです。10年後、20年後には「星と桜のまち」になっているかもしれませんね。
和歌山県古座川町の古座川は全国有数の清流で、「クリスタルリバー」とも呼ばれているそうです。川には天然記念物のオオサンショウウオや、アユやアマゴなどが生息していて、そんな生き物目線で桜を楽しもうと、地元のガイドが案内するリバーダイビングも人気なんだとか。
滋賀県彦根市にある国宝・彦根城。夜になるとライトアップされた桜がお堀の水面に映り、上下対称の世界が現れます。夜は2倍の桜が楽しめる特別な時間なんですね。風がなく、水面が揺れ動かない夜には、水面の映り込みがより一層くっきりとして、息をのむほど美しい光景が見られるそうです。
兵庫県朝来市にある「佐中の千年家」は、散った桜の花びらが池や川の水面を覆う「花いかだ」の名所。一瞬で咲いて、一瞬で散る桜のはかなさを感じながら、去りゆく桜の季節を最後まで楽しむことができます。
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