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田園都市線「全線開通の日」を振り返る 地獄のラッシュ・金妻…

東急8500系電車。東急新玉川線(後の東急田園都市線)と半蔵門線の相互乗り入れ用に東急車輌で製作されたオールステンレス車両で、東急の通勤車両技術の集大成としてローレル賞を受賞した
東急8500系電車。東急新玉川線(後の東急田園都市線)と半蔵門線の相互乗り入れ用に東急車輌で製作されたオールステンレス車両で、東急の通勤車両技術の集大成としてローレル賞を受賞した

目次

 1984年の今日、4月9日に東急田園都市線が、渋谷―中央林間で全線開通しました。首都圏の私鉄では屈指の混雑率と言われているこの路線。携帯電話の使用を禁止する車両を作ったり、女性車両を導入したり。その歩みは、日本の通勤風景そのもの。「金スマ」じゃなく「金妻」の舞台にもなった田園都市線の歴史を振り返ります。

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「田園都市線にも耐えるほど頑丈」

 東急田園都市線は1966年から順次、開通し、1984年4月9日、渋谷―中央林間まで伸び全線開通しました。

 沿線には住宅地が整備され、首都圏のベッドタウンとオフィスを結ぶ路線として多くの乗客が利用しています。

 朝のラッシュ時の混雑でも知られ、パソコンの新製品発表で「田園都市線にも耐えるほど頑丈」とPRされることがあったほどです。

地下鉄方式で建設中の東急新玉川線渋谷―二子玉川区間=1976年2月
地下鉄方式で建設中の東急新玉川線渋谷―二子玉川区間=1976年2月 出典: 朝日新聞

携帯マナー「車両分断作戦」

 開通当初はなかった携帯電話ですが、1999年にNTTドコモのiモードが登場すると、車内で携帯電話を使う人が増え、鉄道会社はマナー違反対策をするようになります。

 田園都市線では2000年10月、偶数車両は終日電源オフ、奇数車両はiモードやメールの利用のみ認める「車両分断作戦」を実施しました。

 「メールまでダメというのでは困る」という声が若い世代を中心に根強かったことから、車両ごとに規制を分けることにしたそうです。

iモードの「仕掛け人」松永真理さん=2000年4月10日
iモードの「仕掛け人」松永真理さん=2000年4月10日 出典: 朝日新聞

「女性専用」車両

 2005年5月には「女性専用」車両が導入されました。首都圏の私鉄では「混雑が激しい」として関西より導入が遅れていましたが、痴漢被害を防ぐため、田園都市線を含む大手私鉄・地下鉄で一斉に登場しました。

 女性客からは「痴漢を心配せずに済む」という声がある一方、「男性を意識し過ぎるのもどうか。わざわざ移動するのも面倒」という声も。

 関東での「女性専用」車両導入を機に作られた「女性専用車両に反対する会関東支部」の支部長の男性は「女性専用車両は男性差別。導入が進むのには納得できない」と主張していました。

駅構内には女性専用車両の導入を知らせるポスターがあちこちにはられている=2005年5月7日、東急田園都市線の三軒茶屋駅で
駅構内には女性専用車両の導入を知らせるポスターがあちこちにはられている=2005年5月7日、東急田園都市線の三軒茶屋駅で 出典: 朝日新聞

ラッシュ対策「早起き応援」

 全線開通後、混雑する路線の代名詞となった田園都市線。2009年12月には、「早起き応援キャンペーン」が実施されました。朝早めの電車に乗ると牛丼店などのクーポン券がもらえるという内容。

 事前に携帯サイトで登録手続きをした人の中から抽選で選ばれた5千人が、始発から朝の設定された時刻までにパスモで田園都市線各駅に入場すると携帯電話にメールでクーポンが届くという仕組みでした。 

東横線(右)と田園都市線の2種類がそろった東急線電車型貯金箱
東横線(右)と田園都市線の2種類がそろった東急線電車型貯金箱 出典: 朝日新聞

混雑は改善?

 今も、混雑率は高めの田園都市線。2015年度の混雑率は184%(池尻大橋→渋谷)。ちなみに第一位は東西線の199%(木場→門前仲町)でした。

 まだまだ混雑率は高いように見えますが、ラッシュは改善されてきているそうです。東京圏の主要31区間の混雑率を見ると、1975年度は平均221%だったのが、15年度には164%まで下がっています。

 路線が増加し、車両の編成も長くなって、輸送能力は年々上がっているのが理由です。例えば、茨城県方面と都心をつなぐ常磐線は00年に200%を超えていましたが、05年のつくばエクスプレスの開業により、現在は160%程度に下がっています。

新宿駅に出動したシリ押し部隊=1970年1月12日
新宿駅に出動したシリ押し部隊=1970年1月12日 出典: 朝日新聞

「金スマ」じゃなくて「金妻」とは?

 ちなみに、田園都市線の沿線が舞台となった「金曜日の妻たちへ3」は1985年に放送され、団塊世代の主婦層を中心に平均視聴率が18%を超える人気を集めました。

 郊外の住宅街を舞台に、妻たちの友情や不倫に揺れる心情を描く物語。主体的に生きようとする4人のヒロインが「金妻」という流行語を生みました。ドラマの脚本を書いた鎌田敏夫さんは「夫婦を、もう一度男と女の関係でとらえてみたかった」と語っていました。

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