MENU CLOSE

お金と仕事

てるみくらぶ内定者は? 厚労省が専用窓口、「無条件で採用」団体も

記者会見で破産手続き入りを発表する「てるみくらぶ」の山田千賀子社長=2017年3月27日国土交通省
記者会見で破産手続き入りを発表する「てるみくらぶ」の山田千賀子社長=2017年3月27日国土交通省

目次

 破産手続きに入った、格安旅行会社「てるみくらぶ」。ツアー中に航空券の発券ができなくなるなど、トラブルが広がっています。一方で、年度末に会社が破産したことで、入社予定の内定者を危惧する声も出ています。厚生労働省では専門の相談窓口を設置するなど、対策に乗り出しています。また、旅行業界の財団では、内定者たちを「無条件で採用する」という異例のメッセージをフェイスブックに投稿。こちらも注目を集めています。

【PR】手話ってすごい!小学生のころの原体験から大学生で手話通訳士に合格

突然の破産

 「てるみくらぶ」は、1998年の設立で、東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、札幌に支店があります。

 格安ツアーのネット販売に陰りが出たことから、約2年前から新聞広告に力を入れ始めました。しかし、経費がかさんで資金繰りが行き詰まり、3月27日に東京地裁に破産を申請し、手続き開始決定を受けたと発表しました。

 代理人弁護士によると負債は151億円の見込みで、約3万6千件(約99億円分)の旅行申込者に影響が出る見込みです。

発券を巡るトラブルを起こした旅行会社「てるみくらぶ」の本社があるビルには利用者が集まった。会社の扉には「臨時休業」と書かれた紙が張られていた=2017年3月25日、東京都渋谷区
発券を巡るトラブルを起こした旅行会社「てるみくらぶ」の本社があるビルには利用者が集まった。会社の扉には「臨時休業」と書かれた紙が張られていた=2017年3月25日、東京都渋谷区

厚労省が相談窓口設置

 突然の破産申請により、ツアー参加中の旅行者の航空券が発券できないトラブルが相次ぎました。一方で、新年度の直前で、入社予定の内定者にも混乱が広がっていました。

 厚労省では、内定を取り消された人向けの特別相談窓口を「新卒応援ハローワーク」内に設置しました。(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158156.html)

 就職の支援や求職活動のためのセミナーなど、内定取消しを受けた人向けの相談対応を用意しています。厚労省によると、すでに数件の問い合わせが来ているそうです。

【関連リンク】株式会社てるみくらぶの内定取消者相談窓口のご案内 |厚生労働省

「その身柄、JALFで引き受けます」

 東京・虎ノ門にある「宿泊施設活性化機構」(JALF)は、「その身柄、JALFで引き受けます」キャンペーンを始めるというメッセージをフェイスブックに投稿しました。

 JALFは2015年9月に発足し、職員は十数人。国内で営業する宿泊施設1千軒以上が出資している、民間の業界広報団体です。宿泊業者などへの助言、コンサルティング業務をしています。

 てるみくらぶの破産が伝えられた翌日の28日、JALFは次のようなメッセージを投稿しました。

「てるみくらぶ」をはじめとする内定を取消された学校卒業生の方々へ。「その身柄、JALFで引き受けます」キャンペーンを行います。社会貢献の一環として「とりあえず引っ越してしまって困っている」方々も含め、選考を行わず内定を出します。

「『何て不条理なんだ』と思った」

 この異例の救済措置は、ネット上で注目を集めました。「すばらしい!」など共感の声がある一方、「売名行為では?」という意見も。どういう意図なのか。発案者の伊藤泰斗事務局長(45)に聞きました。

――どのような思いでメッセージを出したのですか?

 「内定が取り消された学生についてを取り上げた記事を読み『何て不条理なんだ』と思ったんです。機構では通常、新卒採用はしていませんが、人材難だったことに加えて、社会貢献の一環としてできればと思いました」


――待遇は?

 「てるみくらぶが提示していた給与額には満たないものの、財団で雇用した場合の水準を考えています」


――財団の今の職員は10数人で、内定者は40人以上と報道されています。想定以上の申し込みがあったらどうしますか?

 「人手不足のホテルに派遣しようと思います」


――財団で働くわけではない?

 「その人の能力に応じて勤務先は考えたいと思います」


――財団内でキャンペーンへの反対の声はありましたか?

 「『人が多く来すぎたらどうするのか』など、内部でも異論はたくさんありました。ただ、内定者を一時的に救うことができればと思い、理解してもらいました」


――今回のキャンペーンで財団の知名度は上がりましたか?

 「売名と言われればその通りです。善意を売名と言われればそれまでです。同じ旅行業として、傘を差し出したかった」


――申し込みの状況は?

 「3月29日夕方現在で、入社に至った人はまだいませんが、8人が連絡をしてきています。応募の締め切りは、3月31日、午後11時59分です」

関連記事

PICKUP PR

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます