お金と仕事
てるみくらぶ内定者は? 厚労省が専用窓口、「無条件で採用」団体も
破産手続きに入った、格安旅行会社「てるみくらぶ」。ツアー中に航空券の発券ができなくなるなど、トラブルが広がっています。一方で、年度末に会社が破産したことで、入社予定の内定者を危惧する声も出ています。厚生労働省では専門の相談窓口を設置するなど、対策に乗り出しています。また、旅行業界の財団では、内定者たちを「無条件で採用する」という異例のメッセージをフェイスブックに投稿。こちらも注目を集めています。
「てるみくらぶ」は、1998年の設立で、東京本社のほか、大阪、名古屋、福岡、札幌に支店があります。
格安ツアーのネット販売に陰りが出たことから、約2年前から新聞広告に力を入れ始めました。しかし、経費がかさんで資金繰りが行き詰まり、3月27日に東京地裁に破産を申請し、手続き開始決定を受けたと発表しました。
代理人弁護士によると負債は151億円の見込みで、約3万6千件(約99億円分)の旅行申込者に影響が出る見込みです。
突然の破産申請により、ツアー参加中の旅行者の航空券が発券できないトラブルが相次ぎました。一方で、新年度の直前で、入社予定の内定者にも混乱が広がっていました。
厚労省では、内定を取り消された人向けの特別相談窓口を「新卒応援ハローワーク」内に設置しました。(http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000158156.html)
就職の支援や求職活動のためのセミナーなど、内定取消しを受けた人向けの相談対応を用意しています。厚労省によると、すでに数件の問い合わせが来ているそうです。
東京・虎ノ門にある「宿泊施設活性化機構」(JALF)は、「その身柄、JALFで引き受けます」キャンペーンを始めるというメッセージをフェイスブックに投稿しました。
JALFは2015年9月に発足し、職員は十数人。国内で営業する宿泊施設1千軒以上が出資している、民間の業界広報団体です。宿泊業者などへの助言、コンサルティング業務をしています。
てるみくらぶの破産が伝えられた翌日の28日、JALFは次のようなメッセージを投稿しました。
この異例の救済措置は、ネット上で注目を集めました。「すばらしい!」など共感の声がある一方、「売名行為では?」という意見も。どういう意図なのか。発案者の伊藤泰斗事務局長(45)に聞きました。
――どのような思いでメッセージを出したのですか?
「内定が取り消された学生についてを取り上げた記事を読み『何て不条理なんだ』と思ったんです。機構では通常、新卒採用はしていませんが、人材難だったことに加えて、社会貢献の一環としてできればと思いました」
――待遇は?
「てるみくらぶが提示していた給与額には満たないものの、財団で雇用した場合の水準を考えています」
――財団の今の職員は10数人で、内定者は40人以上と報道されています。想定以上の申し込みがあったらどうしますか?
「人手不足のホテルに派遣しようと思います」
――財団で働くわけではない?
「その人の能力に応じて勤務先は考えたいと思います」
――財団内でキャンペーンへの反対の声はありましたか?
「『人が多く来すぎたらどうするのか』など、内部でも異論はたくさんありました。ただ、内定者を一時的に救うことができればと思い、理解してもらいました」
――今回のキャンペーンで財団の知名度は上がりましたか?
「売名と言われればその通りです。善意を売名と言われればそれまでです。同じ旅行業として、傘を差し出したかった」
――申し込みの状況は?
「3月29日夕方現在で、入社に至った人はまだいませんが、8人が連絡をしてきています。応募の締め切りは、3月31日、午後11時59分です」
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