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AKB48が初めて訪れた被災地…心に刺さる「ジオラマの街並み」

ジオラマ「やまだまち48」の全景
ジオラマ「やまだまち48」の全景

目次

 3月11日、京セラドーム大阪。NMB48のメンバーによる復興支援イベントが行われた会場の一角に、大型のジオラマが展示されました。東日本大震災で大きな被害を受けた岩手県山田町をはじめとした沿岸被災地の子どもたちが考えた、夢の街「やまだまち48」。子どもたちとAKB48グループのメンバー、そして多くのファンの絆の象徴的存在です。(朝日新聞記者・松村北斗)

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「関心をもっと持ってもらえれば」

 「ジオラマを見ることで、被災地への関心をもっと持ってもらえれば」

 ジオラマ製作に関わり続けるマブリットキバさん(沿岸被災地のこどもたちの用心棒という肩書で復興支援を行っているキャラクター)は言葉に力を込めました。多くのファンのみなさんがジオラマを囲んでスマホで熱心に撮影する姿が。マブリットキバさんによると、この日、ドームを訪れたのべ約3万人のうち約4500人がジオラマに足を運んだそうです。

 ジオラマは大きさ1.8メートル×2.8メートル。実際の150分の1の大きさで海から駅前までの山田町の地形や施設が立ち並ぶなかに、AKB48グループのメンバーが発案したアイデアも取り込んだ、メンバーにちなんだお店や展示が所狭しと並んでいます。

卒業したメンバーを懐かしむ非公式ユニット「かぶとむchu!」の展示
卒業したメンバーを懐かしむ非公式ユニット「かぶとむchu!」の展示

グループが最初に訪れた山田町

 ジオラマのきっかけは2011年5月にAKB48グループが第1回の被災地訪問活動で大槌町とともに山田町を訪問したことです。山田町の沿岸部は地震と津波、そして大規模な津波火災が起こり、多くの住民が避難生活を余儀なくされました。

 「震災を受けて落ち込みがちだったこどもたちが、メンバーの訪問で良く笑うようになったのがうれしかった」

 5年前に取材した際、マブリットキバさんはしみじみと話していました。

 メンバーへの感謝を伝えたい。山田町など岩手県の沿岸被災地の子どもたちとメンバーとの握手会でのメッセージのやりとりを通じた交流が2年間続きました。そして、その絆や、支援してくれるみなさんへの感謝を形に残せるようにと、13年からジオラマづくりが始まりました。

HKT48の岩花詩乃さん(中央)。昨年12月に山田町であったジオラマの記念イベントに招かれた
HKT48の岩花詩乃さん(中央)。昨年12月に山田町であったジオラマの記念イベントに招かれた

ファンらからの寄付などが製作費に

 岩手県の沿岸被災地の子どもたちと、山田町の外からのボランティアのスタッフが製作を担当。家族の仕事の都合などで県内外に移り住んだ子どもたちもアイデアを出します。AKB48グループのファンらからの寄付を含む基金が、製作費などに充てられています。

 普段は山田町の観光物産館「とっと」で展示され、見学した人は1人1体の人形をジオラマに置くことができます。

 今回の出張展示は13年10月の横浜での握手会会場、昨年3月の福岡・HKT48劇場に続くもので、キバさんと町の観光協会の担当者が岩手から千キロあまりを車で運びました。

懐かしさが漂う商店街にはメンバーゆかりの店も並ぶ
懐かしさが漂う商店街にはメンバーゆかりの店も並ぶ

それぞれのメンバーの「区画」

 ジオラマは大まかにグループごとの区画があり、それぞれのメンバー、そして子どもたちの夢と希望がいっぱい詰まっています。主なものを紹介すると……。

 AKB48。海側には柏木由紀さんの「ゆきりんワールド」や岩立沙穂さんの「さっほーステージ」など。街にはチーム4のシアターなどもあります。

 NMB48。歌がうまい山本彩さんにちなんだ「ヤマモトミュージックセンター」や、シアタービジョン付きの建物があります。こどもたちに多くの提案をしてくれた山尾梨奈さんにまつわる展示も。

 遊園地風のSKE48。「ハヤシライス松村」が目をひきます。松村香織さんはプライベートで山田町を訪れジオラマ製作を手伝ったこともあり、山田町ふるさと大使も務めています。

 HKT48の「おでかけパーク」は個性豊かなメンバーの展示が目白押し。特技のピアノにちなんだ森保まどかさんのピアノステージ。森保さんは自身のグーグルプラスの壁紙をずっとこのピアノステージにしています。SNSで沿岸被災地にふるさと納税をしていると明かしたことがある田島芽瑠さんにまつわる展示も。

 そして、岩花詩乃さんのペット店もあります。福岡県出身の岩花さんはSNSで、東日本大震災の後、実家で宮城県から避難した子どもを一時受け入れ、その後も交流を続けていると記しています。昨年12月には山田町で開かれたジオラマの記念イベントに招かれました。

 岩花さんはHKTの運営担当者を通じて、こんな言葉を寄せてくれました。

 「子どもたちが考えた未来の町=やまだまち48。このジオラマには子ども達の夢や希望がたくさん詰まっています。一生懸命作る姿に私の方が元気をもらっています。山田町、そして東北をこれからも応援し続けたいと思います」

HKT48の「いもむchu!」メンバーに関する展示
HKT48の「いもむchu!」メンバーに関する展示

世代交代、製作は続く

 震災から6年。町の人口は震災前より3千人近く減り、多くの事業者が仮設店舗での営業を余儀なくされており、復興の歩みははなお厳しい現実に直面しています。

 ジオラマの展示が続けられるか心配した時期もあったそうですが、幸い、4月以降も「とっと」での継続展示が決まりました。

 当初は小学生だったジオラマづくりで中心的な役割を担ってきた子どもたちも高校生で忙しくなるため、製作のリーダーも小学生に「世代交代」。マブリットキバさんは「新たな展開を含め、これからも作り続けていく」と話しています。

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