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あ、あり得ないわ…この光景、3Dで描く「地獄と夢」 VRアートの世界
VR(仮想現実)空間に3Dイラストを描く「VRアート」。世界でも数が少ない「VRアーティスト」の一人として作品を生み出しているのがせきぐちあいみさん(クリーク・アンド・リバー社所属)です。2月半ばに東京・秋葉原で開かれた個展に行き、その作品を「体験」。VRアートを始めたきっかけや魅力、今後の活動について聞きました。
せきぐちさんは、自ら撮った動画を投稿するYou Tuberやタレントとして活動しています。ネット上では「女性専用車両の女の子」として一時期話題になりました。
VRアートとの出会いは、昨夏ごろのテレビ番組での企画でした。VRペイントツールの「Tilt Brush」を使って、仮想空間に思いのままに3Dイラストを描く体験をしたのがきっかけでした。
「すごい楽しくて。空いている時間にとにかくやり続けました」。それ以来時間ができれば、仕事とは関係なくVRアートができる知り合いの職場に足を運びました。そんなときに描いたのが「空飛ぶ日本庭園」でした。
1本の水色の線が、水しぶきを上げる滝に変わり、赤色の橋や黒色の岩、池の中を泳ぐ鯉などが次々と空間に描かれていって、立体的な日本庭園が現れます。5時間で一気に描いたそうです。
作成過程の動画をツイッターに投稿したところ、SNSで話題になり、現時点でリツイートが1万5千を超えています。
そんなVRアートの魅力はどこにあるのでしょうか。「純粋に魔法を使っているような感覚です。自分が描いた作品にほかの人が入り、新しい世界を見せられるのが最高ですね」。
そんなVRアートの世界を一人でも多くの人に体感してほしいと個展を企画。費用はクラウドファンディングで集めました。
目標金額は50万円でしたが、174万円集まりました。当日は遠くは北海道からの出資者が駆け付けるなど、全国から150人が来場しました。
個展で目を引いたのは、浮世絵のVRアートです。ヘッドマウントディスプレー(HMD)を付け、指定された場所に立つと、見えてきたのは金色の額縁。浮世絵の富嶽三十六景をイメージさせる波が描かれています。
前に何歩か進むと、額縁の中に入り込んでしまいました。そのまま上を見上げると、水しぶきをあげた波がまさに自分にふりかかってきそうな勢いです。
体を動かせば、波の中に「もぐる」こともできます。鑑賞する作品から、体験する作品へと一瞬で世界が切り替わりました。
平面的に立体を表現している浮世絵を、本当に立体にしてみました🌊#VR #VRArt #TiltBrush pic.twitter.com/HBSeSz1iXj
— せきぐちあいみ (@sekiguchiaimi) 2017年2月15日
今後については「めっちゃいっぱいアイディアがあります。でもまだ内緒です」と笑顔をみせました。
その中で描きたいと語ったのは「夢みたいな世界と地獄みたいな世界の両極端な世界」。
見た人の現実世界に刺激を与えられるように、日常では見られない「夢」と「地獄」をアートで見せたいといいます。その作品からますます目が離せなくなりそうです。
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