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お金と仕事

はあちゅうさん、三十路を1年やった感想は?年齢という名の「呪い」

1月22日に31歳になったブロガー・作家のはあちゅうさん
1月22日に31歳になったブロガー・作家のはあちゅうさん

目次

 1月22日に31歳になったブロガー・作家のはあちゅうさんは、最近「30代」というテーマで取材を受けることが多くなったそうです。恋に仕事に行き詰まっている三十路女子の悩みを、はあちゅうさんにぶつけてみました。

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「思ったよりも若いです」

 ――私、昨年ついに「三十路」を迎えました。「三十路」を1年過ごしてきたはあちゅうさんですが、三十路をどう捉えていますか? 私は結婚もしていないし、仕事も今後のビジョンが固まっていないし、不安があります。

 30歳は思ったよりも若いです。

 30歳って、大人に見えて、世の中のことは何でも知っていて、生き方も決まっていると思っていたんですけど、なってみると全然そんなことないです。まだまだわからないことの方が多いし、人生の変化もこれからまた訪れるだろうし。

 昔は30歳って、ある程度道は決まっていて、世の中にインパクトを残していなきゃいけない気がしていたんですね。

 私が学生のときは周りに学生起業家が結構多かったんです。堀江(貴文)さんがいて起業ブームがあって。六本木のIT社長という言葉があふれ、藤田(晋)さんが社長だったり、堀江さんが30代前半で世の中を沸かせていたんです。大きい球団を買収しようとしたり、テレビ局を買おうとしたりしたのって30代なんですよね。

 そのおかげで、30代に対して世の中を動かしているというイメージが強くあったので、20代で階段はある程度のぼらないと、30代で何もスタートできないという焦りはありました。

2005年12月、六本木ヒルズの展望台の窓から見えた防衛庁跡地に建設中の超高層マンション
2005年12月、六本木ヒルズの展望台の窓から見えた防衛庁跡地に建設中の超高層マンション

かわいそうでしょ? という「呪い」

 ――「アラサーの独身が負け組」「かわいそう」という世間の反応を、ブログでは「呪い」と表現されていました。私はその呪いにかかっているかもしれません……。

 自分自身が30歳っていう実感と、世の中の考える30歳のあまりのギャップにびっくりしています。

 私はまだ若いし、結婚も自分のタイミングでしていいって思っているんですけど、SNSでは「もう30歳なんですね」とか、「劣化が始まっている」とか、「結婚しないんですか」とか、よく言われます。

 お互いに妥協して結婚することや、結婚できない者同士が結婚することを「惨め婚」と言っている人がいたので、面白い単語の組み合わせだなと思ってツイートしたところ、「はあちゅうも惨め婚しそうだな」とか言われたりして。

 まあ、そういう返しがくるだろうなとは思っていましたが、年齢だけで人を焦っている人のように決めつける人があまりに多いことに腹が立ちました。

アラサー独身女子の本音をマンガにした『東京タラレバ娘』(講談社)

「たぶん親切で言っているというところがまた呪い」

 ――そういう世間の視線を覚悟しないといけないのでしょうか……

 それがそのまま世間ではないのかもしれないですけど、ネット空間の中に大勢そんな人たちがいます。その時、私って人生に絶望していないのに、なんで私を寂しくってかわいそうな人って決めつけて辛辣(しんらつ)な言葉を浴びせるのかって、頭にきたんですよね。

 私には私の幸せがあって、人生を焦らずに歩んでいけばいいって思っているのに、関係ない誰かに哀れに思われるのが、すごく息苦しいと思いました。生き方を否定されているようで、傷つきますね。

 女性からも言われることはあります。それが一番歯がゆく感じます。自分で世間の生きづらさを広げてどうするの、って。

 例えば、取材先で女性の記者の方やテレビのスタッフさんに会ったりすると、「なんか大変そうだね」とか、「30歳って生きていくのに、つらいですよね。その気持ち私もわかるよ」とか「結婚したいけど、なかなか難しいですよね」みたいな感じに声をかけられたりするんですよね。

 私は全然人生大変じゃなくて普通に仕事もしているし、恋愛もしているし、楽しく日々を過ごしているのに、なんで私を惨めな人にして、「気持ちわかるよ」みたいに言われなくちゃいけないのかと、嫌な気持ちになります。

 そして、彼女たちは嫌がらせと思ってやっているわけではなくて、私のためを思って、たぶん親切で言っているというところがまた呪いなんだと思います。

30歳で純文学作家としてデビューしたはあちゅうさん。「群像」に短編3作品が掲載された
30歳で純文学作家としてデビューしたはあちゅうさん。「群像」に短編3作品が掲載された

名前も「痛い」対象に

 ――20代後半のアラサー時代から感じることはありましたか。私はアラサーになるくらいから年齢を意識してしまいました。

 28歳くらいから、「はあちゅう(28歳)って痛いな」とか言われていました。ただのペンネームなわけですけど、若い印象を与える語感なんだと思うんですね。「30ではあちゅうって笑」「『はあちゅう(28)』のインパクトよ」って書かれたりします。

 どうしてそう考えるのって素朴な疑問はあります。なんで「はあちゅう(24)」は良くて、(28)とか(30)はダメなんでしょうか?

 私は女性のことを女子っていっちゃうんですね。語感が可愛いですし、言い慣れているので。でも、女子会っていう言葉を何げなく使うと「もう女子って年ではないでしょ、痛い」「おたくら女子じゃないでしょ」っていうつっこみも驚くほどきます。

「女子会」という言葉も気軽に使えない? ※画像はイメージです
「女子会」という言葉も気軽に使えない? ※画像はイメージです 出典:https://pixta.jp/

「あとはローン払うだけの人生」なの?

 ――「三十路」を機に自分を変えるにはどうすれば?

 二十歳になるときって、たばことかお酒を飲めるようになったり社会的な変化があったと思うんですけど、30歳っていうのは、そういうものがないからこそ、気の持ちようと周りの環境で、自分の心の持ち方が変わります。

 よく、「周りに結婚のプレッシャーをかけてくる人がいてどうしよう」みたいな相談を女性から受けますが、そのときは「そういう人に近寄らないでください」って言うんですね。結婚へのプレッシャーをかけてこない人とだけ付き合うようにしてください、と。周りに気にする人がいるか、気にしない人がいるかで、自分の気の持ちようは変わってきます。

 ただの冗談ですけど、会社員時代、住宅ローンを組んだ男の子に対して、同期の女の子が「あとはローン払うだけの人生やな~!」って飲み会で言っていたんですよ。その一言を聞いたとき「あとはローン払うだけの人生」って言葉がすごく怖いな、って思って。

 30代であとはローンを返すだけの人生って思っている人か、30歳からまだまだ挑戦してやろうって思う人か、周りにいる人で人生って全然違うと思います。

 30代以降は、どういう人が周りにいるかで自分の人生も変わると思います。

 まだまだ若いって思えるか、もうそろそろ守りに入った方がいいって思う人がいるかです。

「イメージしていた三十路」と「現実」について書いてもらいました
「イメージしていた三十路」と「現実」について書いてもらいました

 ――最後に、はあちゅうさんがイメージしていた三十路と現実について教えてください。
 
(イメージしていたものとして書いたのは「安定」)人生の行く道が決まっている感じですかね。
(現実として書いたのは「進化」)まだまだ自分を新しくしていける、変われるという意味で書きました。変革期みたいな感じです。

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