話題
盲導犬は可哀想な犬じゃない 犬の視点で理解求めるポスターに共感
日本盲導犬協会のポスターが、ネット上で話題になっています。

【ネットの話題、ファクトチェック】
日本盲導犬協会のポスターが、ネット上で話題になっています。盲導犬への理解を求める内容ですが、これまでのように盲導犬と暮らすユーザーの言葉で伝えるのではなく、犬の視点から訴えている点が特徴的です。「ほっこり」「愛がある」と共感の声が広がっているこのポスターについて、協会に話を聞きました。

こんなポスターです
「盲導犬会議」というタイトルが書かれたポスター。「エース」「ドロワ」「グラッド」「レノ」「ダイド」の5頭の犬が、話し合っています。
【グラッド】盲導犬はオッケーってこと、意外と知られてないですもんね~。私のところは「信号、青ですよ」と声をかけてもらって喜んでたわ。
【エース】たったひと言でも助かるからね。うちなんて僕と出会って、10年ぶりに外出できたんだよ。
【レノ】10年かぁ、一人じゃ不安だったろうな。
【ダイド】でも、これからもいろんなところに行けるね。
そして、「人と盲導犬が、いきいきと暮らす社会へ」というメッセージで締めくくられています。

現役の盲導犬5頭が出演
このポスターは、昨年7月から放送が始まったCMを元につくられたものです。「盲導犬ユーザーのことを、ひとりでも多くの人に知ってもらいたい」というメッセージを伝えるため、ACジャパンの支援を受けて制作されたCMです。
CMに登場する5頭は現役の盲導犬で、本名で出演。カフェでお茶をしたり、公園を歩いたりする場面は、実際に一緒に暮らしているユーザーと撮影したそうです。
日本盲導犬協会の広報担当者は、CMについてこう説明します。「アイデアなどはACジャパンから提案いただきましたが、盲導犬たちのコメントはすべて私たちが知っている事実を元に書きました。ひと言ひと言を通じて、これが盲導犬とパートナーの関係性なんだということを伝えたかったんです」
制作の背景は
協会のホームページには、今回のCM制作の背景について、こう記されています。
盲導犬はペットとは違って、特別な訓練を受け、衛生面・健康面もユーザーがしっかり管理している犬です。『身体障害者補助犬法』という法律で、社会に受け入れの義務があることも謳われています。
ユーザーが安心して盲導犬と一緒に外出できる社会となるよう、盲導犬への理解を深めていきたいと考えます。
盲導犬をパートナーとして『体の一部、一心同体』と表現されるユーザーもいるほどで、それはかけがえのない存在です。盲導犬とは『大好きなユーザーのそばにいて、日々楽しく歩く幸せな犬たち』に他なりません。
このCMを通じて、一人でも多くの方に真の盲導犬の姿を知っていただき、盲導犬ユーザーが安心して活動できる社会をめざしたい。

糸井重里さんも反応
今月15日、このポスターの画像が「公共への啓発的な意義もさることながら、見るたびに幸せな気持ちになるのが本当によい」という文言とともにツイッター投稿されました。
すると「盲導犬視点で語られることで、そこに愛がある」「何回みてもほっこりする」「犬が本当に話しそうな台詞なんだよね」「私にもできること あるような気がしてきた」といった反応が寄せられ、リツイートは1万を超えています。
「おいしい生活。」などの広告で知られる糸井重里さんも、「格別に『腕をみせてやれ』とか意気込んでないのがいいな」とコメントを寄せています。
日本盲導犬協会の広報担当者は「多くの方に注目していただき、ありがたいかぎりです。これを入り口にして、その先にあるユーザーの人生に思いを巡らせて、『私たちに何ができるかな』ということ考えていただけたらうれしいです」と話します。