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そんなきれいな顔で「何やってんだ!」 ジュノンボーイのオタク魂
イケメンを決めるコンテストで、PRをするとしたら何をしますか。ダンス? 料理? 昨年11月にあった「ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」の最終選考会で、九州大学3年の副島和樹さん(23)が、ヒーローのコスプレなどオタクキャラ全開でアピールし、誰よりも強い印象を残しました。意表を突いたように見えるこの作戦。あえて選んだのには、海外生活で身に染みた「共通言語」への思いがありました。
会場が度肝を抜かれたのは自由パフォーマンスタイムです。
グランプリを獲得した押田岳さんはダンス、準グランプリの岡田龍太郎さんは弾き語りで歌うなど、候補者12人それぞれがかっこいいパフォーマンスを披露していきます。
最後に登場した副島さんは、自分の名字からもじった「ソエジマン」のヒーローショーを始めます。敵に攻撃されピンチになったソエジマンが観客に向かって「ソエジマンに力を!」と叫ぶと、観客席から「ソエジマーン!」と声援が。
応援を受けて復活したソエジマンは、武器のソールドで見事敵を倒します。
「こいつ何やってるんだ、と思われる可能性もあるかなと冷や冷やしていました」
全力で敵を倒す姿は観客の心を一つにし、グランプリは逃しましたが審査員特別賞に輝きました。
自らをアニメや漫画、コスプレが好きなオタクと自認し、ツイッターでも大好きな遊戯王やコスプレについてツイートしています。
大学サークル対抗遊戯王トーナメント💥https://t.co/VAYQhwrFZ0
— 副島和樹(ソエジマジカル) (@kazukisoe) 2017年1月20日
残念ながら九大には遊戯王サークルがありません😭が!副島のパートナーデュエリスト💃になってくれる九大生を募集します、させてください🙏副島と共に目指せ!九州イチ✊いいえ、日本一🗻🌅 pic.twitter.com/P92dJD3KAt
アニメや漫画、コスプレに興味を持ち始めたのは小学生の時です。父親の転勤で小学校はインド、中学校はマレーシア、高校はチェコで暮らしました。
インドでは宗教と生活が密着していて、お手伝いさんたちにインドの宗教や神様の話を聞くうちに「頭の中がファンタジーに染められていった」のだそうです。
日本の漫画にも、宗教や民話を取り入れているものが多くあることを知って、はまっていきました。
色んな国で生活したことで、日本語と英語だけでなく、「あいさつ程度」だそうですがヒンディー語、マレー語、チェコ語も話せます。
これだけの言葉を話せるのに、自己PRに使わなかったのはなぜでしょう。
それは海外で過ごしたことが影響しています。
小学校でいきなり海外へ行って言葉がわからない状況を経験しました。しかも国が変わると、またイチからやり直し。特にチェコでは英語は一般的に話されない国だったといい、英語が伝わらないので何もやり取りができず「ショックでした」。
そんな経験をした副島さんにとって、言語は「一つのコミュニケーションツールでしかない」と言います。言葉も万能ではないのです。
「逆に漫画やアニメの方が世界共通言語だなと思います」
海外ではスケッチブックとマジック、筆ペンを必ず持って、絵を描いたり名前を漢字に訳してあげたりして交流しました。
「言葉が通じないチェコの人と、遊戯王のカードゲームもできました」
同じ趣味のチェコ人の友達と、チェコの民話や伝説のキャラクターを日本のもえキャラのように変えて楽しんだこともあるそうです。
無意識のうちに海外の人に日本の文化を発信していた副島さん。改めて日本文化を学びたいと、九州大学文学部に入学しました。
海外生活が長く、日本で苦労したのは「空気を読むこと」だそうです。
「変なやつだとは思われていたと思いますが、自分のやりたいことを貫いていました。面白いねって近づいてくれる人も多かったので友達づきあいでは悩まなかったですね」
ジュノンボーイコンテストで審査員特別賞に選ばれ、いま新たな目標が芽生えています。
「コスプレじゃなく、演じてみたい。ジャパニメーションのミュージカルとか、漫画原作の作品に出たいなと強く思います。チェコのコミケにゲストとして行けるような、世界との架け橋になる人になりたいです」
メンズコンテストの先駆けともいわれるジュノン・スーパーボーイ・コンテストが来年、30回を迎える。その間に、有名俳優が多数輩出。ジュノンボーイは爽やかイケメンの代名詞となった。時代はどんなイケメンを求めているのか。これまで、計16回の審査にかかわり、審査員長も務めた岡本朋之副編集長(47)に聞いた。
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