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「逃げ恥」プロデューサー 「ムズキュン」ラブコメに込めた思い
ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(TBS系)では、恋愛感情がない男女が「夫=雇用主」「妻=従業員」として一つ屋根の下で暮らします。2人の一進一退の恋模様や個性派の脇役たちに加え、結婚の形や働き方も考えさせるストーリーで話題になりました。狙いについて、TBSプロデューサーの那須田淳さん(54)に聞きました。(聞き手 朝日新聞文化くらし報道部記者・松川希実)
なかなか進展しないムズムズ感、キュンキュンとときめく思いがたくさんある「ムズキュン」を、契約結婚という設定で作ったラブストーリーです。社会的テーマも盛り込んであるけど、シリアスにぶつけるのではなく、ラブコメ的なところから楽しんで、その先に気づいてもらう方がぼくは面白いと思う。
伝えたかったテーマはたくさんある。いろんな世代の人がそれぞれの立場で、身近なテーマを見つけて楽しめるドラマにしたかった。登場人物もそれぞれ生き方が少し変わっているけどどれも間違っていない。幸せにむかっていく生き方はそれぞれある。多様な人生の選択を肯定したいと思った。
家事が大事なことは、平匡だって認めていないわけじゃない。でもボタンの掛け違いがあって。二人でどうしたら良いのか話し合いを重ね、「こうしてみようか」と答えを出す。
みくりと平匡は悩みながらお互いの愛情を家庭という形にしていった。うまくいかないことがあるから、議論が深まるんですね。
実際はなかなか家庭の中で話し合う時間はなかったりする。ドラマを見て、何かヒントのようなものに楽しく気づいてもらえたらと思います。
<逃げるは恥だが役に立つ>大学院卒なのに内定ゼロ。派遣切りにもあった無職の森山みくり(25)は、父の元部下で独身の会社員・津崎平匡(ひらまさ)(36)の家事代行として働き始める。みくりは「就職としての結婚」を平匡に持ちかけ、二人は契約結婚。やがて平匡と恋愛関係になり、プロポーズされたみくり。しかし、これまで有償だった家事が、結婚すれば無償になることにモヤモヤして――。
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2012年に講談社の月刊女性漫画誌「Kiss」で連載開始。先月24日発売の2月号で最終回。単行本は17年3月に9巻が発売予定。ドラマは昨年10月から放送された(全11回)。登場人物たちがエンディングで踊る「恋ダンス」はケネディ駐日米大使らも踊る姿を動画サイトに投稿するなど、社会現象に。
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