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中国の故宮、大胆すぎる「萌え化」 皇帝がギャルポーズ…狙いは?
北京にある故宮(紫禁城)は500年近くの歴史を持つ明と清の2つの王朝の宮殿で、現在は博物館になっています。国家の象徴ともいえる場所ですが、最近、「萌え路線」に力を入れ、海外向けに発信を強化しています。ラストエンペラーでも有名な紫禁城に何が起きているのか? その狙いを聞きました。
北京故宮博物院には、180万を超える収蔵品があり、168万件は国が特に重要だと認めた「貴重文物」に指定されています。
歴代王朝が集めた貴重な文化財ですが、故宮博物院経営管理処の楊暁波さんは「どうしても敷居が高くなってしまうのが悩みでした」と話します。そこで考えたのが「萌え路線」でした。
最近、話題になったのは、CGの技術を駆使して、肖像画に加工を加えたシリーズです。
名君として評価が高く、在位時間が歴代最長の61年という康熙(こうき)帝(1654年~1722年)。清の第4代皇帝が、ギャルのように顔の近くでピースをしています。そして雍正(ようせい)帝(1678年~1735年)「十二美人図」の美女の一人もにっこりしながらピースサインで「買ってくれたら友達だよ」と呼びかけています。
萌え肖像画シリーズ人気によって、故宮博物院の微博アカウント「故宮淘宝」のフォロワーも急上昇し、現在、63万フォロワーを超えています。
故宮ドールも人気です。超難関試験である「科挙」の合格者に与えられる称号「状元」をイメージしたものや、明の初代皇帝「朱元璋」の人形など、斬新なグッズが生まれています。
中でも不動の人気を誇るのは、清王朝の民族衣装を身にまとった皇族ドールです。皇帝・后妃、阿哥(王子)・格格(王女)の人形を紫禁城の中で撮影してSNSにアップする、ちょっとしたタイムスリップ写真が流行しています。
他にも、宮廷に勤めていた宮女や、御前侍衛(皇帝を護衛する武士)なども人気です。
古い文物をモチーフにしたもの以外に、まったく新しいキャラクターも生まれています。その一つが「故宮猫」という、故宮に暮らしている猫たちです。
楊さんによると、故宮には200匹を超える猫がいるそうです。普段は観光客の前に姿は見せず、従業員たちがいるスペースにいるそうです。
3千人を超えるスタッフにとっての癒やしの存在になっているだけでなく、文化財には大敵なネズミを駆除する大事な役割もあります。そんな「故宮猫」を携帯ケースや、Tシャツ、バッグなどにした商品が人気になっています。
斬新な商品開発のおがけで、故宮グッズは売り上げを伸ばしており、2015年は年商10億元(160億円)のビジネスになりました。
萌えグッズがの存在感が目立ちますが、実際は、全体の5%程度だそうです。数々のグッズ開発の目的は、もちろんウケ狙いだけではありません。楊さんは「故宮の文化財に親しんでもらうことが目的です」と強調します。
今、力を入れているのが海外発信です。これまで、香港やアメリカの見本市に出展しており、現地では好評だったそうです。
「日本市場にも、もちろん興味を持っています」と語る楊さん。
「故宮グッズは中国文化をバックに、種類が豊富で、品質も高い。日本の人々の心をつかむ自信はあります」と話しています。
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