「運動会、何か出るの?」「おやつ」
「他人事ではない」。反響を呼んだ子どもとの会話で起きる勘違い ※画像はイメージです
9月17日付はぐくむ面で紹介した京都府宇治市の広野幼稚園では、先生が「運動会、何か(種目)出るの?」と聞くと、園児は「おやつが出るよ」と答えるなど、意図がはっきり伝わらなかった出来事とどんな情報が抜けていたのかを記録。読みかえして大人の言葉遣いを園児が理解しやすいように改善し、災害時の指示にもつなげている。掲載後、石川県内の女性(54)から「他人ごとではありません。娘もちょっと前ならやりそうなことばかりです」とのメールが届いた。
習ったところ、全部読み上げる
母親は「目立った知的発達の遅れがないため、私たちが気づいていないところで、まだ困っていることがあるかもしれない」と心配する ※画像はイメージです
小学5年生の長女(10)は4歳の頃、発達障害のアスペルガー症候群(現在の自閉スペクトラム症)と診断され、特別支援学級で学ぶ。医師には言葉はどんどん覚えるが、覚えたことを応用することが苦手と言われた。小学1年の時、「(その日の授業で)習ったところを音読する」という国語の宿題が授業のたびに出た。長女は毎回、4月からそれまでに習った内容を全て音読した。日に日に読む量が増えるため、女性が「『今習っているところ』でいいのよ」と言ったが、長女は「『習ったところ』を読まないといけないの。先生がそう言ったの」といって、なかなか理解できなかった。
言葉には表れていない意図
専門家は「話し手の意図を理解できない傾向があるときは、話し方に注意が必要」と(秦野さん) ※画像はイメージです
白百合女子大学教授(発達心理学)で、神奈川県藤沢市のわかふじ幼稚園園長の秦野悦子さんは、自閉スペクトラム症によって、言葉通りに物事を捉え、言葉には表れていない話し手の意図を理解できない傾向があるときは、話し方に注意が必要という。
会話の意図、理解し合ってる?
「話す側は、聞く側がどのように理解するのかを想像しながら話す必要がある」(秦野さん)。これは大人同士にも通じる考え ※画像はイメージです
職場でも…
わが上司 横文字多様で 意味不明(フィールドバック)
「私だ」と 電話で名乗る 役員さん(新入社員)
了解です 言ってはみたが 理解不能(中途採用人)
第一生命保険が主催した「U-29サラ川グランプリ」でグランプリに輝いた川柳
幼稚園の先生が「運動会、何か(種目)出るの?」と聞くと、園児は「おやつが出るよ」。子どもの勘違いのように見えますが、大人が「伝えたつもり」になっているのではないでしょうか。悪意は無いけれど、話し手にとって当たり前の情報を省いて話す”勝手に省略語”――あれ、うちの上司にも思い当たるような…園児に学ぶ”勝手に省略語”対策について調べてみました。

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