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「私の襟、いつ立ってた?」 蓮舫氏、トレードマークの真相
民進党の蓮舫氏のトレードマークの襟立てジャケット姿が、党代表になってから減ったような気がしていました。イメージ戦略なのかと聞いてみたら、何も変わっていないんだそうです。きついイメージでも、「生意気」ととられても、それでいい。政治の世界で生きる自分への思いがありました。
「ところで、いつ襟が立ってました? そういうイメージありますか? 実際には襟が立っている服ってそんなに着てないんですよね」
「たぶん、メディアなんかでイメージを誇張したいときに、襟を立てている姿が使われているのでしょう。ですが、相手の印象に残るのはいいことですから」
今年9月、新執行部発足の時に着ていたのはピンクのジャケットでした。「党内融和」を意識したイメージ戦略かと思ったら「全く意識していない」んだそうです。
とはいえ、政治家として白は特別な色。代表就任後初めての質問も白で臨みました。
「白は勝負服。質問の時は必ず着ます。白を着ると落ち着くか? 汚れるなぁ、と思っていますよ。だからすぐに脱ぎます。それ以外は黒とかグレーとかダークな色が多いです。今年の夏の選挙ではイメージカラーをピンクにしたし、オレンジなどのビタミンカラーも着ていますが、そういうのって、きれいに私のイメージからなくなっているんです」
白を着ていないと、周囲が蓮舫氏だと気づいてくれないことすらあるそうです。
「白いジャケットの襟を立てている蓮舫像」は、国会や事業仕分けで相手を追及してきた蓮舫氏のイメージに、ぴたりとはまっているのかもしれません。代表として「提案」を掲げていますが、やっぱり「追及」してほしいと思う人も多いのでは。そう尋ねると、怒られてしまいました。
「常に提案していますが、報道しないのはみなさんですから。誘導ですよね、今の質問も。みんなそうやって聞くんですよ」
蓮舫氏は自分のイメージを「くっきりはっきり」だと言います。きつい印象だとマイナスもあるはず。雰囲気を変えようと思ったことはないのでしょうか。
「ないです。『まっすぐきつい』というのも政治には必要です。とがらないといけない場面が政治には絶対にありますから」
「それにいまさらイメージを変えようとしたところで、これまでの印象が残っているので不釣り合いになりますよ」
蓮舫氏はさらに、女性議員という立場も自分の「とがり具合」を目立たせていると分析します。
「いままでの女性議員なら遠慮していたことが、言えてしまうところはあります。たとえば、人の集まる宴席やパーティーで、パワハラやモラハラにあたるような場面でも、『笑ってごまかす文化』があります。私は一切許しません。間違ったことを言われたら相手に反論しますね。ひとつひとつ『空気』を壊していくことが、次の女性たちに道を開くはずですから」
「笑ってごまかす文化」は確かに男女問わず、いろいろな場に存在します。いまだに「女のくせに」「生意気な」という価値観の人もいます。
「生意気だってずっと言われていますよ。いまも、言われます。ですが、そのような感覚を持っている相手とは、長く付き合おうと思っていません」
「テレビのキャスターの世界でも、長い間女性は花と同じ添え物で、私も『笑ってろ』と言われたことがあります。それを打ち破ったのが、安藤優子さんや田丸美寿々さん、小池百合子さんでした。そういう方たちが出てきて、文化はどんどん変わっていきました。しかし残念ながら、政界はその時間軸がすごく遅い。政界に入ってから、時代が逆戻りしたようです」
とはいえ、女性党首となったいま、「男も女も関係ない」というスタンスで、特段の気負いはないといいます。
「見下したような態度をとる人は、たくさんいますよね。40代で女性だというだけで、いまだに当たり前のように『ちゃん』づけで呼ぶとか。経済界のトップクラスの方でも、そういう言い方をされる方がいます。岡田克也・前代表とはさまざまな席に同席してきましたが、前代表が受けていた対応とはずいぶん違います。『岡田ちゃん』『写真一緒に撮ってよ。こっちきてよ』なんて言わない。敬語ですよね、そこは」
取材後、国会で安倍晋三首相との党首討論に臨んだ蓮舫氏。白いジャケットに身を包み、「カジノ解禁法案」を厳しく追及していました。
この記事は12月10日朝日新聞夕刊(一部地域11日朝刊)ココハツ面と連動して配信しました。
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