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超難しい中国の方言をユニクロが攻略 6つのラップCMの狙いとは?
ユニクロが、とにかく複雑な中国の方言をカバーしたCMをネット上で公開し、現地で話題になっています。6つの方言をラップ風にアレンジしたこのCM。グローバル企業のユニクロが方言に注目した理由について聞きました。
中国の方言は、それぞれがほとんど外国語に近いくらいの違いがあります。また、同じ方言の中でも地域によっては通じない場合もあります。
ユニクロは「ウルトラライトダウン」のCMで、広東語(主に広州など)、ビン南語(アモイなど)、上海語(上海など)、四川語(重慶など)、山東語(青島など)と東北方言(瀋陽など)の6つのバージョンを作りました。
方言にはそれぞれ個性があります。広東語は、香港・マカオでも使われているので、おしゃれなイメージ。ビン南語は台湾でも使われています。東北方言は、中国の北方三省で使われており、日本語で言うと関西弁のよう立ち位置で、お笑い番組によく使われています。
CMで使われた6つの方言は、中国の東西南北をカバーしており「代表性のある6つの方言を選びました」とユニクロは説明しています。
11月3日、中国版のLINEであるメッセージサービス「WeChat」にCMがアップされると、SNSを中心に注目を集めました。
「WeChat」では10万以上のPVを記録し、中国版のツイッターである「微博」のユニクロオフィシャルアカウント「優衣庫」に投稿された動画には、11万2千のリツイート、1万7千のコメント、9千の「いいね」がつきました。
同じく中国版のツイッター「新浪微博」の検索ランキングでは、トップ3に入りました。
このCM、実は中国市場のためだけに作られたものではありません。
ユニクロの担当者は「全世界向けの、グローバルマーケティング動画に使用されたものを元に作成しました」と説明します。
たしかに、ビジネスマンのスーツ姿、ファッション好きな女性の旅行、ゴルフをする男性などの内容は、世界中で通じるものです。
CMの狙いについてユニクロは「中国には、世界中の都市と異なる地域の文化を持ち合わせています。今回、全世界共通の動画と地域文化である方言を組み合わせ、より消費者に理解しやすいCMを作りました」としています。
これまで、ユニクロが中国で流したCMは、有名な女優を起用した場合でも、静かなナレーションを用いるなど、控えめなものばかりでした。ところが、今回の6つの方言バージョンのCMでは、ラップを使い「格好いい」「目立つ」「クール」などのイメージを出しています。
ラップを使ったことによって、SNS上では若者からの反応が大きかったようです。
「私たちは、ユーザーの一人一人を大事にしています。もちろん、その中には若者もいます」と、ユニクロも若者へのリーチに手応えを感じているようです。
ユニクロは、CM制作の経緯について「各地のマーケットの状況と、ユーザーのインサイト(行動、傾向)に基づき、方言バージョンを制作しました」と説明しています。
今回のラップ風CMで方言を使った背景には、グローバル企業であるユニクロが、現地に合わせたマーケティングを大事にしていく姿勢が見えてきます。
今のところ、日本の方言バージョンの予定はありませんが「日本でも、よりエリアの特性に合わせた内容で共感を獲得していきたいです」と話しています。
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