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羽生「ギネスは更新し続けないと」 ライバルは自分 NHK杯への決意

練習の滑りで納得のいかない表情の羽生結弦=2016年11月25日、白井伸洋撮影
練習の滑りで納得のいかない表情の羽生結弦=2016年11月25日、白井伸洋撮影

目次

 ノーミスの演技、300点超えの得点をたたき出したGP日本大会(NHK杯)から早1年。進化し続ける羽生結弦は、11月25日から始まった今年の日本大会(NHK杯)のショートプログラム(SP)で早速、103.89点の今季世界最高得点をマークした。「ギネスは更新するためにある」と語る羽生。世界記録に認定された最高得点への思い、五輪への決意とは?(朝日新聞スポーツ部記者・山下弘展)

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「ギネスというのは、常に更新し続けないと」

 紺色のスーツを身にまとい、水色のネクタイで襟元を引き締めた羽生結弦が、司会者に招き入れられた。

 8月22日、東京・汐留。自らの所属企業でもある全日本空輸本社の一室であった、ギネス世界記録の公式認定証授与式。昨季のGP(グランプリ)ファイナル(スペイン・バルセロナ)でたたき出した、SP(ショートプログラム)110.95点、フリー219.48点、合計330.43点の三つが、フィギュアスケートの男子シングルにおける最高得点として、ギネス世界記録の認定を受けた。

 その場で、さらなる向上を誓う。

「ギネス(世界記録)というのは、常に更新し続けないといけない、更新し続けるための情熱の元になっているような認定だと思うので、これからもどんどんどんどん進化していき、さらに自分の記録に挑戦し、更新し続けたいと思っています」

ブライアン・オーサー・コーチと話をする羽生結弦=2016年11月24日、白井伸洋撮影
ブライアン・オーサー・コーチと話をする羽生結弦=2016年11月24日、白井伸洋撮影

絶頂にあった絶対王者

 歓喜と悔恨。羽生は昨季、二つの思いを味わった。

 GPファイナルは羽生のスケート人生において、一つの到達点といっていい。わずか2週間足らず前にあったGP日本大会(NHK杯)でマークした得点を、SP、フリー、合計のすべてで上回った。

 結果が示すとおり、演技に否の打ちどころはない。2シーズン目だったショパン作曲・バラード第1番のSPと、主演の野村萬斎氏と思いを語り合うなど、ほれ込んだ映画「陰陽師」の劇中曲「SEIMEI」を使用したフリー。

 観衆を、飛距離の長い、雄大なジャンプで圧倒し、軽やかに舞うステップでわかせ、指先にまで感情がこもった豊かな表現力で酔わせた。史上初のGPファイナル3連覇。絶対王者は絶頂にあった。

 GPファイナルで史上初の3連覇を果たすと、昨年末の全日本選手権は4連覇。しかし、3月末からのボストン世界選手権では、ハビエル・フェルナンデス(スペイン)に逆転を許し、銀メダルに終わった。

練習をする羽生結弦=2016年11月24日、白井伸洋撮影
練習をする羽生結弦=2016年11月24日、白井伸洋撮影

重視したのは「調整法」

 平昌冬季五輪が約1年半後に控える今季は、五輪へのプレシーズンにあたる。SP、フリーともにプログラムを刷新する羽生にとって、使用する楽曲への理解を深め、演技の完成度を高める大事なシーズンだ。

 ジャンプの精度と質を上げ、ケガをしにくい体作りや、練習メニューの構築も必要。そして、特に取り組むべき課題として、調整法を挙げる。GPファイナルから世界選手権に至る期間の過ごし方を重視する。

「オリンピックというのは、僕たちにとって最大の目標。冬季五輪は2月にある。そこに合わせた調整、ピークのもっていき方を今季からしっかりやっていきたい。例年、GPファイナルでいい演技をし、その後の世界選手権に向けて調整がうまくいかないことが多くなっている。その点に関しては、今季で一番やるべきことかなと思っています」

記者会見で質問に答える羽生結弦=2016年11月24日、白井伸洋撮影
記者会見で質問に答える羽生結弦=2016年11月24日、白井伸洋撮影

王者として、王者のまま挑む五輪

 冒頭のギネス世界記録・公式認定証授与式は、くしくもリオデジャネイロ五輪の閉会式が終わってまもなくだった。競技は違っても、培った力と技のすべてを出し切ったアスリートの仲間たちに心を打たれた。

「リオオリンピックでは合計41個のメダルがあり、僕たちもそれに続いてがんばっていかなきゃなと思います。金メダルは12個。チーム、ペア、個人、本当に一つひとつの競技が印象に残っています。僕自身もいいメダル、いい記録を持ってこなくてはいけないと思いました」

 男子シングルの五輪連覇は、サンモリッツ大会(1948年)とオスロ大会(1952年)を制したディック・バトン(米国)が最後。GPファイナルで優勝し、コンディションを落とすことなく、世界選手権も制する。

 王者として、王者のまま五輪に挑み、再び、表彰台の一番高い場所に立つ。果たすべき目標は、定まっている。

(『フィギュアスケート2016-2017オフィシャルガイドブック』より一部を掲載)。

『フィギュアスケート2016-2017オフィシャルガイドブック』(朝日新聞出版)

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