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む、無防備すぎる…猫の撮り方は? サラリーマン写真家が明かすコツ
インスタグラムやフェイスブックでは鉄板の猫コンテンツ。思わず見とれる写真を撮るにはどうすれば? 使うカメラ、選ぶ猫の種類は? SNSへの投稿がきっかけとなり「サラリーマン猫写真家」として活動する、あおいとりさんは「存在感をなくすことですかね」と話します。これまでに3冊の写真集を出してきたあおいとりさんに、リラックスした猫の表情を撮るコツを聞きました。
あおいとりさんが猫を撮り始めたのは4年ほど前。東京に単身赴任したのをきっかけに、「何か趣味がほしいな」と、もともと好きだった野鳥を撮り始めたそうです。
自然の中で鳥を撮っているうちに、猫たちもレンズを向けるように。インスタグラムなどのSNSにアップすると、猫の写真への反響がどんどん大きくなり、いつの間にやら猫写真家になっていたそうです。
はじめは一眼レフで撮っていましたが、「機材が重いと撮影のモチベーションが下がっちゃうなぁ」と思い始め、いまは富士フイルムのミラーレスとコンパクトカメラを携帯。場所によって、4、5本あるレンズから2本ほどを選んで持って行くそうです。
「一眼レフに望遠レンズといった大きなカメラだと、猫が怖がることもある。ミラーレスだと威圧感を与えないし、いまは画質も本当にきれい」と話します。
私も、街中や旅先で猫を見かけると、つい撮りたくなるタイプ。猫をうまく撮影するコツってあるのでしょうか?
あおいとりさんは「僕はもともと、自動ドアや自動手洗いのセンサーが反応してくれないくらい、存在感がないんです」と苦笑します。でも、そのおかげか、その場になじむのが得意。すぐに撮りたい気持ちをぐっとこらえながら、5~10分ほどたたずみ、場所に溶け込んでしまうのがコツだとか。
「撮ろうとしている猫との相性や機嫌もありますが、黙っていると逃げない子がときどきいるんです」
猫を撮るとき、おもちゃは使わず、「かわいいね~」といった声かけもしません。
「距離の詰め方は人それぞれ。驚かさないように気を使っているからか、猫写真家は日ごろから声の小さい人が多い気がしますね」
自然な表情を撮るのに欠かせないのが「忍耐力」です。猫がたくさんいる島を行ったり来たりして10km以上歩いたことも。
1日に300カットほど撮影し、SNSには選りすぐりの20枚ぐらいをアップします。
あおいとりさんは、人に飼われていない猫にこだわっています。11月25日に出した3作目の写真集のタイトルは「気ままに猫だもん。」と名づけました。
「外にいる猫は、実際には過酷な環境で暮らしています。でも、そんなことを感じさせず、一見『気まま』に見えるところが魅力的なんですよね」
なぜ私たちはこれほど猫に魅せられてしまうのでしょうか。
「私も含めて、みんなかわいい猫の表情に癒やしを求めているんだと思います。以前、写真集出版のニュースが、yahoo!のヘルス(健康)に分類されていたのには笑いました」とあおいとりさん。
SNSのフォロワーや写真集の読者、展覧会に訪れた人たちから、「毎晩寝る前に見てます」「ほっとします」と感想をもらうのが一番うれしいそうです。
「これからも、猫の『気まま』で幸せそうな表情を切り取って、長く愛してもらえるような写真が撮れたらうれしいですね」と話しています。
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あおいとり 1972年生まれ。京都出身。サラリーマン猫写真家として、これまでに『猫だって鼻提灯ぐらいできるもん。』、『島ねこぽん』などを出版。最新作『気ままに猫だもん。』(青菁社)を11月に発表。
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