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「自衛隊、本当に大丈夫?」 前防衛相とガチ議論 中谷元vs木村草太
国会前のデモなどで注目された安全保障関連法の成立から約1年。政府は「退避勧告」が出ている南スーダンに自衛隊員を派遣し「駆けつけ警護」という新たな任務を与えました。そんな場所に自衛隊を出して大丈夫なの? 集団的自衛権って実際、何をするの? 国会審議で防衛相として答弁に立った中谷元氏に、憲法学者の木村草太氏が、ガチで議論を挑みました。(司会は松本一弥・朝日新聞WEBRONZA編集長)
国論を二分した安全保障関連法の成立・施行を受けて、政府は集団的自衛権の行使を認める安保法制の本格運用に向けた様々な準備を進めています。
集団的自衛権とは、自分の国が直接、攻撃されていなくても、同盟関係などにある他の国のために軍隊などを出動させることです。
これまでの自衛隊は日本が直接、攻撃された時だけ出動することを基本的な考え方にしていました。なので、安保法制は大きな変化として受け止められました。
11月20日、本格運用に向けた準備の一環として、陸上自衛隊を南スーダンでの国連平和維持活動(PKO)に派遣しました。
しかし、南スーダンの情勢については当の政府から「治安情勢が厳しいことは十分認識している」との文書が発表されていて、自衛隊員の今後が非常に懸念されるといわざるを得ない状況です。
木村氏は、南スーダンの情勢について「停戦合意はすでに破れているのでは?」と指摘しました。
対する中谷氏は「PKO法上の武力紛争が新たに発生したとは考えていません」と答え、その理由として、対立していた勢力の一方が「すでに国外に出ている」ことをあげました。
また、安保法制をめぐっては、集団的自衛権の行使要件として新たに盛り込まれた「存立危機事態」が注目されました。「存立危機事態」が脅かされると判断されると、自衛隊が日本以外の場所に出動することになります。
木村氏は「米艦への攻撃はすべて『存立危機事態』になるのか?」と疑問をぶつけました。
中谷氏は「米国に対する武力攻撃が発生する全てのケースではない」という考えを示しました。
2人は、その他、「存立危機事態」そのものの定義などについて激論を交わしました。対談の詳細は以下です。
木村草太氏
中谷元氏
木村草太氏
木村草太氏
中谷元氏
木村草太氏
中谷元氏
中谷元氏
木村草太氏
中谷元氏
木村草太氏
木村草太氏
中谷元氏
木村草太氏
中谷元氏
中谷元氏
中谷元(なかたに・げん) 1957年生まれ。防衛大学校卒業。陸上自衛隊普通科連隊小銃小隊長、レンジャー教官を経て衆議院議員(当選9回)。防衛庁長官、防衛相を歴任した。自民党安保法制整備推進本部長も務めた。現在は自民党憲法改正推進本部長代理、衆院憲法審査会の自民党筆頭幹事。
木村草太(きむら・そうた) 1980年生まれ。東京大学法学部卒。同助手を経て現職。主な著書に「平等なき平等条項論」(東京大学出版会)、「憲法の急所」(羽鳥書店)、「キヨミズ准教授の法学入門」(星海社新書)、「憲法の創造力」(NHK出版新書)、「テレビが伝えない憲法の話」(PHP新書)、「集団的自衛権はなぜ違憲なのか」(晶文社)、「憲法という希望」(講談社現代新書)などがある。
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