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自転車ってジャマ? メッセンジャー直伝「肩身の狭くない走り方」

メッセンジャーの池本祐介さん=2016年9月14日、東京都港区
メッセンジャーの池本祐介さん=2016年9月14日、東京都港区

目次

 私事ですが今年、スポーツ自転車を買いました。座りっぱなしの仕事なので、運動不足が気になっていました。でも走っていて思うんですが、街なかでの自転車って正直肩身が狭いですよね……。車道を走れば車の邪魔になるし、細い道では歩行者に迷惑がられる。一体どうすればいいのでしょう。自転車で走るプロのメッセンジャーに聞いてみました。(朝日新聞東京編集センター・加地ゆうき)

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プロでも「肩身狭い」って思う?

 メッセンジャーでも肩身が狭いと思うことはあるのでしょうか。

 「仕事を始めた当初は車道を走り慣れていなかったし、邪魔かなという気持ちがありました。でも今は割り切って、自分の身を守れる位置取りに気をつけています」

メッセンジャー歴8年のベテラン、池本祐介さん
メッセンジャー歴8年のベテラン、池本祐介さん

 そう答えてくれたのは、メッセンジャー歴8年の池本祐介さん(32)。東京都港区の「ティーサーブ」で新人教育もしているベテランです。

 メッセンジャーは、急いで届けたい書類などを自転車で運ぶ仕事。渋滞の脇を颯爽(さっそう)と駆け抜けていく姿をよく目にします。

端っこを走るのは危ない

 自転車が邪魔にならず、身も守れる位置ってどの辺りかと聞くと、池本さんは、車道で車に近づきすぎず離れすぎない位置をすすめてくれました。仕事中、許された場所でも、基本的に歩道は走らないそうです。

 「僕は路側帯より内側を走ることが多いです。白線に乗らないぎりぎりの所です。路側帯を越えてしまうと、ガードレールや側溝、段差などにタイヤをとられて、こけてしまうかもしれないからです」

グラフィック・小倉誼之
グラフィック・小倉誼之

 えっ、そうなんですか!? これまで車からなるべく離れた方がいいと思って、端っこを走っていたんですけど……。確かに、落ちているペットボトルを踏んだり、鳥の死骸に驚いてよろけたりしていました。

 そういえば車に幅寄せされたときも、かなり端の方にいたような。スペースを空けすぎたのがよくなかったのかもしれません。

 池本さんは、何ならドライバーとアイコンタクトしてもいいといいます。

グラフィック・小倉誼之
グラフィック・小倉誼之

 「交差点を直進していると、こちらを見ていない車が対向車線から右折してくることも。『僕に気づいていますよね』というつもりで、ドライバーを見てから進みます」。自分をアピールすることも必要なんですね。

上から見た自分をイメージ

 一番大切なことは、「後方確認です」。路上駐車の横を通るときや、トラックに追い抜かれるとき、必ず周りを見ておいた方がいいそうです。池本さんは「上から見た自分をイメージできれば理想的です」と話します。

グラフィック・小倉誼之
グラフィック・小倉誼之

 どのくらいのスピードで走ればいいかも気になるところ。つい車の流れに乗らなければと焦ってしまうんですが……。

 池本さんは一日中走ることもあり、全力で飛ばすことはあまりないそう。「時速20~30キロといったところではないでしょうか」。だらだらと走るのも危ないので、無理しない範囲でスピードを保った方がいいそうです。

歩行者にベルを鳴らすより…

 自転車OKの歩道を走っていても、歩行者が突然立ち止まったり広がって歩いたりと緊張の連続です。歩道は走らない池本さんですが、こう教えてくれました。

 「気をつけるのは、危険な場合以外ベルを鳴らさないこと。鳴らすと絶対に印象はよくありません。通りたいなら『すみません』と声をかけた方がいいです」

グラフィック・小倉誼之
グラフィック・小倉誼之

 後日、アドバイスを思い出しながら車道を走ってみました。交差点で、右折待ちのドライバーをじっと凝視。不審な顔をされましたが、気づいてもらえたのでぶつかることはないと安心しました。まだまだ肩身は狭いけど、のびのび走れる日もそう遠くない気がしています。

この記事は10月1日朝日新聞夕刊(一部地域2日朝刊)ココハツ面と連動して配信しました。

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