お金と仕事
研修旅行、220万円かけ温泉へ 内定者への手厚いフォロー、なぜ?
もうすぐ来春卒業の学生の内定式。いまどきの学生は、「内定をもらったら内定式まで放置」なんてことはなく、企業の手厚いフォローを受けています。研修旅行だったり、仕事を学ぶ課題だったり。一体、なぜ企業は内定者フォローにお金も手間ひまもかけるのでしょうか?
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もうすぐ来春卒業の学生の内定式。いまどきの学生は、「内定をもらったら内定式まで放置」なんてことはなく、企業の手厚いフォローを受けています。研修旅行だったり、仕事を学ぶ課題だったり。一体、なぜ企業は内定者フォローにお金も手間ひまもかけるのでしょうか?
もうすぐ来春卒業の学生の内定式。いまどきの学生は、「内定をもらったら内定式まで放置」なんてことはなく、企業の手厚いフォローを受けています。研修旅行だったり、仕事を学ぶ課題だったり。一体、なぜ企業は内定者フォローにお金も手間ひまもかけるのでしょうか?
旅行系情報サイト「じゃらん」を運営するリクルートライフスタイル。7月、約20人の内定者が飛行機とバスを乗り継ぎ、熊本・黒川温泉に集まりました。人事の社員の他に、役員4人も参加。総額220万円をかけた1泊2日の研修旅行です。
学生たちには「温泉地の改善・PR策を考える」と課題が与えられました。3チームに分かれ、1人2000円の調査費用が手渡されました。自分たちの足で温泉地を巡り、話を聞き、お金を使って消費者の気持ちで提案を考えるのです。旅行をビジネスにするリクルートライフスタイルならではの研修。夜になっても学生の自発的な議論は続いたそうです。
ある学生は、温泉街を巡るなかで、写真スポットが少ないことに気づきました。インスタグラムに投稿しようにも、撮る場所がない。若者を呼び込むため、写真スポットを増やす提案をしました。別の学生は食べ歩きをしていて、街の「鉄板メニュー」が必要だと提案しました。
リクルートライフスタイルは例年、東京の本社から近い熱海で研修旅行をしていました。ところが、今年は奮発。企画に携わった人事部の石原苑子さんは、「売り手市場で、内定を出したからといって必ず学生がくる状況ではなく、フォローをしないと学生が離れます。例年より質の高いものを目指しました」と狙いを話します。
学生の引きとめだけではありません。この合宿では、フィールドワークや提案といった課題をこなすなかで、ビジネスの面白さを感じ、ビジネスの入り口にたってもらう、教育の狙いもあるといいます。あ
情報サイトを運営するオールアバウトは、10月に河口湖周辺で社長や役員が参加する合宿を開く予定です。アスレチック体験やチーム単位でのゲームなどを通じ、経営陣との懇親を深めたり、社内の人脈形成につなげたりするのだといいます。
住宅資材大手のJKホールディングスは、9月から入社までの期間を「0年次研修期間」と位置づけ、インターンシップを手伝ってもらったり、英語学習をしてもらったりするプログラムを今年から始めました。
就職情報会社マイナビによると、企業が内定者にかけるお金は今春卒で平均約95万円。リーマン・ショック後に底をうった2011年卒(同70万円)から3割超の増加です。懇親会や誓約書の提出といった簡単なものだけでなく、合宿や課題の提出など手間ひまかけて行うものもあります。
いったい、なぜなのか。
採用コンサルタントの谷出正直さんは、「フォローは年々丁寧になってきている」としたうえで、以下の三つの動きが背景にあると分析します。
・有効求人倍率の上昇→内定者の辞退の防止が重要になった。
・3月に広報解禁、6月に採用解禁という短期決戦→内定者に自社の理解を深めてもらうことや、人脈作りが重要になった
・入社後に育成という考え方ではなく、即戦力化が求められるように→内定者の育成が重要になった
来年も似たような環境になるとみられます。学生にとっては刺激のある、人事担当者にとっては気の休まらない日々がまだ続きそうです。
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