話題
やっぱ武井壮は倒せねえ! 「百獣の王」は戦闘能力だけじゃなかった
アスリートタレント武井壮さんの肩書が、明らかにおかしい。「職業・肩書『百獣の王』」って、いやいやいや、そんなバカな。だって、ヒトでしょ? ところが、ご本人を直撃して見えてきたのは、戦闘能力だけではない「百獣の王」の条件でした。「武井壮のことは、倒せないでしょうね」。その真意とは?
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アスリートタレント武井壮さんの肩書が、明らかにおかしい。「職業・肩書『百獣の王』」って、いやいやいや、そんなバカな。だって、ヒトでしょ? ところが、ご本人を直撃して見えてきたのは、戦闘能力だけではない「百獣の王」の条件でした。「武井壮のことは、倒せないでしょうね」。その真意とは?
アスリートタレント武井壮さんの肩書が、明らかにおかしい。「職業・肩書『百獣の王』」って、いやいやいや、そんなバカな。だって、ヒトでしょ? ところが、ご本人を直撃して見えてきたのは、戦闘能力だけではない「百獣の王」の条件でした。「武井壮のことは、倒せないでしょうね」。その真意とは?
真っ白なタンクトップがトレードマークの武井さん。最近はバラエティーだけでなく、情報番組にも引っぱりだこ。当意即妙な受け答えで知的な一面も見せていますが、やっぱりすごいのは、人間離れした伝説の数々です。
(1)あごを鍛えるため、西麻布のバーで犬用の骨型ガムをかじっていた
(2)警察犬を「チィッス!」のひと言で服従させた
(3)健康診断を動物病院で受け、獣医師から「おそろしく柔軟で瞬発力に富んだ類人猿のような筋肉」と、お墨付きをもらった
それだけじゃありません。なんと、腕だけで高尾山を登ったこともあるそう。
「4本足の動物は足が速いから、4本足ならウサイン・ボルトにも勝てる可能性があるかと思って。山に登って腕力を脚力に近づけたら、100メートル9秒くらい出るんじゃないかなって試してみたんです」
登頂は7時間がかり。標高599メートルを「腹ばいで、アシカみたいにして」登りきったところまではよかったのですが……。
「筋肉痛が回復してから、四つんばいで100メートルを計ってみたんですよ。そしたら、クソ遅かったっていう(苦笑)」
武井さんはこれまで、いろんな動物と“脳内対戦”し、何万もの勝ちを積み上げてきました。
たとえば、ライオンには「首をかまれそうになった瞬間、わざと右腕をかみつかせる。力を込めてキバを抜けなくし、鼻に左ストレートを連打」。
大型恐竜ブラキオサウルスが相手なら、「前十字靱帯(じんたい)に6万発の石を当てる」といった具合に。
相手の生態をつぶさに勉強し、強み・弱みをつかむ。その本音はしかし、「戦いたいのではなく、仲良くしたい」のだそう。
「倒す方法を見つけるのは、争わないで済むようにするため。自分が勝てるかどうかわからなければ、試してみてどっちが勝つかを決めなきゃいけないでしょ」
そして、こうも言います。
「何かと戦って勝つというのは、人の強さの証明にはあまりならないと思う。たとえば自分が100の強さを持ってたら、1~99の人には全員勝てるわけじゃないですか。こんなの本当の勝ちじゃない。それよりも100の自分を倒して、101になれるかどうかが勝負。その勝ちが目標なんです」
ちなみに、いままで最も苦戦した相手は、陸上・ハンマー投げのアテネ五輪金メダリスト、室伏広治さんだそうです(それでもドロー)。
武井さんは、過去に陸上・10種競技の日本チャンピオンになったこともあります。なかでも100メートル走では、10秒54という当時の日本記録を打ち立てました。
さらに、昨年の世界マスターズ陸上選手権では、40~44歳の400メートルリレーで金メダルを獲得。いまも1日1時間ずつをトレーニング、勉強、「新たな技術の習得」に充てているそうです。
「僕のモチベーションはやっぱり、正しく目標にたどり着く進み方を知ってるってことだと思います。たとえば10メートル先に宝物があって、『歩いて取りにいくのが苦しい』って言うヤツ、いないでしょ。でも、山道がすごい険しくて、『登った先に宝物があるかわかんないけど、行ってみな』って言われたら、苦しいじゃないですか」
そう。野性的に見えて、武井さんってかなりの理論派。芸能界デビューする前は、10種競技の全日本コーチだったこともあります。リオ五輪で旗手を務めた右代啓祐選手も、教え子の一人です。
それにしても「肩書・百獣の王」って何なんでしょう?
「見る人からしたら『肩書・タレント』じゃねえかって思うかもしれないけど、『百獣の王』は、僕が自由につけた理想の自分みたいなもの。みんな、僕は毎日トレーニングして、モチベーションが高くて、精神的に強いっていうイメージがあるかもしれないけど、本当の武井壮は意外とダメで、弱くて、しんどいことも嫌い。でも、自分がつけた『百獣の王』っていう肩書に関しては誰にも負けたくないし、目標に向かって突き進んでいく、そういう姿が理想ですよね」
いま「百獣の王」とググると、一番上に出てくるのは武井壮さんのウィキペディアです。いわく、デビューして1年が経った頃に、ライオンを超えたそう。
街中でも「百獣の王」と呼ばれることが増え、武井さんはこの頃から、「百獣の王を目指す男」ではなく「百獣の王」を名乗り始めたといいます。ある意味、夢をかなえた形ですが、そのために必要なのは「シンプルなこと」だったといいます。
「僕は何かをやろうと思ったとき、毎日必ず成長することを大事にしている。毎日『自分史上最高』でいること。たとえば、知らない言葉を一つ辞書で調べるだけでも、さっきまで知らなかったことをもう知ってるわけで、これは成長だし。どんなことでも、自分に『+1』を毎日必ずプレゼントしてあげるっていうのは、一番大事なことだと思います」
最後に、武井さんのことはどうやったら倒せるのか、聞いてみました。
「武井壮は、倒せないですね。やっぱり今日の武井壮を見て、『あっ、攻略法みつけた。じゃあ、明日倒そう』と思ったら、明日もうちょっと強くなってたりするんで。『あら、計算と違った』ってことになっちゃいますし。武井壮の倒し方、意外と大変ですよ」
この記事は8月27日朝日新聞夕刊(一部地域28日朝刊)ココハツ面と連動して配信しました。
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