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自転車「両輪駆動」は買い?“3つの注意点”ブレーキ自慢、重量は…
自動車の全ての車輪に動力を持たせ、悪路に強いのは「4輪駆動」。では、自転車の「両輪駆動」と聞いたら、どんなイメージを持ちますか? 進化を続ける電動アシスト自転車の世界。最新機種に搭載された「両輪駆動」の実力について、調べてみました。
国内大手のブリヂストンサイクルは昨年の1月に「デュアルドライブ」というシステムを搭載した、両輪駆動の電動アシスト自転車を発表。7月にも新型車を発表しています。
今回、登場した両輪駆動は3人乗りに対応した小径車「bikke GRI」です。値段は13万3800円(税抜き)。エコモードで74Kmの走行距離があります。9月下旬の発売予定です。
特徴的なのは、前輪に向けて伸びている太めのコードと、やや大きめの黒いハブです。
「ハブに内蔵されたモーターが前輪の動力源です。後輪のベルトドライブと組み合わせ、両輪が駆動します。電動アシスト車ならではの技術です」と広報の竹内理さん。
開発で苦労したのは、「フィーリング」だそうです。前輪のモーターが力強すぎても、弱すぎてもいけない。乗って、調整して、乗っての繰り返しの中で、重さを感じさせない自然なバランスを生み出したとのことでした。また、デザインを崩さない大きさにこだわったそうです。
さっそく試乗してみました。まず、こぎ出した時のアシストが非常に滑らかです。厳しい上り坂でも前輪が強く車体を引っ張り、足の踏み込んだ力が路面に無駄なく伝わっていくのに気付きます。
一番驚かされたのは下り坂です。後輪のブレーキを軽く握るだけで、車体全体が柔らかく止められているような感覚がします。
「これが前輪モーターを利用したブレーキアシストです。強く握り続けなくても減速するので、長い下り坂でも安心です」と竹内さん。しかも、ブレーキの抵抗は、電力に変換されてバッテリーに充電されるとのことです。
後輪の動力は、なぜチェーンではなくベルトドライブなのでしょうか?
「開発にあたって、長距離通学・通勤の快適性を大事にしました。しなやかな踏み心地と静音性、そして重量の減。さらに、ベルトは伸びず、錆びず、注油が不要というメンテナンスフリーさが大きいです」とのことでした。
一方、モーターがあるので当然、前輪は重くなります。また、今や電動アシスト自転車は8万円台から手に入る時代。機能と値段の見合いで、ちょっと躊躇してしまう人もいるかもしれません。
購入を考えている人は、次の点に注意した方がいいかもしれません。
・駐輪場では前輪を持ち上げる必要はあるか?
・いつも走る道に、ブレーキアシストが効果を発揮する長い下り坂はあるか?
・毎日、長めの距離を走るか?
とはいえ、ブリヂストンサイクルでは、電動アシストの人気機車種を次々に両輪駆動に置き換えています。
これから先、電動アシスト自転車はどう進化していくのでしょうか?
竹内さんは「走りの力強さの面では、アシスト力の上限は道路交通法で2倍と定められています。ここから先は走りを制御する頭脳比べになるでしょう。年配の方でも安心できる滑らかさ、3人乗りでも安心できるほどよい強さ、そういった人間の感覚に寄り近いセッティング、さらには両輪駆動によるブレーキのアシストなど、付加価値を高めていくことになります」と話します。
「あと、黒い心臓部と大型バッテリーが配置された『いかにも電動』ではなく、心臓部もバッテリーも小型化が進み、よりコンパクトになっていくと思います」
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