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都知事選「後出しジャンケン」の法則 浮かんでは消えた「あの名前」

東京都庁=東京都新宿区、朝日新聞提供
東京都庁=東京都新宿区、朝日新聞提供

目次

 31日投開票の都知事選。告示日直前まで、候補者がそろわず、色んな人の名前が浮かんでは消えていきました。最後に立候補を表明する「後出しジャンケン」が有利と言われている都知事選。本当にそうなのが、調べてみました。

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新顔同士の戦いでは全部…

 新顔が争った過去4回の都知事選では、いずれも最後に立候補表明した候補者が当選してます。このデータを見るかぎり「後出しジャンケン」は有利だと言えそうです。

新顔が争った過去4回の都知事選では、いずれも最後に立候補表明した候補者が当選し、「後出しジャンケン」が有利と言われている。
2016年6月25日:首都の顔、次は 候補者選び、各党苦戦 都知事選:朝日新聞紙面から

投票以外、自宅にこもった青島氏

 1995年は自民、公明両党など推薦の石原信雄氏が立候補表明した3日後、青島幸男氏が表明。街頭活動をしない異例の選挙戦で圧勝しました。

 青島氏の姿勢は徹底していました。投開票日も投票に出かけた以外は自宅にこもり、夕方からは家族とともにテレビを見守りました。選挙運動は政見放送、選挙公報、ポスター以外は一切なし。17日間、街頭に立って支持を訴えることはありませんでした。

 ポスターは最初5千枚を印刷。家族や秘書らで手分けしたが、とても張り切れませんでした。しかし、支援者から「張らせてほしい」と申し入れが相次ぎ、6千枚を増刷しました。

東京都知事選で当選確実となり、家族に囲まれ笑顔で万歳する青島幸男氏=1995年4月9日
東京都知事選で当選確実となり、家族に囲まれ笑顔で万歳する青島幸男氏=1995年4月9日 出典: 朝日新聞
青島氏はこの日も、投票に出かけた以外は自宅にこもり、夕方からは家族とともにテレビを見守った。選挙運動は政見放送、選挙公報、ポスター以外は一切なし。十七日間、街頭に立って支持を訴えることはついになかった。過去六回の参議院選でも、運動らしい運動をしたのは最初の一回だけ。「選挙に金をかけるから、後で回収しようとして政治腐敗が起きる」と、今回もその姿勢を貫いた。ポスターは最初五千枚を印刷した。家族や秘書らで手分けしたが、とても張り切れなかった。だが、主婦らから「張らせてほしい」と申し入れが相次ぎ、六千枚を増刷。
1995年4月10日:「庶民派コンビ」圧勝 青島さん・ノックさん 統一選の2大知事選:朝日新聞紙面から

「候補者、物足りない」石原氏が出馬

 1999年も石原慎太郎氏が「すばらしい候補者がいればいいが、物足りない」と15日前に表明し、初当選しました。

 この時の知事選は当初、再選を目指すとみられていた青島幸男氏が、2月に突然不出馬表明して混迷しました。すでに名乗りを上げていた三上満氏に続いて、舛添要一氏や、鳩山邦夫氏が相次いで出馬を表明。

 政権党の自民党が事実上、3分裂する形で、選挙戦に臨んだうえ、多彩な候補者の顔ぶれと合わせ、注目の選挙戦となりました。

当選から一夜明け、故裕次郎氏の墓参りで支持者らにあいさつする石原慎太郎氏=1999年4月12日
当選から一夜明け、故裕次郎氏の墓参りで支持者らにあいさつする石原慎太郎氏=1999年4月12日 出典: 朝日新聞
知事選は当初、再選を目指すとみられていた青島幸男知事が、二月に突然不出馬表明して混迷した。すでに名乗りを上げていた教育評論家の三上満氏(六七)に続いて、国際政治学者の舛添要一氏(五〇)や、元文相の鳩山邦夫氏(五〇)が相次いで出馬を表明。自民党は当初、元外相の柿沢弘治氏(六五)らの擁立を模索していたが、青島知事の不出馬表明後、一転して元国連事務次長の明石康氏(六八)に出馬を要請。これに反発した柿沢氏は党の説得を振り切って立候補を表明した。さらに、自民党の元代議士でもある石原氏も加わった。政権党の自民党が事実上、三分裂する形で、選挙戦に臨んだうえ、多彩な候補者の顔ぶれと合わせ、注目の選挙戦となっていた。
1999年4月12日:石原慎太郎氏、強い知事誇示 タカ派批判かわす 都知事選:朝日新聞紙面から

石原氏のフレーズ連呼した猪瀬氏

 2012年は石原氏の突然の辞職をうけ、猪瀬直樹氏が告示8日前に表明。過去最多の434万票を獲得しました。

 石原前知事から後継に名を挙げられた猪瀬氏は石原氏が使ったフレーズ「東京から国を変える」を連呼。石原氏も応援に入りました。

 「ミカドの肖像」「日本国の研究」などの著作がある作家としての知名度をいかし、「改革路線」も前面に打ち出しました。小泉純一郎政権時代に取り組んだ道路公団民営化をアピール。小泉氏を事務所に招き、無党派層への浸透を図りました。

当選を決めた猪瀬直樹氏。左はゆり子夫人=2012年12月16日
当選を決めた猪瀬直樹氏。左はゆり子夫人=2012年12月16日 出典: 朝日新聞
石原前知事から後継に名を挙げられた猪瀬氏。選挙戦では石原前知事が使ったフレーズ「東京から国を変える」を連呼。石原氏も2日間、応援に入った。「ミカドの肖像」「日本国の研究」などの著作がある作家としての知名度をいかし、「改革路線」も前面に打ち出した。小泉純一郎政権時代に取り組んだ道路公団民営化をアピール。小泉氏を事務所に招き、無党派層への浸透を図った。
2012年12月17日:猪瀬氏盤石、300万票超 石原後継、高い知名度 衆院選で強敵分散 都知事選:朝日新聞紙面から

細川氏、田母神氏ら破り初当選した舛添氏

 2014年の舛添氏も表明したのは告示9日前。候補者がそろうのが遅れ、告示前日に企画されていた共同会見やテレビの共同出演が延期になりました。

 選挙は、医療法人徳洲会グループから5千万円を受け取った猪瀬直樹氏の都知事辞職に伴い実施されました。舛添氏は日本弁護士連合会元会長の宇都宮健児氏、元首相の細川護熙氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏らを破り、初当選しました。

 原発ゼロを掲げた細川氏を小泉純一郎元首相が支援したことに対し、安倍政権は舛添氏を全面支援。原発ゼロは細川氏とともに宇都宮氏も訴え、脱原発を求める有権者の票は分散する結果となりました。

当選を決め、あいさつする舛添要一氏=2014年2月9日
当選を決め、あいさつする舛添要一氏=2014年2月9日 出典: 朝日新聞
医療法人徳洲会グループから5千万円を受け取った猪瀬直樹前知事の辞職に伴う東京都知事選が9日、投開票され、元厚生労働相の舛添要一氏(65)が、日本弁護士連合会前会長の宇都宮健児氏(67)、元首相の細川護熙氏(76)、元航空幕僚長の田母神俊雄氏(65)らを破り、初当選した。原発ゼロを掲げた細川氏を小泉純一郎元首相が支援したことに対し、安倍政権は舛添氏を全面支援。原発ゼロは細川氏とともに宇都宮氏も訴え、脱原発を求める有権者の票は分散する結果となった。
2014年2月10日:都知事に舛添氏 宇都宮氏・細川氏ら破り初当選 脱原発、争点化避ける:朝日新聞紙面から
過去の都知事選の投票率と当選者の得票数
過去の都知事選の投票率と当選者の得票数 出典: 朝日新聞
自民党衆院議員の小池百合子元防衛相(63)は29日、都内で記者会見し、舛添要一前知事の辞職に伴う東京都知事選(7月14日告示、同31日投開票)に立候補する意向を表明した。
2016年6月29日:小池百合子氏が出馬表明 都知事選:朝日新聞紙面から
元総務相で岩手県知事を務めた増田寛也氏(64)は11日、都内で記者会見を開き、東京都知事選(14日告示)への立候補を表明した。
2016年7月11日:増田氏が立候補を表明 自民推薦決定、17年ぶり分裂選挙へ 都知事選:朝日新聞紙面から
ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)は12日、都内で会見して立候補を表明。
2016年7月13日:鳥越氏、出馬表明 都知事選あす告示:朝日新聞紙面から
都知事選の候補者の演説に耳を傾ける人たち=2016年7月16日
都知事選の候補者の演説に耳を傾ける人たち=2016年7月16日 出典: 朝日新聞

浮かんでは消えた名前

 今回の都知事選、たくさんの人の名前が浮かびました。もはや「懐かしい」と感じる人も。ちょっと振り返ってみると…

【名前があがった主な人たち】
長妻昭氏
下村博文氏
長島昭久氏
丸川珠代氏
片山善博氏
橋下徹氏
桜井俊氏
石原伸晃氏
東国原英夫氏

都知事選への立候補を否定する総務省の桜井俊事務次官(中央)=2016年6月15日、東京・霞が関、飯塚晋一撮影
都知事選への立候補を否定する総務省の桜井俊事務次官(中央)=2016年6月15日、東京・霞が関、飯塚晋一撮影 出典: 朝日新聞

「後出しジャンケン」どう選ぶ?

 「後出しジャンケン」は有権者にとって、どのような影響があるのでしょうか? 牧原出(いづる)東京大教授(行政学)は朝日新聞の記事で次のように解説しています。

 「美濃部亮吉氏は政策革新、鈴木俊一都知事の頃は財政再建が重要課題で、政策を見て投票できた。その後、他府県に比べて東京は切実な課題がなくなり、知事に何を求めるべきかが不明瞭になった」

 「ただ、今の都政に対する不信感は国全体に広がっている。著名人が出ないと投票率が下がる危惧もあるが、人気投票はやめ、地味でも真面目に考えている人を選んだ方がいい。最後に出てきた人は、その分政策を聞く時間が少ない。本当に信用できるのか、言っていることをよく聞いて一票を投じるべきだ」

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