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中島みゆき・チャゲアス…フェスの元祖「ポプコン」の歴史振り返る

ポピュラー・ソング・コンテスト「ポプコン」の本選会の様子=1985年
ポピュラー・ソング・コンテスト「ポプコン」の本選会の様子=1985年 出典: 朝日新聞

目次

 中島みゆきら多くの優れたシンガー・ソングライターを送り出したコンテストが30年前まで開かれていました。1970年代から80年代にかけてのことです。その名は「ヤマハポピュラーソングコンテスト」。閉幕から30年になる今年、会場だった静岡県掛川市のリゾート施設「つま恋」に、コンテストの軌跡をたどるコーナーが9月末まで特設されています。当時の熱気を知る来場者からは「青春の1ページです」と好評のようです。(朝日新聞浜松支局記者・張春穎)

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「時代」「大都会」「待つわ」

 コンテストはヤマハ音楽振興会の主催で1969年に始まりました。「ポプコン」の名で親しまれ、86年まで32回開かれました。アマチュアミュージシャンがオリジナル曲をひっさげて地区選考会を勝ち抜き、本選会に出場。受賞曲は注目を浴びて次々と大ヒットしました。

 中島みゆきの「時代」、クリスタルキングの「大都会」、あみんの「待つわ」などは、ほんの一例です。

 特設コーナーには、当時のコンテストの音源が流れる中、グランプリを受賞した歌い手たちの写真が紹介されています。グランプリのメダルや出場者への参加賞バッジなどといった当時をしのぶ品々も飾られています。

来場者のはんぱない熱気

 コーナーには各回ごとに受賞者や講評が書かれた展示ボードもあります。当時の熱気を知らない人でも、一度は聞いたことがある名曲や、この人もポプコンに出ていたんだという「発見」があります。

 コーナーを見た来場者にアンケートをしたところ、「本当にすばらしい歌の数々、今でもなつかしいです」「ポプコンを再開して」と50代を中心に熱い声が寄せられたということです。

ポプコンのTシャツ(左)、ポプコンの受賞者らに贈られたメダル=静岡県掛川市のつま恋
ポプコンのTシャツ(左)、ポプコンの受賞者らに贈られたメダル=静岡県掛川市のつま恋

「日本の音楽シーンに大きなうねり」

 企画したつま恋の運営会社「ヤマハリゾート」の堀内章弘さん(57)に聞きました。

 ――どうして今、企画したのですか?

 「つま恋はスポーツ利用も盛んです。一方で多くのコンサートも開かれ、もっと音楽の香りを出してもいいのではと思いました」

 「出場者が地区予選から勝ち上がっていくポプコンには、ファンだけでなく、全国の多くの関係者も携わってきました。そのことにも着目し、日本の音楽シーンに大きなうねりを作り出したポプコンの熱き思いがよみがえればと思いました」

ポプコンの特設コーナーと担当の堀内章弘さん=静岡県掛川市のつま恋
ポプコンの特設コーナーと担当の堀内章弘さん=静岡県掛川市のつま恋

当時の音源を現地で聞ける

 ――企画でこだわった点はありますか?

 「つま恋で実際に歌われた当時の音源で名曲を流しています。世良公則&ツイストが腰を落として『あんたのバラード』を熱唱する姿や、円広志さんが右手を広げて『夢想花』を歌う姿など写真も展示しています」

 「さらには受賞者メダルや参加賞バッジ、会場のみで販売されたTシャツ、来場者に無償で配られた当時のパンフレットも並べる予定です。まさに『お宝』がいっぱいです」

ポプコン本選会の舞台となったエキジビションホール=静岡県掛川市のつま恋
ポプコン本選会の舞台となったエキジビションホール=静岡県掛川市のつま恋

「音楽はすごいな」

 企画した堀内さん自身も、ポプコンから広まった歌を聴いて育った「ポプコン世代」。コンテストへの熱い思い出がありました。

 「入社した1981年、つま恋のエキジビションホールに座って、ポプコン本選会を鑑賞しました。約3000人の観衆が、地区代表の出場者を熱心に応援していたのを覚えています。この舞台から、あの有名なミュージシャンが巣立っていったかと思うと感動しました」

 来場者と話すと「当時に戻ったように話が弾みました」と言う堀内さん。

 「音楽を通じて共有できる喜びを感じました。改めてですが、音楽はすごいなと感じました」

     ◇

 特設コーナーは5月からつま恋のスポーツマンズクラブ内にあるカフェ「ウィーン」の一角に設けられています。特設コーナーの観賞は無料ですが、つま恋への入場料大人1千円、小学生500円が必要です。問い合わせは、つま恋(0537・24・1111)へ。

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