お金と仕事
「もし、3年生の夏に戻れるなら…」オトナの事情に惑わされない就活
就活は、変革の時代。説明会や選考の解禁日程も、また変わるかもしれません。そんなオトナの事情に惑わされないために、学生がやるべきことって何なのでしょう? 先輩たちが「いまもし3年生の夏に戻れるなら何します?」と聞かれ、真っ先にあげたこととは? 専門家に聞きました。
「リクナビ」を運営するリクルートキャリア社の就職みらい研究所長、岡崎仁美さんが「早く始めて損はないもの」として挙げるのが、自分を知ることと、世の中を知ることです。
自分を知るとは何か。エントリーシートや面接で話す、自己PRのベースを探ることです。コツは、他人の意見を聞くこと。
「自分のことは自分ではかたよって見ているものです。親や友達に、自分がどんな人間か、どんな業種が向いてそうか聞いてください。でも、就活がピークになると、焦ってきて素直に聞けなくなる。落ち着いているときにじっくり話し合ってみて」(岡崎さん)
それでは、世の中を知るとは何か。アルバイトや短期留学もその一つですが、大事さを増しているのが、インターンです。
「年の近い先輩に聞いてみてください。『いまもし3年生の夏に戻れるなら何します?』と。たいてい、『インターンをもっとやっておけばよかった』と言うでしょう。ただし、『有名な企業だから』『家から近いから』では駄目。自分が求めるものを提供してくれるインターンか、見極めて欲しい」(岡崎さん)
でも、インターンって、ちょっとちゅうちょしてしまいますよね。下手に落ちたり、参加してみてうまくいかなかったら、本番の選考で不利にならないか、と。
「まったくそんなことはない。先輩の実例からみても、人事担当者に聞いても、企業は学生に何度も挑戦して欲しいと思っていることが明らかです。インターンの選考は落ちても良いんです」。積極的な参加をすすめるのは就活コンサルタントの坂本直文さんです。
坂本さんによると、インターンには三つの効用があるといいます。
ここ2年、企業は採用を目的としたインターンを増やしており、内定への直接的な選択肢となっています。これが一つ目の効用。そして、インターンを受けるためには企業研究や自己分析が必要で、本番の選考試験の準備にもなります。これが二つ目。
三つ目が一番大事です。本当にやりたいこと、向いていることを知ることができる。夏に体験した業種や仕事に魅力を感じなかったら、秋や冬で軌道修正をはかることもできます。人気企業のインターンにだけ参加しようとするのではなく、同じ業種で優良なのにあまり知られていないB to Bの企業に参加し、業界のことを知るのもおすすめだそうです。
また、OB・OG訪問も早めにやるべきだといいます。就活が解禁されてからだと、受け入れるOB・OG側に学生が集中し、時間をとってもらえなくなる可能性があるからです。OB・OG訪問では、仕事の具体的な内容や、思いを聞く。そうして得た情報は、エントリーシートや面接でPRにも使えるといいます。
自分を知ること。世の中を知ること。
自分の足で動いて、他人と話し、自分のからだで体験すること。
専門家の話に共通していたポイントです。
そして、こうした自分だけの体験を積み重ねることは、今からでもできます。何度も体験すれば、その分学びや成長も大きい。とすると、早くて損することはないのです。就活解禁日に、横並びに始める必要はないのです。
インターンやOB訪問だけが手段ではありません。ただ、自分がやりたいこと、できることを見つめるきっかけにもなって、内定の可能性もアップする。使わない手はないと思いませんか?
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