お金と仕事
舛添氏が頼る「第三者の目」ダメ出し 専門家「信用できん」その理由
政治資金の使い方で、連日炎上中の東京都知事舛添要一さん。「第三者の公正な目で見てもらうことにした」として具体的な説明を拒んでますが、頼みの綱の「第三者の目」に早くも専門家がダメ出ししました。どんな理由なのでしょうか?(朝日新聞東京本社社会部記者・三橋麻子)
絵画のネットオークションに家族同伴の旅行。政治資金をそうした支出に充てていたことに批判が集まり、舛添さんは25日、「第三者」に調査を依頼したと発表しました。
メンバーは「政治資金規正法に精通した元検事」の2人の弁護士といいます。
2人には舛添さんが報酬を支払いますが、これまで「一度も面識がない方々」で、公正な立場から厳しいアドバイスをもらう、と説明しています。
ところがこうしたやり方に、専門家がさっそく異議を唱えました。
「本来は『第三者』ではないのに、そういって、その場をごまかす言葉の乱用だ」
東京都内で27日に記者会見した国広正弁護士は、そう厳しく指摘しました。国広さんはコンプライアンスの専門家として著名な弁護士です。
最近「第三者委員会」という言葉をよく聞きますね。会社で不祥事が起きた際などに、しばしば設置される組織です。専門的な知識がある弁護士などが不祥事の原因を調べ、信頼回復をめざします。
この一年間でみると、不正会計が問題になった東芝や、燃費データの改ざんがわかった三菱自動車で設置されました。
国広弁護士はこうした「第三者委員会」の調査が適正かどうか、格付けする有志のグループのメンバーです。会見では、さらに厳しい言葉が続きました。
「舛添さんは自分が助かるために、あるべき『第三者委員会』像を汚染し続けているようにみえる」 なぜ、そこまで厳しい見方をするのでしょうか。
まず問題にしたのが、調査費の出どころです。企業の場合は、たとえ疑惑を抱える会社がお金を出したとしても、それは株主や従業員など、いろんな人に権利がある「会社のお金」です。
一方、舛添さんは会見で「調査費は自費で出す」と説明しています。
「舛添さんの場合は、社長のポケットマネーと同じと思える。本来的な第三者委員会のお金の流れと違う」。会見に同席した同じグループの久保利英明弁護士もそう言って、「第三者」性に問題があるとしました。
さらに、久保利さんは舛添さんが「調査の妨げになる」として、依頼した弁護士が誰なのかを明かしていないことも問題視しました。「選んだのに言わないのは問題。信用力は皆無だと思います」
国広弁護士は「結果が出る前から信用できん。それはプロセスがダメだから」と厳しく言いました。
当の舛添さんもこの日、都庁で定例会見をしました。調査費を自らが支払うことについて「一般的に、弁護士に依頼する場合は依頼した方が支払う。そのことをもって公平でないというところまでは、申し上げられないのではないか」と主張しました。
また、調査結果が出るまでの見通しについて「一日も早くとお願いしている」としましたが、具体的な見通しは明かしませんでした。 しばらくは注目を集めそうです。
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