MENU CLOSE

話題

ゲバラが広島で発した「悲痛な言葉」 オバマ大統領は何を語る?

1959年に来日したゲバラは急きょ、日程を変更して広島を訪問した
1959年に来日したゲバラは急きょ、日程を変更して広島を訪問した

目次

 アメリカのオバマ大統領が5月27日、広島を訪問します。実は、これまでにもヒロシマを訪れた著名人はたくさんいます。キューバ革命の伝説的英雄、チェ・ゲバラは急きょ日程を変更して、広島へ足を伸ばし「悲痛な言葉」を残しました。原爆資料館で資料に見入ったマザー・テレサ。慰霊碑の碑文をかみしめた「レッド・ツェッペリン」のジミー・ペイジ……。被爆地で語られた言葉を集めました。

【PR】「あの時、学校でR-1飲んでたね」

冷戦崩壊後、あの「大物」指導者が

 アメリカと並ぶ核大国の指導者だった「大物」も、今から20年以上前、広島に来ています。旧ソ連の崩壊後、92年に夫婦で訪れたゴルバチョフ元大統領です。「ゴルビー」の愛称で知られる彼は、こんなメッセージを資料館に残しています。

【ゴルバチョフ元大統領】
「歳月がヒロシマの悲劇の痛みを和らげることはできませんでした」
「このことは決して繰り返してはなりません」
「私たちは原子爆弾の犠牲者のことを決して忘れてはなりません」
2016年5月12日:「世界からヒロシマ訪問、これまでどんな人が」:朝日新聞紙面から
資料館を見学したゴルバチョフ氏(左)は、子どもらと一緒に原爆の子の像に折りづるをささげた=92年4月
資料館を見学したゴルバチョフ氏(左)は、子どもらと一緒に原爆の子の像に折りづるをささげた=92年4月 出典: 朝日新聞

革命家は親子2世代で

 キューバ革命の伝説的英雄、チェ・ゲバラは半世紀以上も前に訪れていました。革命政権が成立した直後の1959年7月に来日し、池田勇人通産相(当時)と会見した後、予定になかった広島訪問を強く希望したといいます。

 1泊して慰霊碑に献花、資料館や原爆病院を訪れました。「君たちはアメリカにこんなひどい目に遭わされて、怒らないのか」と言い残したことが有名です。カメラ好きで知られ、本人が爆心地近くで撮影したモノクロ写真が見つかっています。

 広島行きを強行したのは、多数の人びとを一瞬で殺傷した原爆の残虐性に関心をもっていたからではないかといわれています。

 また、その足取りを追って、長女アレイダ・ゲバラさんも2008年に来日、広島で講演しました。ゲバラの死後、母親から「平和のために闘うためにはここを訪れるべきだ」と記した(広島訪問時の)絵はがきを見せられたそうです。

キューバ革命の英雄チェ・ゲバラの顔が壁に描かれたキューバの内務省のビル。夜はライトアップされる
キューバ革命の英雄チェ・ゲバラの顔が壁に描かれたキューバの内務省のビル。夜はライトアップされる 出典:ロイター
【チェ・ゲバラ】
「痛ましいのは原爆が投下されて14年たった今年も後遺症で多くの人が亡くなっていることだ」
「資料館では、胸が引き裂かれるような場面を見た」
(帰国後キューバの新聞に寄稿)
2006年8月1日:「革命家ゲバラが見たヒロシマ」:朝日新聞紙面から

 革命の同志、キューバのフィデル・カストロ国家評議会議長(当時)も2003年3月に広島を訪問。資料館で「このような野蛮な行為を決して犯すことのないように」と記帳しました。帰国後、このようなメッセージを広島市に届けました。

【カストロ議長】
「何百千万の人々があの地を訪れるべきだ。あそこで起こったことを人類が真に知るために」
「あの攻撃はまったく必要のないもので、モラル上も正当化できない」
「日本国民は一言も恨みを発しなかった。それどころかそのようなことが2度と起こらないよう平和を願う記念碑を建てた」
(帰国後に国会で演説)
2003年3月15日:「原爆投下、必要なかった」:朝日新聞紙面から
2008年にチェ・ゲバラのスライドを前に講演する娘のアレイダさん(左)、2003年に慰霊碑に献花するカストロ議長(右)
2008年にチェ・ゲバラのスライドを前に講演する娘のアレイダさん(左)、2003年に慰霊碑に献花するカストロ議長(右) 出典: 朝日新聞

法王やマザー・テレサ、ダライ・ラマも

 1945年8月6日午前8時15分。広島に落とされた原爆は、14万人もの命を一瞬で奪いました。ローマ法王のヨハネ・パウロ2世(81年)、ノーベル平和賞を受賞したマザー・テレサ(84年)、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世(95年)、世界的な宗教者やノーベル平和賞受賞者らも続々と訪れ、祈りを捧げてきました。

【ヨハネ・パウロ2世】
「過去を振り返ることは、将来に対する責任をになうことです」
「ヒロシマを考えることは、平和に対しての責任を取ることです」
2005年3月1日:「法王の言葉(平和公園365日)」:朝日新聞紙面から
原爆ドームを背に「核兵器廃絶」のアピールするローマ法王ヨハネ・パウロ二世=1981年2月25日
原爆ドームを背に「核兵器廃絶」のアピールするローマ法王ヨハネ・パウロ二世=1981年2月25日 出典: 朝日新聞
【マザー・テレサ】
「ヒロシマに多大な苦痛をもたらした恐るべき罪悪が二度と起こらないよう、神がわれわれ一人ひとりを愛するように互いに愛し合いましょう」
「愛と祈りの行為が平和の行為であることを忘れないようにしましょう」
1997年9月6日:「マザーテレサ死去」:朝日新聞紙面から
療養中の被爆者を見舞うマザー・テレサ=1984年11月
療養中の被爆者を見舞うマザー・テレサ=1984年11月 出典: 朝日新聞
【ダライ・ラマ14世】
「(平和記念資料館の印象について)本当におそろしい広島の模様をそこで見た」
「核兵器が、絶対的な権力を持っており、激情にかられ理性の入る余地のない人たちの手に入ったらどうなるのか」
「非武装化された世界を目指すべきだ。そのためには、私たちの世代がそのための考えをとりまとめなければならない」
2010年11月12日:「広島、ノーベル平和賞サミット開幕」:朝日新聞紙面から
原爆死没者慰霊碑の前を通ってスピーチに向かうダライ・ラマ14世=2010年11月
原爆死没者慰霊碑の前を通ってスピーチに向かうダライ・ラマ14世=2010年11月 出典: 朝日新聞

イギリスから「レッド・ツェッペリン」、米国の巨匠監督

 戦後70年という節目の夏に訪れたのが、英国の伝説的ロックバンド「レッド・ツェッペリン」のギタリスト、ジミー・ペイジさんです。平和記念公園で慰霊碑に献花しました。

 1971年、初来日の際にメンバーとともに広島を訪問。被爆の悲惨さを感じ、心に強く訴えかける体験だったといい、再び訪れたそうです。

平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に花束を手向けるジミー・ペイジさん=2015年7月
平和記念公園を訪れ、原爆死没者慰霊碑に花束を手向けるジミー・ペイジさん=2015年7月
出典:朝日新聞デジタル
【ジミー・ペイジ氏】
「戦後70年間、広島が被爆したことは全世界の人の心にあり続けた。平和を祈りたい」
「(「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」という碑文について)犠牲者の気持ちを思い、いまを生きる私たちが平和を守るということですね」
2015年7月31日:「ジミー・ペイジさん、被爆地訪問」:朝日新聞紙面から

 「プラトーン」「JFK」などの社会派映画で知られる巨匠オリバー・ストーン監督は2013年8月、原爆ドームや資料館を訪れました。

 見学後、「私自身、最初は原爆投下の正当性を信じていた。広島を忘れてはいけない。正しく記憶しておく必要がある」と語っています。インタビューでは、核廃絶を実現するために若い世代へメッセージを送りました。

資料館を歩くオリバー・ストーン監督。「破壊された風景のパノラマ写真は衝撃だった」と話した。
資料館を歩くオリバー・ストーン監督。「破壊された風景のパノラマ写真は衝撃だった」と話した。 出典: 朝日新聞
【オリバー・ストーン監督】
「いまここであの日の瞬間、爆風を感じている」
「瀕死(ひんし)の被爆者がさまよっていた。父と母の姿も見えた。川に浮き沈みする遺体も見えた」
「(米国の歴史を批判する)僕たちの主張は、米国の大手メディアは受け入れない。時々無力感を感じる」
「私の最大のメッセージは、真実を学んでほしいということ。若者に関心を高めてほしい」
「若い世代は、広島についてもっと学ぶべきだ。僕だって5、6年前まで広島の歴史を知らなかった」
2013年8月6日,7日:「オリバー・ストーン監督、広島入り」:朝日新聞紙面から

オバマ大統領、何を語るか

 オバマ大統領は伊勢志摩サミット閉幕後の5月27日、広島を訪問します。ただ、2009年に「核兵器のない世界」を訴えたプラハ演説のように、広場などで多くの聴衆を集めた大々的な演説は予定していないといいます。

 今回の訪問について、核廃絶を求める活動を続け、オバマ氏を支持してきた米俳優マイケル・ダグラスさん(71)は「彼が米国大統領として決断したことを幸せに感じている。(広島で)核廃絶について強い言葉を発することを望むし、そう期待している」と話しました。

 現職の米大統領としては史上初の被爆地訪問で、何を語り、どんなメッセージを発信するのか。世界の注目が集まります。

 オバマ米大統領の広島訪問について、米俳優マイケル・ダグラス氏(71)はスイス・ジュネーブでの記者会見で、「彼が米国大統領として決断したことを幸せに感じている。(広島で)核廃絶について強い言葉を発する…

 「核兵器のない世界をめざす」と唱えた米国のオバマ大統領が27日、広島を訪れる。原爆詩の朗読を30年続けてきた俳優の吉永小百合さんと、今月3日にカナダで開かれた吉永さんの朗読会でもピアノで伴奏した音楽…

 黒人初の米国大統領となったオバマ氏の人気は日本でも広がった。世界の注目を集めた就任式から7年4カ月。残りの任期が1年を切ったオバマ氏の広島訪問を「ゆかりの人たち」はどうみているのか。■「平和記念公園…

関連記事

PR記事

新着記事

CLOSE

Q 取材リクエストする

取材にご協力頂ける場合はメールアドレスをご記入ください
編集部からご連絡させていただくことがございます