話題
「段ボール甲冑」は文房具? 発売元のショウワノートに聞きました
ジャポニカ学習帳で知られる「ショウワノート」が、段ボールで戦国武将の甲冑を作るキット「着れちゃう!ダンボール」を販売しました。
話題
ジャポニカ学習帳で知られる「ショウワノート」が、段ボールで戦国武将の甲冑を作るキット「着れちゃう!ダンボール」を販売しました。
ジャポニカ学習帳で知られる「ショウワノート」(本社・富山県高岡市)。文房具メーカーであるこの会社が、段ボールで戦国武将の甲冑(かっちゅう)を作るキット「着れちゃう!ダンボール」を販売しました。昨年11月に子ども向けを販売したところ好評で、4月末には大人用もラインナップに加わりました。なぜ文房具メーカーが段ボール甲冑なのか? 担当者に話を聞きました。
「着れちゃう!ダンボール」は、工作を通じて歴史への親しみも育む「体験できる文具」として開発されたそうです。
のりやハサミは不要で、あらかじめ切れこみの入った段ボールパーツをくりぬき、折り畳んで組み合わせ、プラスチックのジョイントパーツでつなげれば完成します。
着色済みのため部屋を汚すこともなく、断面を凸凹にするウェーブカット処理で手が傷つきにくいように工夫されています。
子ども用と大人用があり、それぞれ真田幸村・伊達政宗のタイプがあります。希望小売価格は、子ども用2480円、大人用は2980円(いずれも税抜き)。文具店だけでなくAmazonなどでも販売しています。
「体験できる文具」とうたっていますが、段ボール甲冑は文具なのか? ショウワノートの開発担当者・梅森雄輝さんに話を聞きました。
――企画のきっかけは
「弊社は長年にわたり、ノート・下敷き・鉛筆といった一般的な子ども向け文房具を子どもたちに提供してきましたが、今後もそれだけをつくっていくだけでよいのか? もっと楽しく新しい文房具をつくりたい! という思いがきっかけです」
――文房具と甲冑の関係とは
「子ども向け文房具の定義を見つめ直すなかで、『子どもの学びや成長を助けるツール』という結論に至りました。学びや成長は、机の上に限定されたものでなく、むしろ体を動かし体験したことがそのきっかけになることがある、そう考えた時に『体験する文具』というのは面白いのではないかという案が出たんです」
「次に『体験』というキーワードについて考える中で、『子どものころ、自分の作った工作の服や鎧が着られたらいいのにな、と思ったことあるよね』という話が出ました。『これだ!』ということで、子どもでも簡単で安全、かつ完成度の高い、実際に着ることができる工作キットを作ることになりました」
――なぜ甲冑だったのでしょうか
「子どもが着たくなるようなカッコよさを考えた結果です。当初は西洋甲冑も想定していたのですが、子どもたちに何かしら学びのきっかけを見つけてもらい、かつ、多くの世代の方にも親しんでもらえればと考えて、戦国時代の甲冑にしました」
――企画する上で苦労した点や工夫した点は
「段ボール製なのでリアルに作るには限界があります。あえてカクカクとしたエッジを立てた造形にして、本来の甲冑なら金色の部分を段ボールの生地の色にするなど、素材ならではの質感、カッコよさを打ち出しました。しかし、あまりシンプルにしすぎると商品として陳腐に見えてしまう恐れもあり、陳腐に見えず、かつ戦国武将のイメージから離れないようにするのに相当苦労しました」
――大人用と子ども用の違いは
「大人用は子ども用に比べてパーツの分割が細かくなっています。組み立てにも時間が多くかかりますし、難しい箇所も存在していますが、その分だけ完成度は高いです」
――真田幸村と伊達政宗を選んだ理由は
「武将として認知度が高く、甲冑のデザインも特徴的であるため、パッと見てどの武将かがわかりやすいからです。また、武将や人間として面白いエピソードを多く持っていて、歴史の教科書には出てこない部分もあるので、学びがいもあると思います」
――大人用のターゲット層は
「子どもがいるお父さんやお母さん、それからコスプレ好きな大人の方、歴史好きな方を想定しています」
――先行して発売された子ども用への反応はどんなものがありましたか
「たいへん好評です。Instagramやツイッターでお子様の写真を掲載していただいたり、商品を飾っていただいているお店の写真をアップしていただいたり。想定外でしたが、いろいろな活用方法をたくさん見られて、商品企画としてとても嬉しいです」
――どう育てていきたいですか?
「『着れちゃう段ボール工作』というだけでなく、プラスアルファ何かを楽しめる、与えられるツールとして浸透できればと思います。甲冑はもちろん、いろいろなモデルができたら面白いなと考えています」
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