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天才ポールダンサー、重力を無視したスゴ技 11歳の新星、世界狙う
4mのポール2本を使い技の難易度や完成度を競いあう競技「ポールスポーツ」。2012年のロンドン五輪のエキシビジョンに選ばれるなど、五輪正式種目入りを目指す動きもでている今注目のスポーツです。そんな競技の3回目となる日本大会が2日、大阪市であり、71人が参加しました。各部門から基準点を超えた上位2人が、7月にロンドンで開かれる世界大会への切符を手にしました。
ポール・スポーツに魅了されているのは大人だけではありません。未来の五輪選手を目指し、キッズたちも奮闘しています。
大会のパンフレットにも選ばれたのが大阪市の小6、荒木志乃さん(11)。志乃さんがポールに出会ったのは4年前。自宅のすぐ近くにポールダンスを教えるスタジオができたことがきっかけでした。
母親の未央さん(37)は「最初は私もポールダンスは夜のセクシーなお姉さんのイメージがあったけど、キッズポールダンスって看板でてるし、ホームページ見ても大丈夫そうだなって。先生の教えた方を見てても体操教室みたいだったし」と振り返ります。
志乃さんはすぐにポールの魅力にはまり、週1回の練習を楽しみにするように。半年後にはショーデビュー。「何か自信がついたのでしょうね。前だったら、『どうせできひんから、やりひん』って言ってたのが強気になったように思う。前はガラスのハートだったのに、今は強化ガラスやわ」(未央さん)
ポールを始めて2年後には「クリスマスプレゼント」として家にポールが設置されました。その頃から、ますますポールへの熱が高まり、週1回のキッズクラスだけではなく、大人向けのクラスにも参加するようになりました。気づけば週5でポールと戯れる日々。めきめき上達していきました。
第1回のポール・スポーツ大会ではノービス(6~14歳)部門で7人中最下位だった志乃さん。指導する岡本雅世さん(33)は「よっぽど悔しかったんでしょうね。すぐに大会のDVDを買って、毎日のように見て研究していたそうです」。翌年の大会では、わずか3点差で3位。当時は3位までいけた世界大会への切符を惜しくも逃しました。志乃さんは「焦って演技が速くなってしまった。つま先も全然伸びてへんし。やらなきゃいけないことは多いなあと思った」と振り返ります。
一方で、ポール・スポーツはポールダンスから派生した競技であることもあり、選手の中にはダンス経験者が多く、髪の毛を染めたり、ピアスをあけたりするなど派手な格好をする女の子も目立ちます。
志乃さんもまわりの影響で「髪の毛を染めてみたいなー」と言ったことがあったそうです。
そんな時に未央さんが「あんたはまだ子どもやで。チャラチャラした格好したら、ポールやってるからって言われるんやで。スポーツとして確立させたくてやってんやろ、そこに水差すことになるってわかるやろ」と声をかけると「そうやな」とすぐに納得したそうです。
志乃さんは「高校生になったら髪を染めたいけど、まだ我慢。スポーツ選手だからね」と話しています。
今大会の結果は3位。今年から世界大会への条件が2位以上となったため、惜しくも世界大会へはいけませんでした。
志乃さんは「悔しい。前よりもっともっと練習する。明日から毎日練習する。そして、来年はロンドンにいきたい」とポールのようにまっすぐと1年後を見据えています。
将来の夢もぶれません。「夢はオリンピック選手。その後は、指導者になって子どもたちにポールを教えたい」。
志乃さん世代がポールスター(北極星)となって、ポール・スポーツの未来を輝かせる日が楽しみです。
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