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感動

夫婦の一生を5コマに凝縮 「30秒で泣ける」話題の漫画作者に聞く

ツイッターで公開されたショート漫画「男ってやつは」が話題になっています。

ショート漫画「男ってやつは」の一場面
ショート漫画「男ってやつは」の一場面 出典: 吉谷光平さん提供

目次

 ツイッターで公開された漫画「男ってやつは」が話題になっています。 あるカップルの一生を描きながら、妻の視点から見た夫の「あるある」を盛り込んだ2ページ5コマの短い漫画です。ネット上では「30秒で泣ける」「亡くなった祖父と祖母のことを思い出して感動した」といった声が上がっており、ツイッターの「いいね」は6万を超えています。「女ってやつは」の続編というこの作品について、作者に話を聞きました。

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ショート漫画「男ってやつは」
ショート漫画「男ってやつは」 出典: 吉谷光平さん提供

あるカップルの一生を描く


 「男ってやつは」は、ページにして2ページで全5コマの短い漫画です。すべてのコマが同じ食卓を同じ角度から描いたもので、コマが進むにつれて夫婦が年を重ねていきます。新婚時代から始まり、娘が生まれ、そして巣立って、また二人に。最後は夫に先立たれた妻の回想で終わります。

 ◇ ◇ ◇

 男ってやつは 自分勝手だ

 夫「君のごはん、いつも最高においしい!! 愛してるー!!!」
 妻「何よ、結婚記念日忘れてたくせに」

 ◇ ◇ ◇

 男ってやつは いつも自分勝手だ

 夫「明日、休みとれたし、ディズニーランドに行くぞー!!!」
 娘「やったー!」
 妻「はぁ~?突然すぎるわよ!!!」

 ◇ ◇ ◇

 男ってやつは とても自分勝手だ

 夫「また二人きりだね イチャイチャする?」
 妻「何言ってんのバカ!」

 ◇ ◇ ◇

 男ってやつは

 妻「『君より後に行く』っていったのに ほんと、あなたって勝手よね」


作者は25歳の新人漫画家


 作者は新人漫画家の吉谷光平さん(25)。漫画誌でいくつかの賞を得た後、月刊スピリッツの「サカナマン」でデビュー。今月からは月刊ヤングマガジンで「ナナメにナナミちゃん」の連載が始まります。

 こうした作品とは別に、定期的にツイッターに2ページ漫画を投稿していて、「男ってやつは」もその一つです。3月11日に投稿されるとジワジワ拡散し、リツイートは4万4千、いいねは6万1千を超えています。読んだ人たちからは以下のようなコメントが寄せられています。

 「勝手さの中に愛があって、だからこそ愛される」
 「長い間積み上げてきた時間を感じた」
 「亡くなった祖父と祖母のことを思い出して感動」
 「彼もいないのに~泣ける」
 「2ページで泣くなんて思わなかった」

「ナナメにナナミちゃん」の一場面
「ナナメにナナミちゃん」の一場面 出典: 吉谷光平さん提供

作者に聞きました


 吉谷さんは「男ってやつは」の1カ月ほど前に、「女ってやつは」という作品を発表していました。こちらは男性から見た女性の「あるある」を2ページで描いたもので、この作品が好評だったことを受けて、続編として「男ってやつは」を描いたそうです。作品に込めた思いについて、吉谷さんに話を聞きました。

 ――なぜ2ページ漫画なのでしょうか

 「かつて編集者の人から『漫画はラーメン屋で読む物だと思って描くべきだ』と言われたことがあります。一瞬でもつまんないと思われれば、読者はそこで読むのを止めてしまう。『ちゃんと読めば面白いじゃ0点だ』と。ネットでは長い漫画はあまり好まれないことや、漫画を描く息抜きとして描いていることもあり、2ページ漫画なんです」

 ――漫画を描く息抜きが漫画とは……

 「自分でも『どうなのよっ!』って思います。2ページ描くのは2時間ほどで、すべて描き下ろしです。1~2週間に1本をツイッターにアップしているんですが、キャラクターや世界観、絵柄については作り込みすぎると、ネット上では入り込みにくくなると思うので、そこは意識しています」

「金沢弁の女の子」
「金沢弁の女の子」 出典: 吉谷光平さん提供

ツイッターで公開する理由は


 ――雑誌に描きながら、ツイッターにも投稿する理由は

 「息抜きというのもありますが、一人でも多くの人に作品を知ってもらってファンを増やせたらという思いで描いています」

 ――「男ってやつは」への反響は

 「思っていた以上に多くの方から反応をいただいています。高校生をはじめとした学生が中心で、あまり漫画を読まない人たちが多いようなので、ありがたいです」

 ――込めたメッセージは

 「人生は『ご飯を食べる時』と『寝る時』以外は、手放しで喜べることってないと思います。人と人の関係だと嫌なことが9割で、いいことは1割もない。でもその1割があるから、なんだかんだ言っても楽しいってことです」

 ――工夫した点は

 「第三者的に繰り返し語られる『男ってやつは……』という悪口めいたセリフが、最後に妻のセリフに変わることで、それまでとはまったく違う意味になる点です。小説家は文章でしか、画家は絵でしか表現できませんが、漫画はこの両方を使えるところがいいんです」

 ――これからについては

 「『男ってやつは』をきっかけに私の漫画を読んでいただいた方が、これから連載が始まる『ナナメにナナミちゃん』を読んだらどう思うのかなってちょっと心配です。他の漫画のことも、ぜひよろしくお願いします」

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