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アスリート仕様ういろう 「需要ある?」それでも開発、老舗の意地
もちもち食感がクセになる名古屋名菓・ういろうの老舗「青柳総本家」が、「ういろう業界初」という商品を開発しました。ターゲットはずばり「アスリート」。
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もちもち食感がクセになる名古屋名菓・ういろうの老舗「青柳総本家」が、「ういろう業界初」という商品を開発しました。ターゲットはずばり「アスリート」。
もちもち食感がクセになる名古屋名菓・ういろうの老舗「青柳総本家」が、「ういろう業界初」という商品を開発しました。ターゲットはずばり「アスリート」。意外な組み合わせにも思えますが……? 誕生秘話を聞きました。
1879年創業の同社は、東海道新幹線での車内販売やテレビCMなどを通じて「ういろう=名古屋名物」イメージの拡大に大きな影響を与えた会社。ユニークな新商品開発のきっかけは、10年前にさかのぼります。
「トライアスロンの大会用にういろうが欲しい」。そんな注文を耳にした同社常務取締役の後藤知成さんは、「『スポーツシーンにういろうの需要があるのか』とその時初めて知りました」と振り返ります。
同社のういろうの主原料は米粉で、適度な水分もある。低脂質でおなかへの負担が少なく、携帯も便利――。「のどごしや腹持ちもいい。考えてみれば、スポーツとの親和性は非常に高い」。2012年からは名古屋ウィメンズマラソンの給水所でも商品を提供。用意した1万数千個が毎回全てなくなるなど、支持の高さも目の当たりにしてきました。
とはいえ、「専用商品を作る勇気はなかった」と後藤さん。ゼリーやバーなど一般的な補給食よりも日持ちせず、特殊用途ゆえ毎日安定して売れる見通しもない、などが理由です。
しかし、ついに決断を下しました。「喜んで食べてくださる方が大勢いる。売れる売れないは別に、専用商品を存在させること自体に価値があるのでは」
アミノ酸入り、グレープフルーツ風味……。試行錯誤の末たどり着いたのは、発汗で失った塩分の補給を助ける「塩」でした。通常の商品には含まれていない材料です。形状は薄型で、包装も開けやすく。パッケージデザインは同社のロゴマーク「柳に飛びつくカエル」がゴールテープを切る姿になっているなど、遊び心も加えました。
そもそもこのマークは、平安時代の名書家・小野道風が「カエルが何度も柳に飛びつく様子を見て努力の大切さを悟った」という逸話にちなんだもの。後藤さんは「企業としての姿勢だけでなく、アスリート精神にも共通すると感じた。『無事カエル』など、アスリートにとって縁起もいい」と語ります。
気になるお味は--? ラン好きで、各地の大会に参加する際はいつもういろうを食べているという社員・木下美幸さんに聞いてみました。
「ほんのり塩味が残り、お茶うけとしてもおすすめできる。それでいて、水なしでも食べられる! 苦しい時に『食べてもうひと踏ん張り!』とモチベーションになるような、スポーツをさらに楽しくしてくれるおいしさです!」。
ちなみに、和菓子とアスリートといえば「あずきバー」などで知られる井村屋(本社・津市)がすでに数年前に専用商品「スポーツようかん」を開発。トップ選手らからも高い支持を集めています。
企画した後藤さんが「栄養強化を優先するあまりにういろう本来の味が落ちては意味が無い」と言い切る自信作「青柳ういろうforアスリート」は、「塩しろ」「塩さくら」の各2枚入りで380円(税別)。3月11日から大須本店、エスカ直営店などで1週間程度販売し、14日からはオンラインショップで通年購入できます。
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