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2016年02月07日

「ズッコケ三人組」どんなにネタに困っても、原爆を扱わなかった理由

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自らがモデルという「ハカセ」のモニュメントに手をかける作者の那須正幹さん=2009年4月11日、広島市西区のJR西広島駅前で

自らがモデルという「ハカセ」のモニュメントに手をかける作者の那須正幹さん=2009年4月11日、広島市西区のJR西広島駅前で

 1978年に始まり2015年12月に完結した「ズッコケ三人組」シリーズ。作者の那須正幹(なす・まさもと)さんは、広島市出身で被爆もしています。しかし、作品で戦争や原爆を扱うことはしませんでした。「三人組は平和だからこそ、のびのび自由に活躍できる」。そこには、三人組に託した那須さんのメッセージがありました。

累計2500万部の大ヒット児童文学

 「ズッコケ三人組」は全61巻、累計2500万部の大ヒット児童文学です。元気いっぱいだけどおっちょこちょいの「ハチベエ」、物知りなのにテストは苦手な「ハカセ」、体が大きく動作がスローモーな「モーちゃん」の小学6年生三人組が、探検や事件解決に活躍します。

 2005年から『中年三人組』シリーズが始まり、2015年12月に出た『ズッコケ熟年三人組』で完結しました。

「ズッコケ中年三人組」(ポプラ社)

「ズッコケ中年三人組」(ポプラ社)

全61巻、累計2500万部の大ヒット児童文学。元気いっぱいだけどおっちょこちょいの「ハチベエ」、物知りなのにテストは苦手な「ハカセ」、体が大きく動作がスローモーな「モーちゃん」の小学6年生三人組が、短所を補い合って、探検や事件解決に活躍する。2005年から『中年三人組』シリーズが始まり、昨年12月に出た『ズッコケ熟年三人組』で完結した。

出典:(時代のしるし)三人組の活躍、平和だからこそ 那須正幹さん「ズッコケ三人組」シリーズ

3歳の時に被爆

 作者の那須正幹さんは、1942年、広島市に生まれました。爆心から3キロほど離れていた自宅で被爆しました。那須さんは3歳でした。

 「8月6日の夕方、爆心地の方角から、リヤカーに缶詰を満載した男の人が家の前を通りかかり、母に水を飲ませてくれるよう頼んできました。彼は『お礼に』とミカンの缶詰を置いていったのですが、それがやけどしそうなほど熱かったのを覚えています」

 「後から考えれば、その人は火事場泥棒だったのだと思います。人間のたくましさと言ったらいいのかわかりませんが、生きることはきれいごとばかりではありません。そんな体験が人生の原点にあるからか、人に対して「まあ、ええわ」が私の口癖になりました」

那須正幹さん

那須正幹さん

出典: 朝日新聞

広島の家は爆心から3キロほど離れとった。お袋と3歳の僕は縁側の端っこの戸袋の陰におったから、熱線を直接浴びんかった。近くでしゃがんでいた近所のおばちゃんは日傘が焼け、大やけどを負ったと後で聞きました。

出典: 2014年11月29日:(核といのちを考える 被爆国から2014秋:5)那須正幹さん:朝日新聞紙面から

私自身は3歳の時、自宅で被爆しています。縁側の戸袋の陰にいて、大きなけがはありませんでした。8月6日の夕方、爆心地の方角から、リヤカーに缶詰を満載した男の人が家の前を通りかかり、母に水を飲ませてくれるよう頼んできました。彼は「お礼に」とミカンの缶詰を置いていったのですが、それがやけどしそうなほど熱かったのを覚えています。

出典:(時代のしるし)三人組の活躍、平和だからこそ 那須正幹さん「ズッコケ三人組」シリーズ

後から考えれば、その人は火事場泥棒だったのだと思います。人間のたくましさと言ったらいいのかわかりませんが、生きることはきれいごとばかりではありません。そんな体験が人生の原点にあるからか、人に対して「まあ、ええわ」が私の口癖になりました。

出典:(時代のしるし)三人組の活躍、平和だからこそ 那須正幹さん「ズッコケ三人組」シリーズ

「がんばることを強制されないのが民主主義」

 「ズッコケ三人組」の舞台、ミドリ市は、広島市がモデルです。しかし、那須さんは「30巻を過ぎて題材に困った時も、戦争や原爆は扱いませんでした」と語っています。

 「三人組は平和だからこそ、のびのび自由に活躍できる。生みの親としては、戦争とは無縁でいさせてやりたかったのです」

 1985年に書いた『花のズッコケ児童会長』。「たくましい花山っ子を育てよう」というスローガンを掲げて児童会長に立候補した優等生に対抗して、三人組も立候補します。

 「その優等生が、がんばれない弱い子に我慢ができず、いじめてしまう性格だと知ったからです」

 三人組に込めた思いについて、那須さんは次のように語っています。

 「がんばりたくてもがんばれない子が、がんばることを強制されないのが民主主義。戦争の記憶が残る広島で、戦後の民主的教育を受けて育った私が三人組に託したメッセージです」

那須正幹さん

那須正幹さん

出典: 朝日新聞

舞台のミドリ市は、故郷の広島市がモデルです。30巻を過ぎて題材に困った時も、戦争や原爆は扱いませんでした。三人組は平和だからこそ、のびのび自由に活躍できる。生みの親としては、戦争とは無縁でいさせてやりたかったのです。

出典:(時代のしるし)三人組の活躍、平和だからこそ 那須正幹さん「ズッコケ三人組」シリーズ

『花のズッコケ児童会長』(85年)では、「たくましい花山っ子を育てよう」というスローガンを掲げた優等生に対抗して、三人組が児童会長選に挑みます。その優等生が、がんばれない弱い子に我慢ができず、いじめてしまう性格だと知ったからです。

出典:(時代のしるし)三人組の活躍、平和だからこそ 那須正幹さん「ズッコケ三人組」シリーズ

がんばりたくてもがんばれない子が、がんばることを強制されないのが民主主義。戦争の記憶が残る広島で、戦後の民主的教育を受けて育った私が三人組に託したメッセージです。

出典:(時代のしるし)三人組の活躍、平和だからこそ 那須正幹さん「ズッコケ三人組」シリーズ

「86を次世代に伝える」 広島のテレビ局がラテ欄に込めた思い
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広島県内版2015年8月6日付朝刊のラテ欄、RCCの番組表(右)と、背番号「86」のユニホームを着た広島の前田投手
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