お金と仕事
「平家パイ」、実は源氏パイの姉妹品! 大河ドラマ機に改名した過去
ツイッターで定期的に話題になる「源平合戦」「壇ノ浦の戦い」と称される画像があります。歴史物語ではなく、スーパーのお菓子売り場の光景です
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ツイッターで定期的に話題になる「源平合戦」「壇ノ浦の戦い」と称される画像があります。歴史物語ではなく、スーパーのお菓子売り場の光景です
ツイッターで定期的に話題になる「源平合戦」「壇ノ浦の戦い」と称される画像があります。歴史物語ではなく、スーパーのお菓子売り場の光景です。並んでいるのは「源氏パイ」と「平家パイ」。源氏パイといえば1965年から販売されているロングセラーですが、平家パイとは? よその会社の便乗商品かと思いきや、実は同じ三立製菓(静岡県浜松市)が製造していました。三立製菓に詳しく聞くと、どちらの商品も名前の由来は、NHKの大河ドラマだということがわかりました。
源氏パイは、ヨーロッパで「パルミエ」と呼ばれるハート形のパイがもとになっています。三立製菓の開発者がヨーロッパを訪れ、「このようなおいしいパイを作って日本の家庭でも食べてもらいたい」と開発が始まり、1965年に発売。当時は形が整わず商品にならないものも多かったそうですが、改良を重ねたことで、現在ではきれいなハート形になっています。
対する平家パイが発売されたのは2012年。幾層にも折り重ねたパイ生地に洋酒漬けしたレーズンをトッピングして焼きあげています。芳醇(ほうじゅん)なレーズンの味わいが楽しめるふんわりソフトな点が、源氏パイとは対照的です。企画担当者が、新人のころに「源氏パイがあるなら、平家パイがあってもいいのでは」と思いついたアイデアが、十数年後に形になったそうです。
比較的歴史が新しい平家パイですが、実は「ある商品」を改名したものなのです。その商品は1993年発売の「レーズンパイ」。変わったのは商品名とパッケージデザインで、中身そのものは基本的に同じです。
歴史的には源氏に滅ぼされたとされる平家ですが、あえてその平家の名を冠した商品を売り出した狙いは何だったのか? 三立製菓の企画開発部の担当者に話を聞きました。
――なぜ改名して平家パイとしたのでしょうか?
「もともとお客様からも『平家パイは無いのですか?』というお問い合わせをちょうだいすることがあり、ネットでも同様の声が複数ありました。そんななか、2012年のNHK大河ドラマが『平清盛』に決まったことを受けて、発売が決まりました」
――大河ドラマがきっかけなんですね
「実は源氏パイもそうなんです。発売当時、日本では洋風パイの認知度は低かったため、商品名には和名を検討していました。そのような中、発売翌年の大河ドラマが『源義経』に決まったことを知り、人気番組同様に多くの皆様に愛される商品になるようにと『源氏パイ』と命名したんです」
――平家パイには平家らしさをイメージさせる部分はありますか
「お菓子の形を『源氏の放った矢を受ける平らな盾』と見立てており、飾りのレーズンは矢を受けた跡をイメージしています。パッケージについても、赤と白を基調とした源氏パイと並べても見栄えのするパッケージになるよう考えて、栄華を極めた平家を思い描き、高貴色である紫色をメインカラーに採用しています」
――両商品の売り上げは
「まだまだ源氏パイの方が多い状況です。平家パイは、源氏パイの3~4割ほどです」
――今後の両商品の展開は
「源氏パイは、おかげさまで昨年発売50周年を迎えました。今後も皆様に愛され続ける商品であるよう、努力してまいります。また、平家パイも源氏パイに近づけるよう、同様にご愛顧いただけるよう育てていきたいと考えています。過去に『平成の源平合戦キャンペーン』と題したキャンペーンを実施しました。今後もこうした企画などでお客様に平家パイを知っていいただく機会を増やしていきたいと考えています」
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