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お金と仕事

「チェキ」V字回復!年間500万台突破へ 5年で5倍に、9割海外

撮った写真がすぐにプリントされる富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ」。その人気が「V字回復」しています

新たに発売された“チェキ”「instax mini 70」
新たに発売された“チェキ”「instax mini 70」 出典: 富士フイルム提供

目次

 撮った写真がすぐにプリントされる富士フイルムのインスタントカメラ「チェキ」。その人気が「V字回復」しています。1998年に発売され、2002年度には国内だけで約100万台が売れるヒット商品になりましたが、カメラつき携帯電話の普及などで2004年度には10万台に。その後、韓国や中国で人気になり、今年度は当初目標を上回る500万台を見込んでいます。9月末には11億円をかけて生産能力を増強すると発表しました。復活の理由を聞きました。

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instax mini 10(初代チェキ)
instax mini 10(初代チェキ) 出典: 富士フイルム提供

2002年度が第1次ブーム


 1998年に発売されたチェキ。「その場で現像される」「簡単に複製できない」といった点から、結婚式の2次会やアイドルイベントなどの定番として利用されてきました。

 2002年度には国内だけで約100万台を販売しましたが、現像が不要なデジカメの普及や、携帯電話でも写真が撮れるようになり販売数は減少。

 再ブレイクのきっかけは、2007年に韓国の恋愛ドラマで偶然使われたことでした。これに合わせて他の韓国ドラマにも売り込み、人気モデルにブログで発信してもらうなどして「ファッショナブル」「かわいい」といったイメージを前面に出し、東アジアを中心にシェアを伸ばしてきました。

チェキの販売台数の推移。縦軸は販売台数(単位は万台)、横軸は年度(2015年度の台数は見込み)
チェキの販売台数の推移。縦軸は販売台数(単位は万台)、横軸は年度(2015年度の台数は見込み)


【instaxカメラ販売推移(国内+海外)】
1998年 20万台
1999年 60万台
2000年 80万台
2001年 90万台
2002年 100万台
2003年 40万台
2004年 10万台
2005年 10万台
2006年 12万台
2007年 20万台
2008年 25万台
2009年 49万台
2010年 87万台
2011年 127万台
2012年 160万台
2013年 230万台
2014年 387万台

富士フイルムの新商品発表会。ハローキティの顔の形をした新機種などを売り出し、購買層の拡大を狙う
富士フイルムの新商品発表会。ハローキティの顔の形をした新機種などを売り出し、購買層の拡大を狙う 出典: 朝日新聞

海外での販売が9割


 それまで国内中心でしたが、海外の営業体制にも注力。今では販売台数の9割は海外が占めるまでになりました。10代、20代の若い世代にターゲットを絞り、カメラ専門店だけでなく、若い女性が立ち寄る雑貨店などに置いてもらうなどして販路を拡大しました。

 最近ではアジアだけでなく、欧州や北米での展開も本格化。好調を受けて、当初は460万台としていた今年度の販売目標を500万台に上方修正し、あわせて生産設備の増強も発表しました。

 デジタル時代に再びヒットした理由は? 富士フイルムのコーポレートコミュニケーション部の担当者はこう分析します。

 「チェキの魅力は、その場ですぐにリアルなプリントが得られること、柔らかで雰囲気のある写真が得られること、プリントがカードサイズであることなどです。デジタルネイティブ世代である10~30歳代の若い女性のライフスタイルに溶け込んで、デジタルとは異なる『現物感』のあるコミュニケーションが、新鮮に受け入れられていると考えています」

スマホで撮影した写真をチェキ用のインスタントフィルムで現像できるポータブルプリンター「スマホdeチェキ」
スマホで撮影した写真をチェキ用のインスタントフィルムで現像できるポータブルプリンター「スマホdeチェキ」 出典: 富士フイルム提供

競合商品は?


 ラインナップも拡充しています。カワイイを前面に出した10代に人気の「instax mini 8+」、大人向けのクラシックな雰囲気の「instax mini 90」、その中間である、20~30代の男女の日常使いをイメージした「instax mini 70」など、ターゲット層を次第に広げつつあります。

 加えて、スマホで撮影した写真をチェキ用のインスタントフィルムで現像できるポータブルプリンター「スマホdeチェキ」も発売するなど、関連商品も強化しています。

 復活の背景には、企業努力や品ぞろえだけでなく、類似の競合商品がほとんどない点も挙げられます。

 チェキに使われている現像技術やカメラの機構部分、消耗品のいずれも自社製。カメラ内部のローラーで現像液を均一に押し当てて、ムラなく現像する技術は他社ではマネできないそうです。

 「今後もお客様のニーズに対応した新しい製品を導入するとともに、使い方のアイデアやチェキのあるライフスタイルを提案し、楽しさを広げていきます」と担当者は話します。

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