IT・科学
侮れない…地方「ユーチューバー」 癖になるユルさと人間味
静岡県焼津市から積極的に配信するユーチューバーたちがいる。投稿動画は2千本超。「やいづTV」は日常会話が続くユルい内容で、配信を続けている。
IT・科学
静岡県焼津市から積極的に配信するユーチューバーたちがいる。投稿動画は2千本超。「やいづTV」は日常会話が続くユルい内容で、配信を続けている。
投稿した動画は2千本超。カツオ水揚げ量日本一で知られる地方都市、静岡県焼津市から積極的に配信するユーチューバーたちがいる。番組のパーソナリティーは元高校教師に保険外交員、化粧品店主、焼き肉店員、カイロプラクティック院長など。生放送番組「やいづTV」は日常会話が続くユルい内容で毎週、配信を続けている。
JR焼津駅近くの小さなパソコン教室がスタジオだ。レフ板は手作り、背景にはイベントなどで使うのぼり旗が所狭しと並ぶ。マイクスタンドなど備品は毎月の活動費の中から一つずつ買いそろえていった。
そんなパソコン教室に、毎週月曜夕方になると、次々に人が訪れ、「やいづTV」が始まる。1番組30分で、1日で10番組。多くは各番組のパーソナリティーが知り合いをゲストとして招き、日常会話のようにインタビューする内容だ。5千回近く再生された番組もある。ほかのユーチューバーも訪れ、紹介してくれるなど知名度も徐々に上がっているという。
パーソナリティーの一人、テクノミュージシャンのJIMMY(44)は元高校教師。知り合いのミュージシャンを招き、音楽談義をし、生演奏をしてもらうことも多い。「自由に開放されたかった」と20年勤めた教職を2年前に辞め、ミュージシャンとして活動している。やいづTVについて「大人が集まる放課後の部室」と表現する。集まった人たちが思い思いに話し、のんびり過ごすところが好きなのだという。
隣の藤枝市から通うパーソナリティーのキャンディ(36)は保険外交員。ゲストの知人を招いては、生年月日で、動物キャラクターに個人を当てはめる「個性心理学」を披露する。「普段の生活では出会えない人が集まる。この場所を大切にしたい」と話す。
パソコン教室経営の青木靖宜さん(55)が総合プロデューサーだ。番組ゲストや配信を見に来た人の中から、次の番組パーソナリティーを発掘する。「話し方は慣れていないかもしれない。でも、プロが話すよりも人間味があり、魅力的な人ばかり」と話す。
やいづTVの始まりは2011年。韓国語教室の仲間と行ったカラオケの様子を配信すると、生徒が10人から25人に急増した。「動画の将来性を感じた」という青木さんは地域の人たちを出演させ、動画を使った活動を広げることにした。
出資して活動を支援してくれる「プレミアム会員」には、月1回、店や商品を取材してPR動画を作るサービスを提供し、ビジネスとしての可能性も探っている。一方で、動画技術を生かして地元に残る方言などの保存活動もしている。
「ただ来てしゃべるだけ。でも、そこに魅力があり、街おこしやビジネスチャンスにつながるヒントがあるのではないか」と青木さん。体力の続く限り配信を続けていくつもりだ。
1/19枚