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ラグビーNZの「ハカ」、京都でも! 伝説ドラマのモデル高校が実践
ラグビー世界ランキング1位の「オールブラックス」ことニュージーランド代表が試合前に行う名物の「ハカ」。日本でも京都市立伏見工高校が採り入れています。試合のスタンドからハカを踊り、選手を鼓舞する姿は伏見工高校の文化になっています。
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ラグビー世界ランキング1位の「オールブラックス」ことニュージーランド代表が試合前に行う名物の「ハカ」。日本でも京都市立伏見工高校が採り入れています。試合のスタンドからハカを踊り、選手を鼓舞する姿は伏見工高校の文化になっています。
日本代表の活躍に、日本中が熱狂したラグビーの第8回ワールドカップ(W杯)イングランド大会。日本時間で1日午前1時(現地時間31日午後4時)に控えた決勝戦は、世界ランキング1位の「オールブラックス」ことニュージーランド(NZ)代表と、同2位の豪州代表が激突します。NZ代表と言えば、試合前に行う「ハカ」が、とっても有名。NZの先住民族「マオリ族」伝統の儀式のハカ、日本でも採り入れている学校があること、ご存じでしたか?
1980年代の人気テレビドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルとしても有名な京都市立伏見工高校は、ハカを実践しているチームの一つです。同校ラグビー部は、1960年の創部。全国高校大会では4回の優勝を誇り、今回のW杯で活躍したスクラムハーフの田中史朗選手が輩出するなど、ラグビーの名門校です。
同部がハカを始めたきっかけは、創部40周年を迎えた2000年夏、交流を持つNZのアラヌイ高校を伏見工の生徒たちが訪ねた時のこと。ハカは、敵を威嚇して己を鼓舞する「ウォークライ(War Cry)」と呼ばれるパフォーマンスの一つで、試合のキックオフ直前に披露されます。同じオセアニア地域のフィジー代表は「シンビ」、サモア代表は「シヴァ・タウ」と呼ばれる独自のウォークライを持ち、試合前にはパフォーマンス合戦の様相を呈することもあります。NZでは各校が独自のハカを習得していて、伏見工はアラヌイ高校のハカを身につけました。
伏見工のハカは「ハカリーダー」と呼ばれる生徒を中心にして、上半身裸で踊りを披露します。マオリの言葉を叫びながら、地面を力強く踏み、己の肉体をたたいて鼓舞します。
1年生の部員たちは毎年10月ごろ、約1週間かけてハカを習得。公式戦はもちろんのこと、新人歓迎会や送別会などでハカを披露しています。NZ代表のハカは選手たちがグラウンドで舞いますが、高校の公式戦では部員たちがスタンドで踊ります。ラグビー部の高崎利明GM(53)は「寒い日も雨の日も、スタンドの集団が鼓舞する姿に選手たちは集中力が高まる。ハカはマオリの文化だが、伏見工の文化にもなっている」と話します。
学内のクラブ紹介で、ハカを披露する伏見工高校のラグビー部員
Posted by 高崎 利明 on 2015年4月13日
メンバー入りしていない部員約70人を統率するハカリーダーを務めるのは、2年の笠谷良輝さん(17)。元々野球少年でしたが、中学2年の時に授業で見た「スクール☆ウォーズ」に心打たれ、伏見工でラグビーをすることを決めました。声の大きさや地面を踏む力強さが認められ、今月にリーダーに任命されました。「初めて見た時は鳥肌が立った。伏見工の伝統を受け継ぐことができてうれしい」と話します。
昨年からは、近くの桃山中学校の生徒にも伝授し、体育祭などで披露されています。現在、全国では他にも数校がそれぞれのウォークライを採り入れています。
ラグビーの全国高校大会京都府予選は、1日に準々決勝を迎えます。伏見工は勝ち進めば、準決勝、もしくは決勝からハカを披露するとのこと。笠谷君は「選手たちが最高の力を引き出せるよう、自分たちも最大限のパフォーマンスをする」と闘志を燃やしています。
話は戻って、NZ代表のハカ。2回目の優勝を果たした前回11年W杯決勝では、ハカを披露するNZ代表に対し、相手のフランスの選手たちが肩を組んでセンターライン近くまで前進して対抗しました。過去には、パフォーマンス後に高揚した2チームの選手たちがしばらくその場を離れず、にらみ合いになることもありました。
ハカの一挙手一投足に会場からは地鳴りのような歓声が。会場のボルテージは、もちろん最高潮。その様子は、テレビ越しでも十分伝わってきます。
果たして今回、W杯連覇を狙うNZ代表のハカを、豪州代表はどのように受け止めるのか。W杯の決勝戦は、来たる31日午後4時(日本時間1日午前1時)。試合の中身はもちろん、ハカにも要注目。きっと、試合が2倍面白くなりますよ。
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