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お金と仕事

なぜ今、大人用ランドセル? 価格10万円、らしさ残した工夫とは

1965年から作り続けている老舗「土屋鞄製造所」が、大人向けを発売すると発表し、話題になっています

これが大人用ランドセル
これが大人用ランドセル 出典: 土屋鞄製造所提供

目次

 近年、海外でも注目を集めているランドセル。1965年から作り続けている老舗「土屋鞄(かばん)製造所」(本社:東京都)が、大人向けを発売すると発表し、話題になっています。牛の本革を使って職人が手作りしたもので、価格は税込み10万円。背負えるおしゃれな仕事鞄として新市場の開拓を目指しますが、なぜ今、大人用ランドセルなのでしょうか? その狙いやこだわりについて聞きました。

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ランドセルの機能美とは


 11月3日から受け付けを開始する「OTONA RANDSEL」。ハリのあるヌメ革を使用したハードタイプと、柔らかなオイルレザーのソフトタイプの2種類があります。

 50年にわたるランドセル作りの技術やノウハウを生かし、機能性を残しつつ、大人が使うにふさわしいシルエットを追求したという商品。ランドセルの機能美として以下の3点を挙げています。

 【1】箱型で荷物や書類を美しく運べる収納力
 【2】負担を感じない背負い心地の良さ
 【3】手を塞がない便利さ

なんだか、様になってます
なんだか、様になってます 出典: 土屋鞄製造所提供

担当者に聞きました


 なぜ今、大人用ランドセルなのか? 製造するにあたって苦労した点や工夫した点は? 土屋鞄製造所の担当者に詳しく聞きました。

 ――大人用にランドセルをつくろうと思ったきっかけを教えて下さい

 「今年創業50年を迎えるにあたり、これまでのものづくりの想いや技術を継承しながら、新しいことへ挑戦していきたい、という思いからです」

 ――なぜランドセルだったのでしょうか

 「ランドセルは、日本の職人の手により進化してきた機能美の優れた鞄です。子どもだけではなく、より多くの方々にお届けしたいと考えました。子どものランドセルのように、毎日を共にするものとしてふさわしい鞄を目指しました」

ランドセルっぽさは、ちゃんと残っている
ランドセルっぽさは、ちゃんと残っている 出典: 土屋鞄製造所提供

何を残し、何を大人仕様にするか


 ――ランドセルらしさを伝えるために工夫した点を教えて下さい

 「背負い心地や、その形です。子どもの背中に優しい背負い心地は、大人にとっても快適です。背中と肩ベルトのつくりは、ランドセルのつくりを応用しています。また、ランドセルの箱型は、書類を美しく運べる仕事鞄にもふさわしい形で、底板があることで安定感もあります。ひと目みて『ランドセルらしい』と感じていただくため、あえて大きなフタも残しました」

 ――製品化するにあたって難しかった点は

 「何を残し、何を大人仕様にするのか? 子ども用のランドセルを大人が使う鞄としてどう変化させるか? という点が難しいところでした。機能が優れていると言っても、やはりランドセルは子どものもの。大人が背負うと、見た目やサイズ、使い勝手に違和感が出てしまいます。違和感を取り払えば払うほど、ランドセルらしさは消えてしまうため、試作を繰り返しました」

 ――その結論は

 「ランドセルの機能美を活かし、大人の使用シーンを考察した上で、仕事鞄として使いやすい仕様・デザインを考え、現状の形になりました。『長く使えるよう丈夫でシンプル、そして品格を感じる鞄』を踏襲しつつ、極力無駄を省いたスマートなシルエットです。革の特性に合わせた細部のつくりなど、丈夫で美しく仕上げることにこだわりました」

なんだか格好良く見えます
なんだか格好良く見えます 出典: 土屋鞄製造所提供

子ども用との違いや共通点


 ――技術的に難しい点は

 「直角のデザインは、丸みが無いのでミシンがかけにくく、縫製がとても難しいんです。箱型で背負い型の鞄はつくりが複雑でパーツ数が多く、その分工程数も多くなります。ランドセルと同じように、芯材や補強テープなど、見えないところで丈夫さを確保するための工夫がしてあります」

 ――子ども用と異なっている点は

 「仕上げの美しさに手間がかかっています。例えばコバ(革端の切り口の部分)。切り目が美しく見えるように、革が重なったコバ面にムラが出ないよう丁寧に仕上げていきます。逆に、共通している部分は、背中に使っている素材(ソフト牛革)や中のクッション、肩ベルトのつくりやパーツなどです」

「相棒のように使って」


 ――商品への反応は

 「いつから店頭で実物を見られますか? といったお問い合わせが多いです。わたしたちにとっても挑戦的な商品であり、まだ発売前なので、どうなるのかな? とドキドキしているのが正直なところです。実物をご覧いただき、つくりの細かさやこだわりの部分を感じていただきたいです」

 ――購入を検討している人へひと言

 「使い込むほど味わいが増していくのが、革鞄を使う上での楽しみの1つだと思います。愛着を持って相棒のように使っていただけたら嬉しいです」

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