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2015年10月18日

「グーグルグラス、値段でミスしたが…」責任者が語る失敗の生かし方

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「グーグルグラスは、人々に『完成品』でないことを伝える必要があった」と語る「Google X」統括責任者のアストロ・テラー氏

「グーグルグラスは、人々に『完成品』でないことを伝える必要があった」と語る「Google X」統括責任者のアストロ・テラー氏

 グーグルの研究開発部門「グーグルX(Google X)」は、これまで自動運転技術など先進的な製品を生み出してきました。世界中が大きな期待を抱いた「グーグルグラス」もその一つ。来日した「Google X」統括責任者のアストロ・テラー氏は「人々に『完成品』でないことを伝える必要があった」と反省点を率直に認めました。それでも「私たちは勝ちたい」というテラー氏。失敗をむしろほめるという「Google X」の「シークレットソース」について聞きました。


「『完成品』であるシグナルを送ってしまった」

──開発を主導したグーグル・グラスは、開発者向けの販売を1月に中止しました

 たぶんもっといい仕事ができたと思います。私は失敗を語ることを恐れません。人々に「完成品」でないことを伝える必要がありました。しかし、例えば1500ドルの値段設定は、やはり人々に「完成品」であるシグナルを送ってしまった。結局、ぜいたく品というイメージを人々に植え付けてしまった。

 ぜいたく品というシグナルを送ったことで、人々は失望感を覚え、約束された製品をもらえなかったと思ってしまった。そのような信号を送ってはいけなかったのです。

 グーグル・グラスは死んでいません。そのチームは卒業しただけです。現在トニー・ファデル(Tony Fadell)が担当していて、また違う結果が出るかもしれません。私たちの失敗をからかう人もいるが、彼らが知らないことは、私たちは「学習」ということを追求していることです。

 私たちは勝ちたい。次はもっと考えなければなりません。

グーグルのメガネ型端末「グーグルグラス」

グーグルのメガネ型端末「グーグルグラス」

出典: 朝日新聞

素早く悪いアイデアを捨てること

──「Google X」というチームで大事にしていることは?

 基本的には私の、あなたの、彼らの、アイデアはほとんど間違いです。実際には次、何をすればいいのか、誰にも分かりません。現時点の正しい答えは、誰も分からないのです。たとえばスティーブ・ジョブズは全てを知っていたでしょうか? 彼ほど素晴らしい人でも、全ての正しい答えを知っていたとは思えません。

 われわれにできることは、あらゆるアイデアをテーブルに出し合って、素早く悪いアイデアを捨てることです。

「たとえばスティーブ・ジョブズは全てを知っていたでしょうか?」。失敗を重ねる大切さを強調するアストロ・テラー氏

「たとえばスティーブ・ジョブズは全てを知っていたでしょうか?」。失敗を重ねる大切さを強調するアストロ・テラー氏

否定する理由をちゃんと述べる

──悪いアイデアを切り捨てる方法とは?

 例えばある人が、北極に銅のリングを設置して、北極圏に近い国、例えばスウェーデンや、フィンランドなどへ給電するアイデアを発表したとします。最初に「まず、ご提案ありがとう! とてもユニークなアイデアです」と受け止め、なぜうまくいかないかを考えます。

 ほかのメンバーが、それを否定する理由をちゃんと述べるなら、その時点で「創発(creating)」が出てきます。これが、私たちの「シークレットソース」なのです。

 実はこれ、実話です。私たちは1時間をかけて議論しました。具体的にコストを試算した結果、1度の電力のコストは火力発電の10倍から20倍になるとわかりました。それでも、最終的に誰も嫌な気分にならなかった。これも重要なポイントです。

グリーンランド西部のイルリサット氷河=2006年5月

グリーンランド西部のイルリサット氷河=2006年5月

出典: 朝日新聞

「移動を変える」自動運転

──自動運転の技術は人々に何をもたらしますか?

 自動運転の目的は、移動を変えることです。人々がより簡単に、より安全に移動できることを願っています。つまり、年寄り、疲れた人、酔っ払い、子ども…これまで運転ができない人たちの手助けになるのです。自動車の数や運転のスピードが今のままでも、人工知能のおかげで、車は人々のニーズに対応し、渋滞を減らすことができる。

 そしてカーシェアもできます。カーシェアをすれば、駐車場がさらに少なくてすみます。

ハンドルもペダルもついていないグーグルの自動運転車の試作車

ハンドルもペダルもついていないグーグルの自動運転車の試作車

五輪でロボットコンテストを

──2020年に東京五輪が開かれます。五輪と聞いて、ひらめくアイデアはありますか?

 同時通訳のコンテストを開催し、最も完成度の高い通訳を競わせる。これこそテクノロジーの本当のショーケースになります。

 セキュリティーチェック、地図案内、遺失物取扱所、ストリーム映像などに力を入れ、そしてパッケージ化させれば、次のオリンピックを開く都市に売れるでしょう。日本はオリンピック開催後でも配当金をもらえる初めての国になるかもしれません。

 そして、ロボットコンテストを開催するべきです。賞金総額は1千万ドル。オリンピック全体の費用を考えれば、ごくごく一部にすぎません。出場者は、オリンピックでの競技と最終戦に臨むために、きっと「スーパー努力」をします。そして、日本はロボット分野の世界的リーダーであることを示せます。

 重要なのは、コンテストでは本当の「競争」をさせることです。目標を設定し、最大限の潜在能力を引き出せること。人々は、そのような「競争」が好きなのです。

白紙となった新国立競技場の完成イメージ=日本スポーツ振興センター提供

白紙となった新国立競技場の完成イメージ=日本スポーツ振興センター提供

人工知能、もっとポジティブに

──東京五輪のある2020年にホットな技術は何でしょう?

 人工知能への認識はもっとポジティブになると思います。今はまだ、人々は、人工知能が今よりよい生活をもたらすとは、思っていない面がある。でも、ロボットの手足のデザイン、グーグルなどが手がける同時通訳など、すべて人工知能が使われています。私たちは、毎日、人工知能を使っているんです。

Google Xの発明品、自動運転はこうやって動いていた!
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グーグルの自動運転車の試作車が道路状況をどのように把握しているか可視化したイメージ=2015年9月、ロイター
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出典:REUTERS
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