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秋山、亡き父に誓った約束 プロ入り後は、ひとり親家庭を試合に招待

プロ野球記録の更新が期待される、西武の秋山翔吾外野手。野球を教え込んだのは、12歳の時に亡くなった父親の肇さんでした。

西武ライオンズの秋山翔吾選手=2015年9月28日
西武ライオンズの秋山翔吾選手=2015年9月28日 出典: 朝日新聞

目次

 プロ野球記録の更新が期待される、西武の秋山翔吾外野手。30日には一気に5安打を放ち、日本記録214安打に並びました。そんな秋山選手に野球を教え込んだのは、12歳の時に亡くなった父親の肇さんでした。横浜創学館高校時代には、肇さんに教わった打撃フォームで活躍。その後、八戸大学に進み、プロ入りしました。

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夏の高校野球、墓前で誓う

 秋山選手は、今シーズン、31試合連続安打を記録するなど、チームの主軸として活躍しています。

 秋山選手の父親の肇さんは病気のため40歳で亡くなっています。幼い頃、ソフトボールを教えてくれ、入退院を繰り返すようになっても、練習に付き合ってくれました。

 2006年の夏の高校野球。大会前、墓前で「最後の夏。全力でプレーする」と誓いました。秋山選手は、腕を肩の高さまであげてバットを素直に振るスイングで活躍します。それは、亡き父に教わったいつも通りのスイングでした。惜しくも準々決勝で敗れますが、強豪がひしめく神奈川大会でノーシードながらベスト8に進む活躍でした。

月間MVP(3、4月)を初受賞して喜びを語る西武の秋山=2015年5月8日、千葉市
月間MVP(3、4月)を初受賞して喜びを語る西武の秋山=2015年5月8日、千葉市 出典: 朝日新聞
4回裏。無死一塁で横浜創学館の3番秋山翔吾君(3年)が打席に入った。腕を肩の高さまであげてバットを素直に振る。亡き父に教わったいつも通りのスイング。狙い球の変化球を右前にはじき返し、チャンスを広げた。
2006年7月27日:横浜、あざやか5発 あす準決勝 第88回全国高校野球選手権神奈川大会:朝日新聞紙面から
12歳の時、父は胃がんで亡くなった。入退院を繰り返し、栄養を点滴でとるようになってからも、ノックや走り込みにつきあってくれた。厳格な父だった。今夏の大会前、墓前で「最後の夏。全力でプレーする」と誓った。チームは、ノーシードながらベスト8まで勝ち上がった。
2006年7月27日:横浜、あざやか5発 あす準決勝 第88回全国高校野球選手権神奈川大会:朝日新聞紙面から

「親子水入らずの時間を」

 秋山選手は、肇さんとある約束をしていました。「プロ野球選手」になることです。甲子園の出場を逃した秋山選手。試合直後は、父に報告する言葉が「まだ、見あたらない」とうなだれていました。その後、八戸大に進み活躍。見事、ドラフト3位で西武に入団します。2010年のドラフト会議後の取材には、「父との約束が果たせてよかった」と喜びをかみしめていました。

ドラフト指名後に握手する楽天に1位指名された八戸大・塩見貴洋投手(右)と西武に3位指名された秋山翔吾外野手=2010年10月28日、青森県八戸市
ドラフト指名後に握手する楽天に1位指名された八戸大・塩見貴洋投手(右)と西武に3位指名された秋山翔吾外野手=2010年10月28日、青森県八戸市 出典: 朝日新聞

 今シーズンの秋山選手は、自分と同じひとり親家庭の親子を主催試合に招待しています。試合前には親子と握手や記念撮影も。

 「親子水入らずの楽しい時間を過ごしてほしい」

 記録の重圧がかかる中、同じ境遇の子どもに夢を与えるという思いが、大活躍の原動力になっています。

招待した親子と一緒に記念撮影する西武の秋山(奥中央)=2015年5月6日、西武プリンスドーム
招待した親子と一緒に記念撮影する西武の秋山(奥中央)=2015年5月6日、西武プリンスドーム 出典: 朝日新聞
7回裏。点差は10点。二死満塁で打席には槙野陽介君(1年)。次打者席には秋山君が控えた。「おれまで回してくれ」。そう願ったが、槙野君は三飛に倒れ、試合終了。「終わっちゃったな」。少しの間、下を向き、うなだれた。父に報告する言葉は「まだ、見あたらない」。
2006年7月27日:横浜、あざやか5発 あす準決勝 第88回全国高校野球選手権神奈川大会:朝日新聞紙面から
2000年11月に胃がんで亡くなった父、肇さん(享年40)に小さいころからソフトボールを教わった。「将来はプロ野球の選手に」という父子の願いが実現し、秋山外野手は「父との約束が果たせてよかった」。
2010年10月29日:八戸大から2人指名 塩見投手と秋山外野手 プロ野球・ドラフト会議:朝日新聞紙面から
試合前には親子22人と握手や記念撮影。試合では3安打を放ち、「意識した」とはにかんだ。自らの活躍で同じ境遇の子どもに夢を与えることが新たなモチベーションになっている。
(スコアの余白)西武・秋山 ひとり親家庭の子へ夢を:朝日新聞デジタル

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