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「コーヒーの聖地」清澄白河にワイナリー 意表突いた、その出店理由
「ブルーボトルコーヒー」が店舗を構えるなど、おしゃれなカフェが集まる清澄白河にワイナリーが誕生しました。住宅地になぜ?その理由を聞きました。
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「ブルーボトルコーヒー」が店舗を構えるなど、おしゃれなカフェが集まる清澄白河にワイナリーが誕生しました。住宅地になぜ?その理由を聞きました。
お寺や公園、小さな工場などが住宅地に点在する東京の下町・清澄白河。一方、今年2月にはアメリカの人気コーヒー店「ブルーボトルコーヒー」が日本初の店舗を構えるなど、おしゃれなカフェが集まる「コーヒーの街」としても注目されています。そんな清澄白河に8月、今度はワイナリーが誕生しました。ブドウ畑のイメージからはほど遠い「住宅地にワイナリー」という意外性が話題になっています。初めての仕込みが始まったばかりという、「清澄白河 フジマル醸造所」(江東区・三好)を訪ねました。
清澄白河の駅から徒歩10分弱。アパートや一軒家に囲まれ、フジマル醸造所はありました。周囲には他にお店もなく、注意していないと通り過ぎてしまうほど、住宅街に溶け込んでいます。
鉄工所だった建物を改装し、一階がワイナリー、二階がワインと食事を楽しめるレストランとテイスティングルーム。8月下旬に仕込みが始まったばかりのワイナリーには、甘酸っぱいブドウの香りがいっぱいに広がっています。
この日は、子ども向けの体験イベントが開かれ、10組の親子が実際にブドウを搾ったりワイン作りの様子を見学したりしていました。ワイナリーの中には、ブドウ絞り機や発酵用のたるなどが、ところ狭しと並んでいます。千葉、茨城、山梨、山形などから、デラウェアやマスカット・ベリーAといった日本で広く栽培されているブドウを買い入れ、年間2万本(1本750㍉リットル)のワインの生産を目指しているそうです。
なぜ、住宅街に?代表の藤丸智史さんに聞きました。
──なぜ、東京の住宅街の真ん中にワイナリーを作ったのですか?
畑とワイナリーと人をつなげたい、というのが僕の目標です。そのために、僕らの方からお客さんに近づいて、あえて人がたくさん住む東京の住宅街にワイナリーを作ることで、より多くの人にワインを身近に感じてもらいたいと考えました。都市型のワイナリーは、2013年にオープンした大阪市中央区の「島之内フジマル醸造所」に次いで2軒目です。
──「畑とワイナリーと人をつなげる」とは?
大阪にとてもおいしいワインを作るワイナリーがあって、「これなら自分も」と10アールの畑を借りたことから僕のワイン作りは始まりました。ところが、周りのブドウ畑はどんどんなくなり耕作放棄地になっていく。ブドウ作りが十分な収入を得る商売としては難しく、後継者がみつからないことが原因です。昭和初期には山梨より多くのブドウが作られた大阪ですが、今は10分の1以下に減ったことも知りました。
状況は関東にあるブドウの産地でも同じです。僕には耕作放棄されていく畑が宝物に見えた。今あるブドウ畑を維持していきたいと、自社管理畑を2ヘクタールにまで増やしましたが、やめていく農家は多く追いつきません。街中にあるワイナリーを通して人と農業をつなぎ、ブドウ作りを、若い人がやりたいと思えるような将来性のあるものにしていきたいというのが僕の思いです。
──とはいえ、ブドウの産地からワイナリーが離れていて不便はないのですか?
よくそう聞かれるのですが、特に不便はありません。ワイナリーはブドウ畑の近くにあるイメージがありますが、海外では日本の大きさを超えるような距離でブドウを運んで、ワインを作っているところもあるんですよ。
──人とワイナリー・畑をつなぐ、ということはなかなかハードルが高そうですが…。
手応えは感じています。大阪のワイナリーでお客さんだったある方は僕らの考えに共感してくれて、今、山形でワイナリーを開く夢に向かってうちでワイン作りを学んでいます。大阪で企画したようなブドウの収穫体験を東京でも開催したり、ワイナリーで個展を開くなど異業種の人ともコラボして、今ワインに興味のない人も巻き込む工夫をしていくつもりです。身近にあるワイナリーをきっかけに、ワインのファンを増やしていきたいですね。
住宅地の「ワイナリー」、実は清澄白河フジマル醸造所は都内2軒目で、2014年9月、練馬区大泉学園に都内初のワイナリー「東京ワイナリー」がオープンしています。
「東京ワイナリー」は、野菜卸売会社の社員だった越後屋美和さんが、農薬をできるだけ使わずに栽培される都内産の野菜にひかれ、その野菜に合うワインはつくれないだろうか、と決意し起業。店内の窓からは、タンクなどがある作業場をのぞくことができます。
一方、昭和初期にブドウの一大生産地だった大阪府内には、柏原市、羽曳野市などにワイナリーがあります。2012年には6つのワイナリーが集まり大阪ワイナリー協会を設立し、新たなワインの楽しみ方として存在感を示しています。
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