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東京五輪、使われなかった「もう一つのデザイン」1940年のマーク

五輪をめぐっては、75年前にも、使われなかったデザインがありました。幻の五輪を言われている「1940年東京五輪」のマークです。

1940年東京五輪公式マーク(左)と公認マーク
1940年東京五輪公式マーク(左)と公認マーク 出典: 朝日新聞

目次

 取り下げの方針が決まった東京五輪のエンブレム。佐野研二郎氏のデザインに対し盗用疑惑が相次ぎ、2020年東京五輪組織委員会が調査をしていました。五輪をめぐっては、75年前にも、使われなかったデザインがありました。幻の五輪と言われている「1940年東京五輪」のマークです。

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戦争で開催を返上

 1936年7月、第11回ベルリン五輪開幕前日のIOC総会で、東京市はヘルシンキ(フィンランド)を36対27で破り、第12回夏季五輪の開催権獲得します。

 一方、1937年7月、北京郊外の盧溝橋事件を機に日中戦争始まります。1938年2月、戦線が拡大する中、英国を先頭に「東京五輪ボイコット」の動きが高まります。

 1938年、日本国内では、政府の国家総動員計画でスポーツ用品の制限、禁止が強まります。そして、7月14日、東京五輪を所管する厚生省が木戸幸一厚相名で五輪返上を発表。翌15日、東京五輪組織委は返上を通告します。

 IOCはヘルシンキを代替開催地に決めますが、ソ連のフィンランド侵攻で大会は中止。続く1944年のロンドン五輪も第2次大戦のさなかで、中止されました。

1936年、ベルリンでのIOC総会に臨む嘉納治五郎。40年東京五輪の開催が決まった
1936年、ベルリンでのIOC総会に臨む嘉納治五郎。40年東京五輪の開催が決まった 出典: 朝日新聞

使われなかったマーク

 1940年東京五輪のマークは、どんなものだったのでしょうか。公式マークは、日本の国旗と五輪が組み合わされています。少し丸みのあるフォントで「XII OLYMPIAD TOKYO 1940」と書かれています。「OLYMPIAD」は「オリンピアード」と読み、4年に1回、訪れる五輪用の暦を意味します。

 公認マークには富士山が描かれています。富士山の下に五輪が配置されています。「XII Olympiad Tokyo 1940」と、小文字で書かれており、柔らかな印象です。

1940年東京五輪公式マーク(上)と公認マーク
1940年東京五輪公式マーク(上)と公認マーク 出典: 朝日新聞
オリンピックは、四年に一度開かれる。「オリンピアード」と呼ばれる独特の暦が、そのよりどころだ。オリンピアードについて、五輪憲章に「オリンピアード競技会とともに始まり、次のオリンピアード競技会の開始とともに終わる連続四年間を指す」とある。
1996年3月6日:なぜ4年に1度?(五輪百話:6):朝日新聞紙面から
■「幻の東京五輪」
▽開催決定
1936年7月、第11回ベルリン五輪開幕前日のIOC総会で、東京市はヘルシンキ(フィンランド)を36対27で破り、第12回夏季五輪の開催権獲得。
▽戦火拡大
37年7月、北京郊外の盧溝橋事件を機に日中戦争始まる。その1カ月前のワルシャワIOC総会で、東京開催と40年冬季五輪の札幌開催が正式決定。38年2月、戦線拡大の中で、英国を先頭に「東京五輪ボイコット」の動き高まる。
▽開催返上
38年、政府の国家総動員計画でスポーツ用品の制限、禁止が強まる。7月14日、東京五輪を所管する厚生省が木戸幸一厚相名で五輪返上を発表。翌15日、東京五輪組織委は返上を通告。IOCはヘルシンキを代替開催地に決めたが、ソ連のフィンランド侵攻で大会は中止。続く44年のロンドン五輪も第2次大戦のさなかで、中止された。第1次大戦で中止のベルリン大会(16年)を含め、戦争の犠牲になった夏季五輪は通算3度を数える。
1996年5月22日:1940年、幻の東京五輪の招致アルバム 世田谷の男性が発見:朝日新聞紙面から

湯飲み、年賀はがきも

 1936年、東京五輪開催を受けて「抑え難し、4年後の興奮」との見出しで号外が配られました。

1940年東京五輪を記念した年賀状
1940年東京五輪を記念した年賀状 出典: 朝日新聞

 ポスターやマークも公募で決まり、湯飲みや年賀はがきなどの五輪グッズも販売、盛り上がりを見せました。

 しかし、日本は戦争に突き進む中で五輪開催を返上。1940年東京五輪は幻の五輪となりました。

「抑え難し、4年後の興奮」との見出しで号外が配られた。ポスターやマークも公募で決まり、湯飲みや年賀はがきなどの五輪グッズも販売、盛り上がりを見せた。
2014年6月14日:(あのとき・それから)昭和15年 幻の東京五輪 戦争に奪われた祭典:朝日新聞紙面から

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